世界でAI投資が加速する中、ソフトバンクは「コンピューティングパワーこそが国力」と捉え、官民連携による次世代インフラの構築を本格的に進めています。
近年は、OpenAIへの巨額投資も注目を集めましたが、ソフトバンクは具体的にどのようなAI事業を展開しているのでしょうか。本記事では、ソフトバンクのAI事業の全体像を、最新サービスや開発会社一覧とあわせてわかりやすく解説します。
ソフトバンクのAI事業とは?

ソフトバンクのAI事業とは、OpenAIの最新技術や資本提携を軸とした総合的なAI戦略です。ソフトバンクは「社会課題に、アンサーを。」をスローガンに掲げ、
- ソフトバンクグループ全体でAI活用を推進
- 膨大な計算資源を備えたAIインフラを構築
- 日本向けLLM(大規模言語モデル)の開発
- 5分野にまたがるAIロボット開発・販売
などの取り組みを通じ、AIの社会実装を多方面から進めています。
ソフトバンクのAI事業は日本再生への決意
現在、日本はAI研究から実用化までの展開スピードで、世界の先進国に大きく差をつけられています。実は、ソフトバンクのAI事業は、こうした状況を踏まえた「日本再生への強い決意」でもあるのです。
ソフトバンクグループ会長兼社長執行役員の孫正義氏は、「SoftBank World 2025」の特別講演で以下のようなコメントを述べました。
今の日本に一番必要なことは、進化を真正面から捉えて、それに食らいついて、自ら取りに行こうと参加することです。
この言葉が示すように、日本の国力向上には、現在進化の過渡期にある「AI」の力が重要であり、そして、その先頭に立って走り続けているのがソフトバンクなのです。
日本の世界におけるAI競争の現状
ところで、ソフトバンクが示した日本のAI競争力は、具体的にどの位遅れているのでしょう。
総務省の「令和7年版 情報通信白書」に掲載されている「AI活力ランキング」では、日本は「世界9位」という位置におり、加えてアメリカと中国の「二強」が圧倒的で、それ以降の国々(日本を含む)で遠く引き離されていることがわかります。
アジア諸国で日本を見ると、中国、インド、韓国に次ぐ4位で、やはり日本は相対的に低迷していることも見て取れました。
参照:総務省「令和7年版 情報通信白書(概要)」
最新のAI技術で現場の生産性を加速させよう!
ソフトバンクが示したAIの遅れは、製造業・建設業の生産性や品質管理、設備保全といった現場の競争力にも直結します。さらにAIの進化は極めて速く、学び続けなければ競争力を維持できません。
製造業・建設業向け 生成AI無料オンラインセミナーでは、最新のAI活用事例やAI人材育成の具体策など、現場に直結する実践的内容を誰でも無料で学べます。「AIで現場の生産性を本気で高めたい」という企業様におすすめです。
製造業におけるAI導入事例は、以下の記事でも紹介しています。「今、現場でどういったAI技術を活用しているのか」がわかるおすすめのコンテンツです。
ソフトバンクのAI戦略と目指すゴール

ソフトバンクの本格的なAI戦略は、OpenAIへの巨額出資から始まりました。ここでは、ソフトバンクがAIに何を託し、どのような未来を見越しているのかを解説します。
- OpenAIへの巨額出資
- 国産LLM「Sarashina」の開発
- ASI時代を見据えたAIインフラ戦略
OpenAIへの巨額出資
ソフトバンクグループは2025年、OpenAIへ合計400億ドル、約4兆円の出資を完了しました。これにより、ソフトバンクのOpenAIの持ち株比率は約11%となり、Microsoftに次ぐ第2位の株主となっています。
全エヌビディア株を売却
ソフトバンクは、この資金を捻出するため、孫正義氏は保有していたエヌビディア株、約58.3億ドル(約9,000億円)をすべて売却しました。孫正義氏本人が「泣く泣く売った」と語っていることからも、OpenAIとの提携を最優先とした判断だったことが分かります。
企業向け専用AI「Crystal Intelligence」開発
この提携の中核が、企業向け専用AI「Crystal Intelligence」です。ソフトバンクはOpenAIとの合弁会社「SB OpenAI Japan」を設立し、2026年度から日本国内での独占販売を行う予定です。
国産LLM「Sarashina」の開発
OpenAIとの連携を進める一方で、ソフトバンクは独自の国産LLM「Sarashina」の開発も続けています。これは、海外製AIに依存すれば、国際情勢や規約変更によって利用が制限されるリスクがあるためです。
こうした不確実性を避けるため、ソフトバンクは「技術・データ・運用・法規」を国内で完結させる「ソブリンAI」を掲げ、その中核となるモデルとして「Sarashina」を位置づけています。
現在は軽量版の「Sarashina mini」を用いた社内テストを進め、日本企業が安心して使えるAI基盤づくりを進行中です。
ASI時代を見据えたAIインフラ戦略
これらの取り組みの先にあるのが、「ASI(人工超知能)」時代を見据えた未来です。AIは今後、人間をはるかに超える能力と自律性を持つとされており、ソフトバンクはその到来に備え、
- Ampereの子会社化で半導体を強化
- ABBロボティクス買収でロボット領域を拡大
- OpenAI・Oracleと連携したインフラ基盤の構築(米国)
こうした基盤整備を一体で進めることで、ソフトバンクは日本のAI活用を未来へとつなぐ土台を築いています。
ソフトバンクのAI事業の取り組みとは?
