「建設DX研修を導入したいが、どの研修を選べばよいかわからない」「BIM/CIMやICT施工など課題は多いのに、自社に合う建設向け研修が見つからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。建設業では、システムやツールを導入するだけでは、思うように成果につながらないケースも少なくありません。
とはいえ、建設DX研修といっても、基礎知識を学ぶものから、BIM/CIMやICT施工など実務に直結するものまで内容はさまざまです。そのため、自社の課題に合わない建設DX研修を選んでしまうと、受講しても現場で活かしにくくなるおそれがあります。そこで本記事では、建設業向けのおすすめDX研修7選を紹介するとともに、建設DX研修を課題別にどう選べばよいのかなどわかりやすく解説します。
建設DXとは?

建設DXとは、建設業の業務や働き方を、デジタル技術を活用して根本から見直していく取り組みのことです。単にソフトやツールを入れるだけではなく、設計、施工、管理、情報共有までの流れを見直し、現場全体の生産性を高めることが目的です。
たとえば、建設業における紙の図面や手書きの報告をデータ化したり、BIM/CIMやクラウドを使って関係者間の情報共有をスムーズにしたりすることも、建設DXの一例といえます。
建設業でDX研修が必要とされる理由

建設業でDX研修が必要とされる理由は主に以下3点が課題となっているためです。
- 人手不足と働き方改革への対応が急務だから
- 属人化した業務を標準化・効率化する必要があるから
- BIM/CIM・3次元データ活用に対応する必要があるから
①人手不足と働き方改革への対応が急務だから
建設業でDX研修が必要とされる理由の一つは、深刻な人手不足と働き方改革への対応が求められているためです。国土交通省が公表している「建設業における人材確保に向けた取り組みについて」を見てみると、平成9年の就業者数をピークに令和5年までで就業者数は約200万人減少しています。

また、建設業では長時間労働の是正や生産性向上も同時に進めなければならず、従来のやり方だけでは現場を維持しにくくなっています。こうした状況で重要になるのが、建設DXを現場で使いこなせる人材を育てるための研修なのです。
②属人化した業務を標準化・効率化する必要があるから
建設業でDX研修が必要とされる理由には、属人化した業務を見直し、標準化と効率化を進める必要があることも挙げられます。建設の現場では、
- 工程管理
- 施工管理
- 報告書作成
- 写真管理
- 情報共有
など、多くの建設業務が担当者ごとの経験や判断に頼って進められてきました。そのため、担当者が変わると作業の質や進め方に差が出たり、必要な情報がうまく引き継がれなかったりすることが建設業では多いです。このような状態では、建設DXのためにツールを導入しても、現場全体で十分に活用されない可能性があるのです。
③BIM/CIM・3次元データ活用に対応する必要があるから
建設業でDX研修が必要とされる背景には、BIM/CIMや3次元データ活用への対応が欠かせなくなっていることもあります。近年の建設業では、設計や施工、維持管理の各段階で、より高度なデジタル技術の活用が進んでいます。たとえば、
- BIM/CIMを使って設計情報を立体的に共有
- 3次元データを活用して建設施工計画や現場管理の精度を高める
といった動きが広がっています。しかし、建設DXの取り組みは、ツールだけ導入してもすぐに定着するわけではありません。建設業の現場担当者や管理者が基本的な考え方や使い方を理解していなければ、効果を得ることは難しいでしょう。そのため、建設業ではBIM/CIMや3次元データ活用を正しく理解し、実務に落とし込むための建設DX研修が必要になります。
以下の記事では、建設業界の企業研修についても紹介していますので、あわせてご覧ください。
建設DX研修の選び方
建設DX研修を選ぶときは、知名度や料金だけで判断するのではなく、自社の課題や現場で必要とされるスキルに合っているかを確認することが大切です。ここでは、建設DX研修を選ぶ際に押さえておきたいポイントを3つに分けて解説します。
- 一般的なDX研修ではなく建設業特化か
- BIM/CIM・CADなど必要スキルに対応しているか
- 講義だけでなくワークや実習があるか
①一般的なDX研修ではなく建設業特化か
建設DX研修を選ぶうえでまず確認したいのが、その研修が一般論としてのDXを学ぶ内容なのか、それとも建設業に特化しているのかという点です。一般的なDX研修では、デジタル化の考え方や業務改善の進め方を広く学べる一方で、建設業ならではの課題までは扱われないことがあります。
たとえば、建設業における現場での情報共有、工程管理、施工管理、図面運用、協力会社との連携などは、建設業特有の事情が色濃く出る領域です。そのため、建設の現場に落とし込みやすいDX研修を選ばないと、学んだ内容が実務に結びつきにくくなります。建設業特化の研修であれば、業界特有の業務フローや課題を前提に進められるため、受講後に現場で活用しやすく、建設DXの定着にもつながりやすくなります。
