提供:オートデスク株式会社 / 制作:株式会社VOST
PLM導入の失敗は、最初から全社・全製品を対象にし、要件定義やカスタマイズが膨らむことで起こりやすくなります。本記事では、PLM導入で失敗しやすい理由と、1製品群から小さく始める方法、Fit to Standardの考え方を解説します。
PLM導入の失敗は、業界では知られている
フルスケールでのPLM導入は、計画どおりに進まないケースがあります。経営層が「製品ライフサイクル全体をデジタル化する」と号令をかけ、全社プロジェクトとして始まり、要件定義に1年、構築に1年、展開にさらに半年かかることもあります。
完成する頃には、最初に集めた要件が現場の運用と乖離している場合があります。導入されたPLMは形だけ動き、実際にはExcel運用が裏で続くケースもあります。こうした流れは、PLM導入失敗につながる典型的なパターンの一つです。
なぜPLM導入失敗の原因になるのか
経営層も情報システム部門も「大事なシステムだから慎重に」「中途半端ではダメだから徹底的に」と判断します。これは一般的な意思決定です。しかし、PLM導入では、この発想が失敗につながる場合があります。
理由は「要件凍結」のメカニズムにあります。徹底的な要件定義に1年かけると、その間に業務側の状況が変化します。製品ラインナップや組織、サプライチェーン、顧客要求などが変わり、要件定義が完成した時点ですでに3割が古くなっている場合があります。さらに、それを基に1年かけて構築すると、運用開始時には5割が現実とずれていることもあります。これがPLM導入失敗につながる構造です。
PLMの導入失敗を防ぐアプローチ方法
要件凍結を避けるにはどうすればよいのか。
要件定義にかける期間を短くする以外に方法はなく、期間を短くするには対象範囲を絞るしかありません。この一点において、全社・全製品を一度に対象とする「徹底的アプローチ」は構造的に不利です。
対象を1製品群に絞る「1製品群アプローチ」と並べると、差は運用開始までの期間だけではありません。リリース時点で要件がどれだけずれているか、3年後に何が積み上がっているかまで変わります。
| フェーズ/指標 | 徹底的アプローチ | 1製品群アプローチ |
| 要件定義期間 | 9〜12か月(数千万円規模) | 1〜2か月(範囲限定で軽量) |
| 構築期間 | 12〜18か月 | 2〜4か月(標準機能活用) |
| 運用開始まで | 24〜36か月 | 3〜6か月 |
| リリース時の要件齟齬 | 要件全体の30〜40% | 範囲限定のため小さい |
| 3年後の改善積み上げ | ようやくリリース時点 | 複数製品群へ展開済み |
※典型的な経過の比較で、案件により異なります。
PLMの導入失敗につながる「要件凍結」が現場で起きる瞬間
プロジェクトキックオフから14か月。本番リリースの3か月前、定例会議で生産技術部のリーダーが「すみません、要件定義のときに決めた工程フローですが、実は今月から変更しておりまして…」と伝えます。
要件凍結は10か月前です。それ以降の業務変更は別課題として記録されていましたが、誰も追えていませんでした。
ここから、リリースを遅らせるのか、リリース後に修正するのか、現場に既存業務へ戻ってもらうのかを判断する必要があります。どの選択肢を選んでも負担が生じ、PLM導入失敗につながる要因となります。
PLMの導入失敗を防ぐ賢い考え方
PLM導入の失敗を防ぐには、最初からすべてを作り込むのではなく、標準機能を活用しながら対象範囲を絞って始めることが重要です。
Fit to Standard
Fit to Standardは、業務に合わせてPLMをカスタマイズする(Fit to Business)の逆で、「PLMが標準で提供する業務プロセスをそのまま使い、業務側を標準に合わせる」考え方です。「業務を捨てる」という意味ではなく、「標準化できる部分は標準に合わせる」という意思決定です。カスタマイズが減ることで、導入期間や保守コストを抑えやすくなります。
1製品群から始めるとは、全社・全製品群を一度に対象にせず、設計変更が多い、関係部門が多いなどの特徴を持つ1製品群に絞って運用を組み立て、運用できることを確認してから隣の製品群へ拡張するアプローチです。要件定義を現実的な規模に抑えやすく、数か月で運用を開始し、その実績を基に追加投資を判断できます。
対象を1製品群に絞ることで、3か月で運用を開始し、6か月で効果が見え始めることもあります。そこから隣の製品群へ拡張していきます。全社で準備が整うのを待つ進め方を選ぶと、改善の積み上げだけでなく、その先のAI活用へ進む時期も後ろにずれる可能性があります。
「小さく始める」を実現できる製品の条件
ここまでの進め方は、システム側が対応していなければ成立しません。ここで必要になる条件は3つです。
