「現場教育が属人化し、技術やノウハウの標準化が進まない」「研修コストを削減し、管理業務を効率化したい」など、現場が抱える課題は、LMS(学習管理システム)の導入で解決できる可能性があります。
本記事では、LMS(学習管理システム)とは何かという基本から導入のメリット、注意点、自社に最適なLMSの選び方まで解説。また、学習管理システム選定の基準となる便利な機能や、使いやすさで比較したおすすめのLMS13選も紹介します。
管理業務の効率化や教育の標準化を実現したい方は、ぜひご一読ください。
LMSとは?
LMS(学習管理システム)とは何か、以下の項目別に解説します。
- LMSの基本定義
- LMSの主な種類
- LMSの費用相場
- LMSが必要とされる背景
- LMS導入をおすすめする企業
現在の教育体制や管理方法に課題を感じている方、業務効率化のヒントを得たい方は、ぜひご一読ください。
LMSの基本定義
LMSは「Learning Management System」の略で、日本語では「学習管理システム」と呼ばれます。LMS(学習管理システム)は、企業内で行われる研修やオンライン学習(eラーニング)の教材コンテンツを、サーバー上でまとめて管理・配信・運用するためのシステムです。
LMSの主な種類
LMS(学習管理システム)の種類は、主に提供形態と機能の2つの軸で分けられます。
| 提供形態 |
|
| 機能 |
|
次に解説します。
クラウド型とオンプレミス型
LMS(学習管理システム)の導入・運用方法には、ベンダーのサーバーを借りてLMSソフトウェアを利用する「クラウド型」と、自社のサーバーにLMSソフトウェアをインストールする「オンプレミス型」があります。
| 比較軸 | クラウド型 | オンプレミス型 |
| サーバー | ベンダーが管理 | 自社で構築・管理 |
| 導入コスト | 安い | 高い |
| 導入スピード | 速い | 遅い |
| 保守・運用 | ベンダーに任せる | 自社で専門スタッフが必要 |
| カスタマイズ性 | 低い | 高い |
導入スピードと管理の手軽さを重視するならクラウド型、独自のカスタマイズや厳格なセキュリティ要件を重視するならオンプレミス型がおすすめです。
特化型と統合型
LMS(学習管理システム)の機能範囲には、特定機能に絞った「特化型」と人材育成全体を管理する「統合型」があります。
| 比較軸 | 特化型 | 統合型 |
| 主な機能 | eラーニング配信など特定機能 | 人材育成の全体 |
| 操作性 | シンプル | 複雑 |
| コスト | 比較的安い | 比較的高い |
| 拡張性 | 低い | 高い |
LMS(学習管理システム)の導入目的が、eラーニング配信など限定的なら特化型、スキル管理や集合研修も含めて、人材育成全体を管理したいなら統合型が適しています。
LMS(学習管理システム)の主要な種類と特徴は以下の記事でも解説しています。ぜひ、参考にしてください。
LMSの主な機能
LMS(学習管理システム)には、主に以下3つの基本機能が備わっています。
| 機能 | 概要 | 主な対象者 |
| 学習管理機能 | 従業員の学習進捗や成績を可視化・集計する | 管理者 |
| 学習受講機能 | パソコンやスマートフォンから教材を閲覧・受講する | 学習者 |
| 教材作成・配信機能 | 動画やマニュアルを教材として登録・割り当てる | 管理者 |
これらの基本機能は、学習管理の効率化や教育の標準化など、企業の人材育成における課題解決に役立ちます。
LMSの費用相場
LMS(学習管理システム)の費用相場は、以下のとおりです。
| 項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
| 料金体系 | 月額・年額の利用料 | 初期費用(ライセンス・構築費) |
| 初期費用 | 5万~50万円 | 100万~数千万円 |
| 運用費用 | 数百~数千円/月 | 数万~20万円/月 |
なお、LMS(学習管理システム)の料金は、必要な機能(特化型・統合型など)や利用人数によっても異なり、その多くは個別の見積もりや資料請求が必要です。