②BIM/CIM・CADなど必要スキルに対応しているか
建設DX研修を比較する際は、建設業で実際に求められるスキルに対応しているかも判断軸です。たとえば、設計部門や技術部門ではBIM/CIMやCADの活用スキルが重要になりやすく、施工管理の現場では3次元データの確認やデジタル図面の共有、情報管理の知識が求められることもあります。
ここで注意したいのは、DX研修という名称だけで選んでしまうと、建設業務に必要なスキルが十分に学べない場合があることです。建設業向けのDX研修を選ぶなら、BIM/CIMやCADなど、自社の業務改善に直結する内容が含まれているかを細かく確認しましょう。
また、CADの操作などを学習したいときはDX研修だけに執着する必要はありません。そこでおすすめなのが「AutoCAD基礎セミナー講習」です。AutoCAD基礎セミナー講習は、建設DXについて学習できるわけではありませんが、AutoCADの画面操作や初期設定、図面比較機能など建設DXを推進する上で必要なスキルを身につけられます。以下のリンクから、まずは詳細をチェックしてみてください。
| セミナー名 | AutoCAD基礎セミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 29,700円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
③講義だけでなくワークや実習があるか
建設DX研修を選ぶ際には、座学中心の講義だけで終わるのではなく、ワークや実習が含まれているかも確認しておきたいところです。建設DXは、考え方を理解するだけで進むものではなく、実際の業務の中でどう使うかまでイメージできて定着しやすくなります。
たとえば、建設業界のBIM/CIMの基本を学んでも、実際の建設業務に近いケースで演習したりする機会がなければ、理解が浅いままで終わってしまうことがあります。特に建設現場では、実務とのつながりが見えない建設研修は活用されにくく、受講後に学んだだけで終わることも少なくありません。そのため、建設DX研修を選ぶときは、講義に加えて演習、グループワークなどが用意されているかを確認することが重要です。
タイプ別|建設業向けおすすめDX研修7選

ここからはタイプ別に建設業向けおすすめDX研修を7つ紹介します。
| タイプ | 研修名 | 運営元 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 建設DXの全体像を学べる | DX研修・人材育成プログラム | GETT Proskill | スキル診断から実務スキルまで一貫して学べる |
| 建設業向けDX推進研修 | インソース | 経営視点で建設DXの推進方針を整理できる | |
| DX研修 | Schoo | 全社員のDXリテラシーを底上げできる建設DX研修 | |
| BIM/CIM・ICT施工に強い | 建設DX推進人材育成研修 | チェンジ×スカイマティクス | BIM/CIMや3次元データ活用を実務レベルで習得できる |
| インフラDX研修 | 国土交通省 | ICT施工やBIM/CIMを実習で学べる建設DX研修 | |
| 企業ごとに内容を最適化しやすい | 建設会社・不動産会社の人材育成研修 | カナン株式会社 | 企業課題に合わせて柔軟に設計できる |
| 現場代理人育成研修プログラム | 日本コンサルタントグループ | 建設業の人材育成と業務改善を一体で支援する |
①建設DXの全体像を学べる研修
まずは建設DXの全体像を学べる研修を3つ紹介します。
- DX研修・人材育成プログラム|GETT Proskill
- 建設業向けDX推進研修|インソース
- DX研修|Schoo
DX研修・人材育成プログラム|GETT Proskill
DX研修・人材育成プログラムは、建設業でDXを進めるうえで必要な基礎理解から実務スキルまでを広く学びやすい点が特徴です。最初にDXスキルチェックテストで組織全体や階層ごとのDXレベルを可視化し、その結果をもとに研修カリキュラムを組みます。
また、建設DXに必要なCAD・CAM・BIM分野ではAutoCAD建築研修やBIM基礎研修、Revit研修なども用意されているため、建設DXの全体像を学んだあとに、建設の実務に近いスキルへつなげやすい構成です。建設業で「まずDX研修の全体を押さえたい」「その後に建設業務へ展開したい」と考える企業に向いている研修といえます。
建設業向けDX推進研修|インソース
インソースの建設DX研修は、建設業の管理職や経営層が、建設DXを単なるIT導入ではなく経営課題として捉えるための内容に強みがあります。建設業界の他社事例をもとに、組織におけるDX推進の方向性を検討する建設研修で、変革の目的と効果を経営視点で整理し、業務の中で詰まりやすい工程を洗い出し、建設DXを進める体制や道筋まで具体化します。