1つ目は、ゼロから業務フローを作り込まずに済むこと。ECR/ECO・NPI・是正処置といった標準プロセスが、あらかじめ用意されている必要があります。2つ目は、サーバー構築などの初期投資が発生しないこと。投資額が大きいほど、合わなかったときに引き返せなくなります。3つ目は、1製品群だけで完結して試せること。
逆にいえば、この3つが揃っていない製品では、どれだけ「小さく始めたい」と考えても、実際には大きく始めるしかなくなります。要件定義・構築・投資の3つを先に求められる製品を選んだ時点で、失敗の条件が揃ってしまうということです。
評価してから広げられる失敗しにくいPLM「Fusion Manage」
この 3つの条件を満たす構成が、Fusion Manageです。BOM・設計変更・承認・品質情報を 1か所に集約するクラウド型のPLM で、サーバーの構築も、ゼロからの要件定義も必要ありません。
導入を決めてから効果を確かめるのではなく、1 製品群で先に評価し、その結果を見てから範囲を広げるかどうかを判断できます。
Fusion Manageには、ECR/ECO(変更管理)、NPI(新製品導入)、CAPA(是正処置)など、事前構成済みの業務プロセス(App Store/テンプレートライブラリ)が用意されており、「標準プロセスをそのまま使う」という考え方を取り入れやすくなっています。
加えて、FusionはクラウドネイティブのSaaSです。サーバー構築、SQL Serverライセンス、専任IT人材といった導入時の初期投資を抑えやすく、運用・保守・アップグレードもオートデスクがSaaSとして提供します。そのため、1製品群でのPoC(検証導入)を現実的なコストとスピードで進められます。導入を決めてから効果を確かめるのではなく、先に評価し、その結果を見てから範囲を広げるかどうかを決める。評価と決断の順序を分けられるため、PLM導入失敗のリスクを抑えながら段階的に展開できます。
なお、PDMとPLMの違いがあいまいな場合は、先に下記記事で整理しておくと判断しやすくなります。
参考:「PDMとPLMの違いとは?企業が見落とす本当の問題」
https://cad-kenkyujo.com/pdm-plm/
PLM導入失敗を防ぐ、1製品群から始めて立ち上げた実在の事例
段階導入の立ち上げでは、30の業務ワークスペースを1日で構成し、最初の5週間で400件超の設計変更(ECO)を処理しました。小さく始め、早期に運用へつなげた実例です。―ME Global(鉱山・重工/Vault + Fusion Manage)
※効果は導入範囲・運用条件により異なります。同社の変更管理そのものの改善数値(ECOリリース時間49%短縮)は下記記事で紹介しています。
参考:「設計変更管理とは?プロセスは整っているのに手戻りが減らない本当の理由」
https://cad-kenkyujo.com/sekkeihenkoukanri/
出典:Autodesk Customer Story/公開事例。
PLM導入に関するよくある質問
PLM導入についてよくある質問をまとめました。PLM導入で失敗したくない方や、全社導入に不安がある方は参考にしてください。
要件定義に時間をかけるほど、完成時には業務の現実とずれてしまう「要件凍結」が起きるためです。要件定義の肥大化、カスタマイズの膨張、後工程の巻き込み遅れが典型です。
対象が限定されるため、要件定義は 1〜2 か月、運用開始は 3〜6 か月が目安です。6 か月ほどで効果が見え始め、その実績を基に次の製品群へ拡張できます。
サーバー構築・データベース・専任 IT 人材といった初期投資は一切かかりません。運用・保守・アップグレードはすべてオートデスクが実行します。
無料診断では何をするのですか。準備は必要ですか。
画面共有で30 分ほど現状をうかがいながら一緒に試算します。資料の準備や社内調整は必要ありません。設計変更が月に何件あるか、最新版の確認にどれくらい時間がかかっているかなど、おおよその感覚でお答えいただける範囲で進みます。その場で自社の数値が出ます。
試した結果、広げないという判断もできますか。
できます。1 製品群で運用してみて効果が見えなければ、範囲を広げない判断が可能です。サーバー構築などの先行投資が発生しないため、「導入を決めた後に合わないと分かる」状態になりません。評価と決断の順序を分けられる点が、従来の PLM との違いです。
PLM導入の失敗についてまとめ
PLM導入で失敗しないためには、最初から全社・全製品を対象にするのではなく、1製品群から小さく始めることが重要です。
Fit to Standardを取り入れ、標準機能を活用しながら段階的に展開することで、要件定義やカスタマイズの肥大化を抑えやすくなります。
自社に合った導入範囲を見極め、無理のない形でPLM導入を進めることが成功への第一歩です。
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