営業職は、企業の売上に直結する重要な役割を担う職種として、あらゆるビジネスシーンで必要不可欠な存在です。しかし、一口に「営業」といっても、対象となる顧客や営業手法、アプローチ方法によって、その業務内容や求められるスキルは大きく異なります。
本記事では、営業職の基本的な役割から、顧客タイプ別・目的別・形態別・手法別といった視点から営業の種類を整理し、それぞれの特徴と求められるスキルを詳しく解説します。また、営業職として成果を上げるために必要な4つの重要スキルについても紹介します。
営業とは
営業職は、企業の商品やサービスを顧客に提供し、その対価として収益を得るための活動を行う職種です。販売活動だけではなく、顧客のニーズを深く理解し、最適なソリューションを提案することで、顧客と企業の両者にとって価値のある取引を実現させることが営業の本質です。
下記では営業のコツについて紹介しています。ぜひ参考にしてください。
営業の種類

営業活動の形態は、ビジネス環境やターゲット顧客によって大きく異なります。下記では営業の種類についてまとめています。
| 分類基準 | 営業タイプ | 主な特徴 | 求められるスキル |
| ①顧客タイプ | 法人営業(BtoB) |
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| 個人営業(BtoC) |
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| ②営業目的 | 新規開拓営業 |
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| ルート営業(既存営業) |
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| ③営業形態 | 対面営業(フィールドセールス) |
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| 電話営業(テレアポ) |
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| オンライン営業(インサイドセールス) |
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| ④営業手法 | インバウンド営業 |
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| アウトバウンド営業 |
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①顧客タイプ別の営業
営業対象を法人か個人かで分けると、営業プロセス、必要なスキル、営業戦略が大きく異なります。顧客の属性を正確に把握し、それに合わせた営業手法を展開することが大切です。
法人営業(BtoB営業)
法人営業(BtoB営業)は、企業を相手に行う営業活動です。法人営業は、購入を決定するまでに複数の部門・複数の意思決定者の承認が必要になることが多くあります。
例えば、営業担当者との商談では提案内容に納得していても、決裁者となる部長や経営層から承認が得られず、成約に至らないというケースもあります。そのため、法人営業では、顧客のニーズを引き出すヒアリング力や経営層を納得させるための論理的提案力が重要です。
個人営業(BtoC営業)
個人営業(BtoC営業)は、一般消費者個人を相手に行う営業活動です。個人営業は、意思決定が早く、購入者が決裁者になります。個人の生活利便性向上や楽しみを求めての購入が多いため、商品説明だけではなく、顧客の心理や生活スタイルに合わせた提案が有効です。
個人営業では、顧客のニーズを瞬時に判断する理解力や相手を納得させ信頼を勝ち取る人間関係の構築力が必要になります。
②営業目的別の分類
営業の目的は大きく分けると「新規顧客の開拓」と「既存顧客の維持・強化」に分類されます。下記で詳しく見ていきましょう。
新規開拓営業
新規開拓営業(新規営業)は、取引のない潜在顧客に対して、ゼロから関係を築き、商談の機会を作り、受注までもっていく営業活動です。顧客との信頼関係がゼロからのスタートなので、相手は企業や商品について関心を持っていないと受注が難しいです。
そのため、新規開拓営業では、顧客がまだ気づいていない課題を引き出す課題発見力や課題解決のための魅力的な提案を作成する提案力が必要になります。
ルート営業(既存営業)
ルート営業(既存営業)は、すでに取引実績のある既存顧客に対して、定期的に訪問・接触し、関係を維持・強化する営業活動です。ルート営業は、既存顧客が対象なので、営業先が定まっており、商談のアポイントが取りやすいです。
ルート営業では、顧客との信頼関係を深める構築力や定期的な訪問を通じて顧客のニーズ変化を把握する理解力などが必要になります。
③営業形態別の分類
営業にはさまざまな業務形態があり、それぞれ効率性、顧客への訴求力、運用方法が大きく異なります。営業形態について詳しく解説します。
