AutoCADに搭載されているLISPの機能を活用して、作図の自動化や効率化を図りたいと考えていないでしょうか。しかし、使い方や関数・コマンドに関する知識がなく行動に移せない人もいるはずです。
そこでこの記事では、AutoCADのLISPの使い方を入門者向けにわかりやすくまとめました。
よく利用するコマンド、よく使う関数の情報を一覧に整理しているので、AutoCADのLISPの使い方を学ぶ参考にしてみてください。
AutoCADのLISPとは
AutoCADで利用できるLISPは、ソースコードを構築することによって、特定の動作を自動化できるプログラミング言語です。AutoCADの「管理>アプリケーション>Visual LISP エディタ」に配置されており、LISP専用のウィンドウ上でソースコードを書き込んでいきます。
AutoCADにはほかにも、VBAやアクションマクロなど豊富な自動化機能が備わっていますが、そのなかでもLISPはAutoCADユーザーが使い方を覚えやすい自動化の機能です。
AutoCADの機能に合わせて関数が用意されていることから、VBAよりも広い目的で使用できるのが魅力です。また、アクションマクロでは再現が難しい細かな動作を実行できます。
使い方を学ぶ前に、AutoCADのLISPの概要を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
AutoCADのLISPに初めて触れる方は、ぜひ参考にしてみてください。
AutoCADのLISPの使い方を覚える前に
AutoCADのLISPは基礎知識がなければうまく活用できません。
そこで、使い方をチェックする前に覚えてほしい項目を整理しました。
LISPの使い方を学び始めたばかりだという方は、ぜひ不足している知識がないかチェックしてみてください。
AutoCADのLISPの画面構成
AutoCADのLISPは、以下に示す3つの項目で構成されています。
- ツールバー
- ツールパレット
- ワークスペース
例えばツールバーは、ファイル操作や管理機能などがまとまっています。
主な使い方として、ファイルの新規作成や既存データの読み込み、保存、デバッグ処理をするときなどに操作をします。
またツールパレットはツールバーにまとまっている内容がアイコン化されている項目です。
基本的にAutoCADのLISPの使い方を説明する際には、こちらのツールパレットをもとに紹介します。
もうひとつ、実際にAutoCADのLISPのプログラミング言語を書き込むのがワークスペースです。
直接キーボードで入力する、Autodesk公式サイトに掲載されている構文などをコピペして貼り付けるといった使い方ができます。
AutoCADのLISPの作成手順
AutoCADのLISP作成の使い方を、以下に整理しました。
- ファイルを新規作成する
- ワークスペースにLISPの構文を書き込む
- 作成したデータを任意の場所に保存する
AutoCADの作図を始める準備の流れと同じで、新規作成して書き込み、保存するというシンプルな手順です。
なおAutoCADのLISPには、記述したソースコードが正しいのかデバッグができるほか、他のプロジェクトに書き写すためのトレース機能なども備わっています。
またソースコードが何行にもわたる場合には、特定のソースコードを探す検索機能も用意されています。シンプルかつ使い方を覚えやすいのがLISPの魅力ですので、まずは基本的な作成手順を理解しておきましょう。
AutoCADのLISPの実行方法
AuoCADのLISPは、次の3つの方法で実行できます。
- .lspファイルをドラッグアンドドロップする
- APPLOADコマンドで読み込む
- コマンドラインに貼り付ける
まずAutoCADで作成したLISPは「.lsp」という拡張子ファイルを任意の場所に保存できます。
ファイル自体をAutoCADの操作画面上に読み込ませる使い方が一般的であり、上記3つの方法で自動化の機能を起動できます。
どの方法でも同じファイルの読み込みができるので、好きな使い方で利用してみてください。
AutoCADのLISPの使い方
AutoCADのLISPの一連の使い方を解説します。
ここでは、次の動作をまとめて実行できるソースコードの作り方を順序立てて紹介します。
- 座標(100,100)の位置に円ツール(半径1,000mm)を挿入する
- ポリラインを円内で交差するように配置する
まずは、AutoCADのLISPを起動して、ワークスペースを表示してください。
続いて、ワークスペース内に円ツールのソースコードを記述します。
(command “circle” center radius)
(setq center (list 100 100))
(setq radius 1000)
この状態で一度.lspファイルに書き出し、AutoCAD内で起動してみると、次のように表示されました。
続いて、交差するポリラインを記入します。
