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3ds Maxでアニメーションを作る手順!制作のコツやアニメの活用事例を紹介

高機能な3DCG制作ソフトとして知られる3ds Max。ゲームや映画などのCG制作業務において、無くてはならない存在だとする人も少なくありません。3ds Maxを活用することで、ハイクオリティのCGアニメーションを作成できます。今回は、3ds Maxを活用して作られたアニメーションの事例や手順、制作のコツなどを紹介します。

3ds Maxを活用してアニメーションを作成した事例

「リタとナントカ」

「リタとナントカ」は、フランスの絵本を原作としており、制作は日本アニメーションが担当したTVアニメです。2010111日からNHK教育で放送されました。初めて見た人からは、全編手描きアニメーションによって作られていると思われがちですが、実際はCGカットが含まれています。ポストカードのように、といったコンセプトで制作されたもので、柔らかさや鉛筆の擦れ、筆圧の強弱の変化など、手描きアニメならではの味わいが特徴的です。従来のCG表現とは異なり、まるで絵本の世界をそのまま動かしているような印象を受けます。

CG表現を自然に表現できていることから、3ds maxで利用できるPencil+ 3が活躍した事例です。Pencil+ 3を使って、筆圧の強弱を表現するためのストロークやストロークサイズの減衰、ゆがみなどを使って、コマ毎にランダムな線を出して、手描き独特の柔らかさを再現しています。また、マップとの組み合わせで、鉛筆の擦れも再現しています。繊細な線で描かれたキャラクターには、鉛筆の腹で描いたような太い線で描かれた影が落ち、背景にしっかりと統合されているのです。

「雨を告げる漂流団地」

「雨を告げる漂流団地」は、スタジオコロリドが制作した日本の長編アニメーション映画です。2022916日にNetflixで全世界独占配信され、日本でも全国ロードショーされました。海面の表現については、主に3ds Maxの標準機能を利用しています。板ポリゴンにディスプレイスメントマップを適用して、波の動きを表現しています。細かい演出が可能なため、精密な波の形状の制御が必要な場合には、とくに適しているとのことです。荒波の場合には、ディスプレイスメントの上からデフォーマを使って変形を加えることで表現しています。

水飛沫については、tyFlowを使用して板ポリゴンの動きを拾い、波が高くなるタイミングで発生するように設定されています。また、板ポリゴンに複数のディスプレイスメントをかけることで、複雑な海の動きを再現しているそうです。AE上で光源用やハイライト用など、複数のマスクを合成するなど、試行錯誤したとのことです。特別な海のシーンでは、カットバイを使用して専用のモデルをモデリングをし、凝った作りになっています。

3ds Maxでアニメーションを作る基本的な手順

1.シーンの準備

最初に、アニメーションを作るシーンを作成し、必要なオブジェクトを用意します。例えば、人物や動物、車両など、アニメーションの対象となるオブジェクトを3Dモデリングで作成することができます。ライブラリから既に用意されたオブジェクトを選択できるため、自分で用意する必要がありません。次は、アニメーションを再生するカメラを設定します。カメラを配置すると、アニメーションを見る視点を設定することができます。ライトを配置することで、アニメーションの照明を設定でき、シーン内のオブジェクトの影や反射などを調整可能です。

2.キーフレームの設定

アニメーションを作成するには、オブジェクトの動きをキーフレームで指定する手順も必要です。キーフレームとは、オブジェクトのパラメータを特定の時間において設定することを指します。一連のキーフレームを設定することで、アニメーションの動きを作成可能です。キーフレームを設定するには、タイムラインを使用して、オブジェクトの位置、回転、スケールなどを指定します。

3.カーブエディタの使用

キーフレームを設定した後、カーブエディタを使用してアニメーションのグラフィカルな表現を確認できます。キーフレームを編集したり、滑らかさや速度を調整することができます。カーブエディタでは、グラフの形状によって、アニメーションを調整可能です。例えば、S字型のカーブを作成すると、オブジェクトの移動や回転の速度をスムーズに変化させることができます。また、カーブエディタでは、アニメーションのカーブを自由に調整することができます。一部のキーフレームを選択して、移動や削除したりすることができるため、アニメーションの動きをより細かく調整可能です。

4.タイムラインとアニメーションの調整

アニメーションを作成するには、タイムラインを使用して再生時間やスピードを調整する必要があります。タイムラインは、アニメーションの時間軸を表しています。タイムライン上で、キーフレームやアニメーションのカーブを表示し、調整することができます。また、タイムライン上で、再生・停止、逆再生やループ再生などの制御も可能です。タイムライン上で、アニメーションのタイミングを微調整することもできます。

アニメーションの一部分を選択して、時間の長さを編集したり、キーフレームを追加や削除などもできます。タイムライン上で制御することで、より正確なアニメーションを作成できるのです。

5.レンダリングの設定

アニメーションを作成したら、レンダリング設定を調整してレンダリングします。レンダリング設定を調整することで、高品質なアニメーションのレンダリングができます。レンダリング設定には、解像度やレンダリングエンジン、レンダリング時間などが含まれます。解像度を高く設定することで、より詳細なアニメーションのレンダリングが可能です。また、レンダリングエンジンを変更すると、レンダリングの品質を向上させることができます。

レンダリング時間を短くすると、レンダリング速度を向上させることができますが、品質が低下する場合があります。逆に、レンダリング時間を長くすると品質を向上させることができますが、レンダリング時間が長くなる可能性が高いです。また、レンダリング設定では、ライティングやマテリアルの設定もできます。アニメーションのシーンに照明を設定でき、マテリアル設定を調整することで、オブジェクトの質感や色合いを調整できます。

6.レンダリングの実行

レンダリングの設定が完了した後、レンダリングを実行することが必要です。レンダリングを実行するには、まずアニメーションをレンダリングするフレーム範囲を設定しなくてはいけません。レンダリングが開始されると、3ds Maxは指定されたフレーム範囲をレンダリングし、シーンを動画ファイルや静止画として保存します。アニメーションの複雑さやレンダリング設定によっては、時間がかかる場合があるため、レンダリングを実行する前には、十分な時間を確保したりレンダリング時間を調整することが重要です。レンダリングの実行は、アニメーションの最終的な出力をおこなうための重要なステップです。

3ds Maxでアニメーションを作るコツはシンプルな形状から始めること

3ds Maxでアニメーション制作をする際には、シンプルな形状から始めることが大切です。簡単な形状から始めることで、作業がしやすくなり、アニメーションの流れを考えやすくなります。例えば、キャラクターのアニメーションを作成する場合、最初に頭部や体の各パーツを作成してから組み合わせる、といった形で制作を進めていくと良いでしょう。車のアニメーションを制作する場合には、車体やホイール、ドアなどを別々に作成した後に組み合わせて完成形を作り上げるといった手順があります。

また、形状をシンプルにしておくことで、後々の修正や変更がしやすくなります。細かなディテールは後回しにし、まずは基本的な形状を作成することを心がけましょう。最初に作成する形状がシンプルであれば、アニメーション制作の際にも、物理演算の設定などがしやすくなるため、効率的に制作を進めることができます。

3ds Maxで作るアニメーションのまとめ

3ds Maxは、CGアニメーションに強いソフトです。豊富なプラグインが用意されているため、自分好みに機能を拡張することもできます。実用性が高く、作業効率を上げられるため、重宝している企業も多いです。CGアニメーションを作る際には、3ds Maxの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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