では、ソフトバンクの具体的なAI事業の取り組みについて、社内と社外における2方面から解説しましょう。
全社統一「AI義務化」
ソフトバンクはAIを「全社員が扱う基礎スキル」と位置づけ、全社的リスキリングを実施し、以下のような成果を上げています。
- 社員一人あたり100個のAIアプリを開発
- 1,000名以上がAI・クラウド領域へキャリアシフト
- AI関連資格保有者は全社員の約13%
ソフトバンク・人事総務本部の秋葉氏は「AI戦略を推進するために最も重要なのはテクノロジーそのものではなく、それを扱う人の意識と能力」と語り、「社員の成長=企業成長」という戦略を示しています。
参照:ソフトバンクニュース
4つの領域でAIを推進
ソフトバンクは、日本のAI基盤を強化するために、現在主に4つの領域で開発を進めています。
| 領域 | 概要 |
| AIエージェント | 「Crystal Intelligence(仮称)」開発。企業データを統合・自律的に判断 |
| ソブリンAI | 日本文化・日本語特化の国産LLM開発。国内学習、専門領域にも対応 |
| 次世代社会インフラ | 苫小牧・堺にAIデータセンター建設。国内AI需要を支える基盤 |
| AI-RAN(AITRAS) | AIが基地局を制御し通信を最適化。自動運転、遠隔医療などの産業基盤 |
セミナーで最新AIの実践力を身に付けよう!
ソフトバンクの先進的なAI戦略は、多くの企業にとって大きな刺激となる一方、「自社にどう置き替えられるのか?」という課題も生まれます。そんなときは、専門家の知見を基に、最新のAIスキルを学ぶことからはじめましょう。
製造業・建設業向け生成AI無料オンラインセミナーは、業界特化の生成AI活用術を短時間で効率的に学べます。企業のDX担当者様はもちろん、個人でもオンライン上で気軽に参加できるおすすめのカリキュラムです。
セミナー名 製造業・建設業向けDX無料オンラインセミナー 日時 2026年1月27日(火) 14:00~14:30 価格 無料 開催場所 Zoomウェビナー(オンライン)
ソフトバンクの主要AIサービス5選
続いて、ソフトバンクが手掛ける主要なAIサービスを5つご紹介します。ここでは、以下の3つのジャンルに区分してお伝えします。
| ジャンル | サービス名 | 概要 |
| スマホ向けAI | Perplexity | Pro版を半年無料で利用可能 |
| AIロボット | Pepper | AIで自然対話ができる人型ロボット |
| 配膳ロボット | 国内500ブランド導入、多彩なサイズあり | |
| 法人向けAI | Azure OpenAI Service | 生成AIの安全な利用基盤提供 |
| SmartAI‑Chat | 社内Q&Aと連携した業務効率化チャット |
①スマホ向けAIサービス
ソフトバンクは、スマホユーザー向けのAIサービスとして「Perplexity(パープレキシティ)」を提供しています。Perplexityは出典を提示する検索型AIとして知られ、ツール内ではGPT-5など、人気モデルの利用も可能です。
現在、通常月額約3,000円(年換算で約3万円以上)かかる最上位版の「Perplexity Pro」を、ソフトバンク・ワイモバイル・LINEMOのユーザー限定で半年間無料で利用できます。さらに、ソフトバンクユーザー限定で、無料期間終了後も月額料金の10%分のPayPayポイント進呈中です。
②AI搭載ロボット
ソフトバンクのAIロボットは、ソフトバンクの子会社「ソフトバンク・ロボティクス」が開発しています。生成AIや顔認識などの先端技術を活用し、
- ヒューマノイド
- 清掃
- 配膳・運搬
- 自動調理
- ロジスティクス
など多彩な分野のロボットを提供しています。
Pepper(ペッパーくん)
Pepperは身長121cmの人型ロボットで、音声やタブレット、身振り手振りを使って人と自然にコミュニケーションできます。生成AIや顔認識機能を備え、教育現場や店舗、介護施設などで活躍するソフトバンクの代表的なAIロボットです。
配膳ロボット
配膳ロボットは、飲食店の人手不足を補い、料理の運搬や下げ作業を自動化するAIロボットです。障害物を避けながら安全に走行し、小型から大型、エレベーター連携まで幅広く対応しています。
ソフトバンクロボティクスは国内ほぼすべての配膳ロボットを扱い、500以上のブランドで導入されています。