上記の円コマンドの下に2つのポリラインコマンドを挿入しましょう。
(command “pline” tpt1 tpt2 “C”)
(setq tpt1 (list 100 1100))
(setq tpt2 (list 100 -900))(command “pline” ypt1 ypt2 “C”)
(setq ypt1 (list 1100 100))
(setq ypt2 (list -900 100))
それぞれ起点・終点の座標を決めることによって、次の図形が表示されました。
コマンドを書き換えるだけで、さまざまな作図・修正が可能です。
自動化や効率化を目指している方は、ぜひ自身の目的に合わせて使い方を勉強してみてください。
AutoCADのLISPでよく使う関数一覧
AutoCADのLISPでよく使う関数を一覧に整理しました。
使い方の例も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関数 | 使い方の例 |
setq | 特定の値を代入する |
defun | 複数の関数をまとめるブロックとしての使い方ができる |
if | 条件付きの処理を設定する使い方ができる |
repeat | 繰り返し回数を決めて連続動作させる |
command | AutoCADのコマンドを呼び出す |
list | 複数の値をリスト化する使い方ができる |
例えば、作図のコマンドを呼び出したい場合には「command」という関数を用いてソースコードを記述していきます。またコマンドを呼び出す際の条件を決めるときは「if」、あらかじめ値をセットしたい場合には「setq」を使うなど、組み合わせた使い方をするのが一般的です。
前述したAutoCADのLISPの使い方も参考にしつつ、自身でもソースコードを記述してみてはいかがでしょうか。
また、AutoCADのLISPのサンプルコード集をチェックしたい方は以下の記事がおすすめです。
AutoCADのLISPでよく使うコマンド一覧
AutoCADのLISPで頻出する関数の「command」を使うことにより、AutoCADのコマンドを自由に起動できます。参考として以下に、commandの使い方を一覧にまとめました。
よく使うコマンド | 書き方の例 |
作図コマンド | 線ツールを起動する場合は(command “line” 読み込み情報) 円ツールを起動する場合は(command “circle” 読み込み情報) |
修正コマンド | 複写を起動する場合は(command “copy” 読み込み情報) オフセットを起動する場合は(command “offset” 読み込み情報) |
注釈コマンド | マルチテキストを起動する場合は(command “mtext” 読み込み情報) 寸法を起動する場合は(command “dim” 読み込み情報) |
上記のコマンドは「” “」のなかに特定の文字列を記入することで、起動できるのが一般的です。
また括弧内には読み込みの情報を定義する必要があり、数値情報などを記述することによって特定の動作を指示できます。
なお自分が起動させたいコマンドを探す際には、以下に示す使い方でリサーチが可能です。
- 特定のコマンドにマウスカーソルを合わせてポップアップを表示させる
- コマンドリファレンスで調べる
記述する文字列がわからない場合は、上記の使い方をすることで悩みを解決できます。
AutoCADのLISPの使い方をセミナー講習で学ぼう
AutoCADのLISPを使いこなすためには、作成手順や記述の方法など、ひとつずつ使い方を理解していかなければなりません。しかし、学習する内容が多いため、使い方を覚えきれないとお悩みの人もいるでしょう。
それならまずは、AutoCADのLISPについて学べるセミナー講習に参加して、使い方をマスターするのがおすすめです。
「実践的に学べるAutoCAD自動化セミナー」では、AutoCADのLISPの基本操作はもちろん、実践的な使い方を学べます。会場受講だけではなく、ライブウェビナー、eラーニングにも対応しているほか、2日間という短い期間でLISPの基礎・応用をマスターできるのが魅力です。
受講方法・料金(税込) | 会場受講38,500円 ライブウェビナー38,500円 eラーニング(動画・資料での学習)27,500円 |
会場受講の参加エリア | 東京 名古屋 大阪 ※地域外の人はライブウェビナーがおすすめ |
セミナー期間 | 2日間 |
AutoCADのLISPの使い方についてまとめ
AutoCADのLISPは、機能全体の使い方を理解することが活用の近道です。
とはいえ、簡単に使い方を覚えきれるものではありません。
もしAutoCADのLISPを学習し始めたいという方は、独学用の教材を探して学習をスタートするか、プロから使い方を学べるセミナー講習に参加してみましょう。効率よくLISPの仕組みを理解でき、すぐ実践できるようになります。