無料プランのあるおすすめのLMS(学習管理システム)については、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
LMSが必要とされる背景
LMS(学習管理システム)が必要とされる背景には、以下の社会的変化が関係しています。
- 働き方の変容:コロナ禍によるテレワークの普及で、従来の集合研修が困難になった
- 専門スキルの高度化:専門分野の知識や技術を標準化する必要性が高まった
従来の集合研修や教育現場(OJT)では、対応しきれない課題を解決する手段として、LMS(学習管理システム)の必要性が高まっています。
LMS導入をおすすめする企業
LMS(学習管理システム)の導入は、特に以下のような課題を持つ企業におすすめです。
- 研修や教育にかかるコストを削減したい
- Excelや紙でのスキル管理や学習進捗の管理を効率化したい
- テレワークの普及などにより、集合研修の実施が困難になった
- 全社・全拠点に均一な品質の教育を実施したい
- OJTの属人化を防ぎ、技術やノウハウを標準化・蓄積したい
上記の課題に一つでも該当する場合は、LMS(学習管理システム)の導入が有効な解決策となります。
LMSにあると便利な機能

LMS(学習管理システム)にあると便利な機能は、以下のとおりです。
| 機能・要素 | 理由 |
| 自社コンテンツの管理・アップロード機能 | 自社の独自教材をそのまま教材として活用できる |
| シンプルな操作性 | 管理者や学習者が直感的に使えるため、LMS(学習管理システム)活用に余計な労力がかからない |
| 学習進捗の見やすさ | 管理者が学習者の進捗状況を一目で把握でき、学習管理が楽になる |
| コンテンツ併用の柔軟性 | 自社教材と外部教材を一つのLMS(学習管理システム)で管理でき、管理者の負担が軽減される |
| マルチデバイス対応 | スマートフォンやタブレットからも学習できるため、利便性が高まる |
| 通知・リマインド機能 | 未受講者への自動的な催促が可能となり、管理者による受講促進工程を削減できる |
導入後の運用をスムーズにするためには、基本機能に加えて上記の機能・要素にも着目して自社に最適なLMS(学習管理システム)を選びましょう。
【使いやすさで比較】おすすめLMS13選

ここでは、使いやすさに着目したおすすめのLMS(学習管理システム)を13製品紹介します。
| LMS | 自社コンテンツの進捗管理 | 他社コンテンツとの併用 | 操作感 | 料金プラン(目安) | 導入形態 | 機能分類 |
| Aircourse | 〇 | 〇 | 直感的でシンプル | 月額360円/ID~ | クラウド型 | 特化型 |
| LearningWare | 〇 | 〇 | 標準的 | 月額2万円~ | クラウド型 | 統合型 |
| 学びばこ | 〇 | 〇 | 標準的で柔軟 | 月額8,000円/5名~ | クラウド型 | 特化型 |
| CAREERSHIP | 〇 | 〇 | 標準的 | 要問合せ | クラウド型/オンプレ型 | 統合型 |
| LearnO | 〇 | 〇 | 直感的 | 月額4,900円/50人~ | クラウド型 | 特化型 |
| UMU | 〇 | 〇 | 直感的でシンプル | 月額4,000円/アカウント~ | クラウド型 | 統合型 |
| Schoo for Business | ✖ | 〇 | シンプル | 月額1,650円/ID~ | クラウド型 | 特化型 |
| WisdomBase | 〇 | 〇 | 標準的 | 要問合せ | クラウド型 | 統合型 |
| Cloud Campus | 〇 | 〇 | 標準的 | 要問合せ | クラウド型 | 統合型 |
| e-JINZAI LMS | 〇 | ✖ | 標準的 | 初期費用0円~ | クラウド型 | 特化型 |
| manebi eラーニング | 〇 | 〇 | シンプル | 月額1万9,800円~ | クラウド型 | 特化型 |
| Smart Boarding | 〇 | 〇 | 直感的 | 月額1,080円/ID~ | クラウド型 | 特化型 |