以下の記事は、AIを搭載したロボットの効果について解説しています。製造業における導入事例も紹介しているので、AIロボットへの理解を深めるためにもぜひご参照ください。
③法人向けAIソリューション
ソフトバンクのAI事業では、法人向けAIソリューションにも力を入れています。
Azure OpenAI Service
Azure OpenAI Serviceは、Azure上でChatGPT、Codex、DALL-Eなどの生成AIを安全に利用できるサービスです。APIを通じて文章生成や分析、画像生成などをアプリに組み込め、企業向けのセキュリティと高い拡張性を備えています。
SmartAI-Chat
SmartAI‑Chatは、ソフトバンクの社内業務を効率化するための生成AIチャットです。検索では見つけにくい情報も自然な文章で質問でき、業務の手間を大幅に削減しています。
このシステムは、社内ITヘルプデスクが蓄積してきた約3万6,000件のQ&Aデータと連携しており、OA機器の使い方や社内ルールなど、従業員が日常で困る疑問に即時回答できます。
ソフトバンクのAI関連子会社・合弁会社一覧

ソフトバンクグループ全体では、子会社は965社(2025年3月末現在)あります。ここでは、AI戦略上で主要なソフトバンクの子会社、および合弁会社をそれぞれ一覧にまとめています。
ソフトバンクの子会社
まずは、ソフトバンクが100%の株を所有する子会社、および高い支配力を持つ主要企業をお伝えします。
| 会社名 | 設立年月 | 分野 | 概要 |
| Arm | 1981年9月 | 半導体 | 株式約90%所有。省電力CPU設計 |
| ABB Ltd |
1988年 | ロボット | 2025年10月ソフトバンクが53.75億で買収 |
| SB C&S | 2014年3月 | ICT流通 | IT製品・AIプロダクトの流通および開発 |
| ソフトバンク・ロボティクス | 2014年7月 | ロボット | ロボット関連の事業を世界21拠点で統括 |
| Ampere Computing | 2017年秋 | 半導体 | 2025年3月ソフトバンクが65億ドルで買収 |
| 日本コンピュータビジョン | 2019年5月 | 顔認証 | 画像認識AI決済や小売り管理ソリューション |
| SB Intuitions | 2023年3月 | LLM開発 | 日本語特化の大規模言語モデルの研究開発 |
| Gen-AX | 2023年7月 | 生成AI | 生成AIを活用したSaaS製品やコンサルティング |
合弁会社(ジョイントベンチャー)
続いて、ソフトバンクが他社と共同で設立・運営しているAI関連企業をお伝えしましょう。
| 会社名 | 設立年月 | 分野 | 持株比率 | 相手企業 | 概要 |
| MONET Technologies | 2018年9月 | モビリティ | 37.3% | トヨタ他 | AI移動サービス開発 |
| GreenBox | 2023年7月 | 自動化 | 65% | Symbotic | AI倉庫業務自動化 |
| SB TEMPUS | 2024年8月 | 医療AI | 50% | Tempus | 創薬、医療データ解析 |
| SB OpenAI Japan | 2025年11月 | 企業向けAI | 約11% | OpenAI | 国内企業向けAIシステム |
ソフトバンクが戦略的に出資するAI関連企業
ソフトバンクは、子会社や合弁会社だけでなく、株式所有を通じて戦略的に関与する企業も多数存在します。例えば、
- PayPay(57.9%)
- LINEヤフー(62.5%)
- ASKUL(46.5%)
- ZOZO(51.5%)
などは、メディア・EC領域でAI活用を進める代表的なパートナーです。(持株比率は各社名の後に記載)
これらの企業は、今後もソフトバンクのAI戦略を現場で支える「右腕」として、重要な役割を担っていくでしょう。
参照:ソフトバンク「Integrated Report 2025」
ソフトバンクのAIについてまとめ
ソフトバンクは、国内でも屈指の先進的なAI戦略を展開しており、日本の産業競争力を底上げする中心的な企業です。2025年度末に実施したOpenAIへの大規模出資からは、AIに大きな未来を見出すソフトバンクの強い意志がうかがえます。
ぜひ、日本市場へのAI展開の「舵取り役」としても注目されているソフトバンクのAI事業から、現場の生産性向上に生かせるヒントをつかんでみてください。
-
Next
記事がありません