研修プログラムには、建設業DXの基本理解、BIM一貫利用、設計・施工・維持管理のデータ連携、ドローンや遠隔操作技術なども含まれており、建設DXの全体像を経営視点から学びたい企業に適していると言えるでしょう。
DX研修|Schoo
SchooのDX研修は、建設業でDXを広く浸透させたい企業に向いたリテラシー底上げ型の研修です。社員一人ひとりのDXスキルを診断し、建設業界における部署ごとの課題や強みを把握したうえで、現状分析や施策効果の測定に活用できます。
また、建設業に限らない事例を通じて自社での活用場面をイメージしやすい反面、実践的なワークよりも講義形式で基礎理解を深める構成です。そのため、建設DX研修としては、BIM/CIMやCADのような建設特化の実習を学ぶ場というより、建設会社全体でDXの考え方や共通言語をそろえるための入口として使いやすい研修です。
②BIM/CIM・ICT施工に強い実務研修
次に紹介するのは、BIM/CIM・ICT施工に強い実務に直結した建設DX研修を2つ紹介します。
- 建設DX推進人材育成研修|チェンジ×スカイマティクス
- インフラDX研修|国土交通省
建設DX推進人材育成研修|チェンジ×スカイマティクス
チェンジの建設DX推進人材育成研修は、BIM/CIMやICT施工を現場で使える実務力として身につけたい企業に向いた内容です。建設DXを座学で理解するだけでなく、3Dモデルの生成と活用、出来形管理までを体系的に学べる構成になっています。
導入編に加えて、応用編として「点群処理演習徹底コース」と「3次元設計データ作成スキル習得コース」が用意されているため、建設の現場で必要になるDX研修を段階的に深めやすい点が特徴です。また、建設業に必要なドローン測量を中心とした三次元モデルの生成や、3次元設計データの活用ができるようになることを目指しており、建設DX研修の中でも実務寄りの色合いが強い研修といえます。
インフラDX研修|国土交通省
国土交通省近畿地方整備局のインフラDX研修は、建設DXのうちBIM/CIMやICT施工を実習を通じて学びたい人に適した公的な研修です。近畿インフラDX推進センターで建設業における人材育成を目的に複数の研修を実施しており、その中に「ICT活用研修」と「BIM/CIM施工研修」があります。
ICT活用研修では、業界の生産性向上や働き方改革を目指し、3次元データを測量から施工、検査まで活用するための知識や技術を学びます。また、BIM/CIM施工研修では、BIM/CIMモデルで作成された3次元設計データをICT施工で活用するために、データの受け渡し技術を習得する実習を行う内容です。
③企業ごとに内容を最適化しやすいカスタマイズ研修
最後は企業ごとにカスタマイズができる建設DX研修を2つ紹介します。
- 建設会社・不動産会社の人材育成研修|カナン株式会社
- 現場代理人育成研修プログラム|日本コンサルタントグループ
建設会社・不動産会社の人材育成研修|カナン株式会社
カナン株式会社の建設会社・不動産会社の人材育成研修は、企業ごとに内容を最適化しやすいカスタマイズ型の建設DX研修です。建設・不動産業界に精通した専門家講師が、受講対象者に最適化した「業務実践型オーダーメイドDX研修」を提供します。
また、建設会社の事業内容や部門に応じて、DX研修を分けて提供しており、講師派遣とオンラインの両方に対応しています。BIMや建物OSなどのデジタル技術、データ活用、取組事例、人材育成まで含めて包括的に扱っているため、建設会社ごとの課題や理解度に合わせて研修を調整しやすい点が特徴です。
現場代理人育成研修プログラム|日本コンサルタントグループ
日本コンサルタントグループの現場代理人育成研修プログラムは、企業ごとの課題に応じて内容を調整しやすい建設業特化の人材育成・コンサルティング支援です。建設業出身のコンサルタントが、建設業に特化したDX研修を提供します。
さらに、建設業界の共通課題として人材不足や定着率低下、長時間労働、業務効率化やコスト削減、安全配慮の強化などを挙げたうえで、経営戦略の見直しや人材育成の必要性を学べる構成です。そのため、建設業界の現場強化や人材育成を企業ごとの状況に合わせて組み立てたい会社に向いた支援といえます。
以下の記事では、おすすめのDX研修を20個紹介していますので、あわせてご覧ください。
建設DX研修についてのまとめ
建設業でDXを進めるには、単にツールやシステムを導入するだけでは不十分です。現場で実際に活用できる知識やスキルを身につけるためには、自社の課題に合った建設DX研修を選ぶことが欠かせません。
特に建設業では、人手不足への対応、属人化した業務の見直し、BIM/CIMや3次元データ活用への対応など、業界特有の課題が多くあります。そのため、一般的なDX研修ではなく、建設業の実務に即した研修を選ぶことが重要です。まずは自社が建設DX研修を通じて何を解決したいのかを整理し、そのうえで現場に定着しやすい研修を選びましょう。
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