| Generalist | 〇 | 〇 | 標準的 | 要問合せ | クラウド型/オンプレ型 | 統合型 |
ぜひ、自社の目的に合うLMS(学習管理システム)選びの参考にしてください。
LMS導入のメリット

LMS(学習管理システム)を導入するメリットは、以下のとおりです。
- 【管理者】学習管理の工数を削減できる
- 【学習者】場所や時間を選ばず学習できる
- 【企業】教育コストを削減し育成データを活用できる
次にそれぞれ解説します。
【管理者】学習管理の工数を削減できる
LMS(学習管理システム)の導入は、学習管理にかかる工数を大幅に削減します。これまで紙やExcelで行っていた従業員の学習進捗の可視化やテスト結果の集計は、LMSが自動で実施します。管理者は面倒な作業から解放され、より付加価値の高い業務への専念が可能です。
【学習者】場所や時間を選ばず学習できる
LMS(学習管理システム)導入のメリットは、場所や時間を選ばず、自分のペースで学習できることです。パソコンやスマートフォンから教材にアクセスできるため、現場で操作に迷った際や忙しい業務の合間などに、必要な知識にすぐにアクセスでき、効果的なスキル習得が可能です。
【企業】教育コストを削減し育成データを活用できる
企業全体としては、学習管理システムの導入により、教育コストの削減と育成データの戦略的な活用というメリットがあります。まず、集合研修にかかっていた会場費や交通費などのコストを削減できます。
さらに、LMSに蓄積された客観的なデータを分析することで、戦略的な人材配置や育成計画に活かせるため、企業活動全体の効率向上も実現可能です。
LMS導入の注意点

LMS(学習管理システム)導入の注意点は、以下のとおりです。
- 導入・運用コストの発生
- 教材コンテンツ作成の負担
- 受講者のモチベーション維持の必要性
システム導入後の失敗を避けるためにも、ぜひご一読ください。
導入・運用コストの発生
LMS(学習管理システム)の導入には、初期費用と継続的な運用費用が発生します。
クラウド型は初期費用をおさえられますが、月額利用料が継続的にかかります。一方、オンプレミス型は初期費用が高額になり、さらにシステム維持のための保守費用や専門の運用スタッフの人件費が必要です。
導入後に予算を超過しないよう、初期費用だけでなく、数年間の総運用コストを正確に把握しておくことが重要です。
教材コンテンツ作成の負担
LMS(学習管理システム)はシステムを提供するものであり、利用するための教材コンテンツは、原則として自社で用意します。
特に、製造業や建設業のように独自の技術やノウハウが多い分野では、動画マニュアルや手順書など、質の高い自社教材を一から作成する手間と時間が負担となります。コンテンツ作成の時間と人員を確保できない場合、学習システムの導入効果は薄れてしまうため注意が必要です。
受講者のモチベーション維持の必要性
eラーニングは従来の集合研修と異なり、学習者の自発的な学習意欲に依存します。LMS(学習管理システム)を導入しても、受講者が「やらされている」と感じたり、学習が孤独になったりすると、途中で離脱してしまう可能性があります。
システム導入後も、学習進捗に応じて管理者からの声かけや研修を完了させるインセンティブを与えるなど、モチベーション維持のための運用上の工夫が必要です。
LMSの失敗しない選び方6つのコツ

ここでは、LMS(学習管理システム)選びで後悔しないために、以下の6つのコツを解説します。
- 導入目的に合った機能があるか
- シンプルで操作性がわかりやすいか
- 学習進捗の見やすさが担保されているか
- 料金体系が予算に合っているか
- サポート体制が充実しているか
- マルチデバイス対応は可能か
上記を基準に学習管理システムを選ぶことで、導入後のミスマッチを回避できるでしょう。
①導入目的に合った機能があるか
LMS(学習管理システム)は、機能の多さではなく、自社に必要な機能が備わっているかを基準に選びましょう。まず、何のために導入するのか目的を明確にし、必要な機能が過不足なく備わっているか確認します。