対面営業(フィールドセールス)
対面営業(フィールドセールス)は、営業担当者が顧客の元に直接訪問し、対面で商談を進める営業活動です。対面営業では、顧客と直接対面するので、メールや電話では伝えられない情報を与えることができます。
そのため、対面営業では、第一印象を大切にするビジネスマナーや顧客に自社の提案を効果的に伝えるプレゼンテーション能力が重要です。
電話営業(テレアポ)
電話営業(テレアポ)は、電話で直接アプローチし、商談のアポイント取得や商品・サービスの紹介を行う営業活動です。電話営業は、移動時間などがないため、1日に多くの顧客にアプローチすることが可能です。
ただし、対面ではないため、拒絶率が高い傾向にあります。そのため、電話営業では、電話越しの声と話術を鍛える電話トークスキルや相手の反応に即座に対応する対応力が重要です。
オンライン営業(インサイドセールス)
オンライン営業(インサイドセールス)は、メール、チャット、Zoom等のビデオ会議ツール、電話などを使って商談設定から受注までを行う営業活動です。
オンライン営業は、見込み客が購買段階に進むまで、メールで情報提供、ビデオ会議でヒアリング、チャットでのフォローなど、顧客の進捗段階に応じた多様なコミュニケーション手段が活用できます。
オンライン営業では、見込み客のニーズや課題を引き出すヒアリング力や段階的に顧客を育成していくナーチャリングスキルが重要です。
④営業手法別の分類
営業には「インバウンド営業」と「アウトバウンド営業」の2つのアプローチ方法があります。以下では2つのアプローチ方法を見ていきましょう。
インバウンド営業
インバウンド営業は、顧客が自社に関心を持ち、問い合わせや資料請求などで主体的にアプローチしてくるのを待つ営業手法です。インバウンド営業は、すでに顧客が自社に関心を示している状態からのスタートであるため、成約率が高い傾向にあります。
そのため、インバウンド営業では、既に関心を持っている顧客に対して信頼を深める構築力や顧客の詳細なニーズを引き出すヒアリング力などが大切です。
アウトバウンド営業
アウトバウンド営業は、企業側から見込み客に対して主動的にアプローチする営業手法です。アウトバウンド営業は、営業するターゲットを企業側で選定できるので、企業規模、見込み度などの条件に合わせた顧客を取得できます。
そのため、アウトバウンド営業では、見込み客の関心を短時間で引くキャッチスキルやターゲットとなる企業のニーズを事前にリサーチし提案する、ターゲティングスキルなどが重要です。
営業職に必要な4つの重要スキル

営業で成果を上げるためには、さまざまなスキルが必要です。以下では営業職に必要なスキルを4つ紹介します。
- ヒアリング力
- 課題発見力と提案力
- 論理的思考力と交渉力
- PDCAサイクルを回す力
①ヒアリング力
ヒアリング力とは、顧客の質問や共感を通じて、潜在的なニーズや課題を正確に理解する力です。 営業の成果は、ヒアリングの質に左右されると言っても過言ではありません。
ヒアリング力を高めるためには、相手に好意を持って傾聴し、適切なタイミングで質問を重ねることが重要です。相手の話を遮らず、最後まで聞くことで、顧客は「この営業担当者は自分を理解してくれている」と感じ、信頼関係が構築されます。
②課題発見力と提案力
課題発見力とは、顧客が抱えている潜在的な問題を見つけ出す力であり、提案力とはその課題に対する最適なソリューションを顧客に分かりやすく伝える力です。
課題発見力を高めるためには、業界知識を深め、顧客のビジネスを理解することが前提となります。顧客の求めているものを把握した上で、ヒアリング行い、隠れた課題を引き出すことで、より質の高い提案が可能です。
③論理的思考力と交渉力
論理的思考力とは、複雑な問題を整理し、筋道立てて説明する力であり、交渉力とは利害関係が異なる相手と、双方が納得できる合意に至らせる力です。
論理的思考力を磨くためには、提案内容を顧客にとって分かりやすい具体的な言葉で説明する訓練が必要です。また、営業活動の振り返りを通じて、「なぜこの商談が成功したのか」「失敗した理由は何か」を分析し、論理的な思考習慣を身に付けましょう。
④PDCAサイクルを回す力
PDCAサイクルとは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(検証)→ Action(改善)を繰り返すことで、営業活動を継続的に改善する方法論です。 営業職において、自分の成果を分析し、改善を重ねる力は、長期的な成長に大切です。
PDCAサイクルを効果的に回すためには、短期間で実行と検証を繰り返すことが重要です。商談直後に「何がうまくいったのか」「何が改善可能か」を記録し、次回の商談に反映させることで、営業スキルが着実にアップします。
営業力を身につけるならジェネラル教育セミナー
営業職で必要なスキルを体系的に学びたいなら、GETT Proskill ジェネラル教育セミナーがおすすめです。「ヒアリング力」「課題発見力と提案力」「論理的思考力と交渉力」「PDCAサイクルを回す力」といった営業の核となるスキルを、効率的に習得できます。
| セミナー名 | ジェネラル教育セミナー講習 |
|---|---|
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| 受講形式 | eラーニング |
営業職で役立つ資格

営業職として安定した成果を上げ、キャリアを構築していくためには、実務経験を積むことと同時に、専門知識を深める努力も重要です。ここでは営業職に役立つ資格を紹介します。
- 全業界共通で役立つ資格
- 業界別に役立つ資格
①全業界共通で役立つ資格
営業職であれば、業界を問わず、どのような営業スタイルにおいても役立つ資格があります。
| 資格名 | 特徴 |
| 営業士 | 営業活動の基礎から応用までを体系的に学べる。営業プロセス、マーケティング、営業企画の知識を証明でき、キャリアチェンジやスキルアップに有効 |
| MOS | ExcelやWordなどのオフィススキルを証明する国際資格。資料作成やデータ管理の効率化に役立ち、営業の業務効率と説得力を高める。 |
| TOEIC | ビジネス英語の能力を測る国際資格。海外取引に必要な英語力を証明。コミュニケーション、メール対応、プレゼン、国際交渉の能力を示し、外資系企業や海外顧客対応において大きなアドバンテージとなる。 |
上記の資格は、営業活動に直結するスキルを証明するものであり、転職の際にも高く評価されます。
下記は、MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)のおすすめテキストを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
②業界別に役立つ資格
営業の対象業界によって、求められる専門知識は大きく異なります。業界別資格を取得することで、顧客の信頼を得やすくなり、より複雑で高額な商談にも対応できるようになります。
| 業界 | 役立つ資格 |
| 金融・保険業界 |
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| 不動産業界 |
宅地建物取引士
不動産業界の最重要資格。営業が契約段階まで顧客対応でき、信頼関係をより強固に。 |
| IT業界 |
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| 建設・製造業界 |
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製造業・建設業における営業の特徴

製造業や建設業は、他の業界と比べて営業活動の特性が大きく異なります。ここでは、製造業や建設業における営業の特徴を詳しく見ていきましょう。
- 建設業の営業職の仕事内容
- CAD設計を活用した営業戦略
- 求められるスキル
建設業の営業職の仕事内容
建設業の営業職は、建物や構造物という大規模で複雑なプロジェクトの受注獲得と完成までの全プロセスに携わる責任の重い職種です。また、建設の営業は、契約後も建設工事の進行中に顧客との窓口となり、施工管理部門と顧客をつなぐ調整役も果たします。
CAD設計を活用した営業戦略
建設業や製造業の営業活動では、3Dモデルやレンダリング画像などで、顧客に完成予想図を具体的に示したりすることにCADを活用します。また、VRやAR技術と組み合わせたCAD設計データを使用すると、遠隔地の顧客にも立体的で詳細な製品説明が可能になります。
求められるスキル
建設業の営業職として成功するためには、一般的な営業スキルに加えて、業界特有の専門知識と高度なコミュニケーション能力が必要です。
| カテゴリ | 詳細 |
| 専門知識 | 建築基準法、都市計画法などの法規制、建築工法・材料に関する知識、コスト構造の理解が必須。適切なコスト見積もりを提示できることが信頼獲得のカギ |
| コミュニケーション能力 | 複雑な技術内容をわかりやすく説明する「翻訳力」、予算・スケジュール・仕様についての交渉力、双方が納得できる落としどころを見つける折衝能力が必要。 |
| CAD設計理解 | CADソフトウェアの基本操作知識は大きな武器となる。設計部門と円滑に連携し、顧客の要望をCADで具現化するプロセスを理解していることが重要。 |
| 資格取得とキャリアアップ | 建築士、施工管理技士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を持つことで、より高度な提案が可能となり、キャリアアップにつながる。 |
営業職についてのまとめ
営業職は、企業の売上を直結させる重要な職種であり、顧客のニーズを理解し、課題を解決するためのパートナーとしての役割があります。営業として安定した成果を上げるには、4つの核となるスキルを身に付けることが大切です。営業職は、企業内でも最も成長できるやりがいのある職種です。