特に、自社の独自コンテンツの管理・アップロード機能や、外部コンテンツとの併用が目的に不可欠か判断することが重要です。機能の多い統合型は高価になりがちなので、目的達成に必要な機能のみを持つ特化型や統合型を選ぶのが得策です。
②シンプルで操作性がわかりやすいか
マニュアルなしで直感的に操作できる、シンプルな操作性のLMS(学習管理システム)を選びましょう。LMSを導入しても、管理者や学習者が使わなければ意味がありません。操作性が複雑だと、活用のために余計な労力がかかります。
③学習進捗の見やすさが担保されているか
管理画面やダッシュボードで、従業員一人ひとりの学習進捗データが一目で把握できる学習管理システムを選ぶのがおすすめです。データがわかりにくいLMSを選ぶと、管理者による適切なフィードバックが難しくなります。
④料金体系が予算に合っているか
LMS(学習管理システム)を選ぶ際は、利用人数や必要な機能を踏まえて、自社の利用規模に合わせた料金体系が予算内におさまるかもポイントです。料金は、初期費用だけでなく、月額利用料や運用費用も含めた総コストで判断します。
特に、オンプレミス型や高機能な統合型を選ぶ場合は、導入後のサポート費用も総コストに含めて考える必要があります。
⑤サポート体制が充実しているか
導入時のセットアップ支援や教材作成のサポート、運用開始後のトラブル対応など、サポート体制が充実しているベンダーが提供しているLMS(学習管理システム)を選ぶことも重要です。特に、オンプレミス型や大規模なカスタマイズを希望する場合は、手厚いサポートが不可欠です。
⑥マルチデバイス対応は可能か
LMS(学習管理システム)を選ぶ際は、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスからの学習に対応しているかも確認しましょう。特に、現場での作業が多い製造業や建設業などでは、場所を選ばず現場でマニュアルを確認できる利便性が重要です。
LMSの導入・活用事例

ここでは、以下企業のLMS(学習管理システム)の導入・活用事例を見ていきます。
- 株式会社ポーラ
- アサヒビール株式会社
- ミズノ株式会社
学習管理システムの導入が、企業の課題解決にどのように貢献しているのか把握したい方は、ぜひ参考にしてください。
株式会社ポーラ
大手化粧品メーカーの株式会社ポーラでは、全国のビューティーディレクターへの教育品質にばらつきがあることが課題でした。LMS(学習管理システム)の導入により、知識習得はオンライン、実技は対面で行う教育体制を構築。
これにより、研修場所や時間の拘束がなくなり、全社員に均一な品質の教育を提供できるようになったほか、学習コンテンツの修了率向上も実現しています。
アサヒビール株式会社
アサヒビール株式会社では、既存のeラーニングシステムの利用率が低いという課題を抱えていました。そこで、LMS(学習管理システム)を一新し、社員のキャリア形成を支援する仕組みを導入。
結果、eラーニングの利用率が12倍に増加したほか、事前学習とテストをLMSで実施することで、集合研修の効果も高まり効率的な人材育成を実現しています。
ミズノ株式会社
総合スポーツメーカーのミズノ株式会社では、全国の販売店スタッフの接客スキル向上を目的として学習管理システムが導入されました。商品知識や接客ノウハウを動画マニュアルとして、LMSに集約し、スタッフが場所や時間を選ばず学習できる環境を整備。
これにより、全国の店舗でサービスの標準化と品質向上を達成しています。
あわせて、LMS導入を成功させるコツも把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。
LMSについてまとめ
LMS(学習管理システム)は、Excelや紙でのスキル管理、OJTの属人化など、企業の人材育成における課題を解決するシステムです。研修コストを削減したい、管理業務を効率化したい、全社で均一な教育を実施したい、これらの課題を持つ企業におすすめです。
LMS(学習管理システム)の導入により、管理者の工数削減や戦略的な人材育成が可能になり、業務効率化が期待できます。本記事を参考に、ぜひ自社に最適なLMS(学習管理システム)を選んでください。