AWSはクラウド分野で幅広いサービスを展開していますが、その中でも近年注目されているのが生成AI分野の取り組みです。AWSの生成AIは、大規模言語モデルや画像生成などの最新技術を、既存のAWS環境に統合して利用できる点が特徴です。
本記事では、AWSにおける生成AIサービスの種類やメリット、活用事例、注意点などをわかりやすく解説します。
AWSの生成AIとは?
AWSの生成AIとは、Amazonが提供するクラウド環境上で、大規模言語モデルや画像生成モデルなどの生成AI技術を利用できるサービス群の総称です。
種類としては主に
- モデル開発や学習、推論を支える基盤(Amazon SageMaker)
- 複数モデルをAPI経由で利用できるプラットフォーム(Amazon Bedrock)
- AWS独自のモデル群(Amazon Titan、Nova)
- 業務支援ツール(Amazon Q、CodeWhisperer)
などがあり、企業や開発者は目的や用途に合わせて上記を選び、既存のAWS環境と統合しています。なお、AWSの概要について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
AWSにおける生成AIサービスの種類

AWSにおける生成AIサービスの種類としては、主に以下のようなものがあります。
| クラウド | 主なサービス | モデル選択肢 | 料金体系 | 運用難易度 |
|---|---|---|---|---|
| AWS |
|
◎ 自社+他社FM多数丸 |
従量課金(モデル別) 利用量ごと |
丸 |
| Azure |
|
〇 主にOpenAI系+MS独自 |
従量課金 プリペイドあり |
〇 |
| Google Cloud |
|
〇 自社+一部他社 |
従量課金(モデル別) | ◎ |
| Oracle Cloud |
|
△ 自社+Cohere |
従量課金(用途別) | 〇 |
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
Amazon Bedrock
Amazon Bedrockは、AWS上で複数の生成AIモデルをインフラ構築不要で利用できるサービスです。AnthropicやMeta、Stability AIなど外部企業のモデルに加え、AWS独自のTitanモデルも選択可能で、すべてAPI経由でアクセスできます。
アプリ開発者はモデルごとの比較や切り替えを容易に行えるほか、テキスト生成や要約、チャットボット構築、画像生成などあらゆる用途に活用できます。
Amazon SageMaker
Amazon SageMakerは、機械学習モデルの構築から学習、デプロイまでを包括的に支援するフルマネージドサービスです。大規模言語モデル(LLM)の微調整や推論環境の最適化、データ準備や前処理も一括で行えるため、生成AIの独自モデル開発に最適です。
MLOps機能も備えており、モデルのライフサイクル管理や監視も効率化できます。
Amazon Titan
Amazon Titan は、AWSが独自に開発したファミリー型大規模言語モデル(LLM)で、Amazon Bedrock 上で提供されています。事前学習済みの強力なモデルで、
- 文章生成
- 要約
- 分類
- QA(質問応答)
- 情報抽出
など幅広いテキスト処理タスクに対応します。一般向けにインフラ構築不要で利用可能で、必要に応じて自社データでカスタマイズも行えます。
Amazon Nova
Amazon Nova は、高性能かつコスト効率に優れた次世代の基盤モデル群です。テキスト、画像、動画といった多様な入力に対応する「Nova」理解モデルから、画像生成(Nova Canvas)、動画生成(Nova Reel)などクリエイティブ用途モデルも揃っています。
Bedrock 経由で利用でき、柔軟なカスタマイズが可能です。高度な生成AIやエージェント構築にも利用されます。
Amazon Q
Amazon Q は、AWSにおける業務向けの生成AIアシスタントです。テキストを問い合わせ形式で使い、質問に答えたり要約を作成したり、社内データからの情報取得やアプリ操作の支援が可能です。
開発者にはコード支援やリソース管理、運用トラブル対応など、ビジネスユーザーにはダッシュボード作成やデータ可視化、自動レポート生成など幅広く対応しています。
Amazon CodeWhisperer
Amazon CodeWhisperer は、開発者のためのコード生成AIです。IDE上で自然言語に基づいたリアルタイムコード提案を行い、コメントから関数やクラスなどを生成できます。
AWS上での開発や運用に特化しており、インフラコード(IaC)やサーバレス構成の生成・提案支援にも強みがあります 。現在はAmazon Q Developerの一機能として統合されつつあり、将来的にはそちらでの利用が中心となる予定とされています。
AWSの生成AIを使うメリット
この章では、AWSの生成AIを使うメリットを以下のとおりご紹介します。
- 既存AWS環境との整合性が高い
- セキュリティやコンプライアンス面で安心
- 複数モデルと比較もしやすい
- 必要に応じて柔軟に拡張も可能
①既存AWS環境との整合性が高い
AWSの生成AIサービスは、IAMやCloudWatch、S3など既存のAWSサービスと整合性および相性がいいので、シームレスに連携できます。新たな環境構築が不要で、既存ワークフローにスムーズに組み込めるのが大きなメリットでしょう。
②セキュリティやコンプライアンス面で安心
AWSはISO、SOC、PCI DSSなど多数の国際的セキュリティ認証を取得しており、生成AI利用時も同水準の安全性を確保できます。IAMによる厳格なアクセス制御や暗号化機能を活用でき、金融、医療、公共など規制の厳しい分野でも安心して運用可能です。
③複数モデルと比較もしやすい
Amazon Bedrockを利用すれば、AWS独自のTitanやNovaのほか、AnthropicやMetaなど複数ベンダーのモデルを同一環境で利用できます。精度、応答速度、コストの観点から比較検証が容易で、目的や条件に最も適したモデルを選択できます。
④必要に応じて柔軟に拡張も可能
AWSはスケーラブルなアーキテクチャを備えており、小規模な検証段階から大規模本番環境まで段階的に拡張できます。API連携やカスタム学習にも対応しており、業務要件やデータ特性に合わせた最適な生成AI環境を構築できます。
AWS以外の生成AI系クラウドサービスとの比較
AWS以外の生成AI系クラウドサービスとの比較として、一覧表にまとめたものが以下になります。
| クラウド | サービスラインナップ | モデル選択肢 | 料金体系 | 運用のしやすさ | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| AWS |
|
◎ 自社+他社FM多数(OpenAIオープン重みモデル等も) |
|
◎ |
|
| Azure |
|
○ 主にOpenAI系+MS独自 |
|
○ |
|
| Google Cloud |
|
○ 自社+一部他社 | モデル/API別従量課金 | ◎ |
|
| Oracle Cloud |
|
△ 自社+Cohere |
|
○ |
|
各クラウドの生成AIサービスと比較してみると、AWSは統合性と柔軟性、AzureはMicrosoft製品との連携、Googleは分析・自動化、Oracleは業務密着型AIに強みがある点が分かります。
AWSの生成AIの活用事例

ここでは、AWSの生成AIの活用事例を、以下のとおり紹介します。
- 北海道文化放送
- フェラーリ
- NinjaTech AI
①北海道文化放送
北海道文化放送では、Amazon Bedrock を活用しニュース原稿とショート動画制作の効率化を実現しています。リリース情報や取材データを元に生成AIが3種類の原稿を作成し、担当者が選定・仕上げる方式で業務時間を短縮しました。
そして動画制作では1本あたりの作業時間を従来の20%以下に抑え、大幅な生産性向上を達成しました。
②フェラーリ
FerrariはAmazon Bedrockを用いて顧客体験と生産効率を同時に向上しています。データに基づき個別化した車両構成を提案し、仮想構成体験も提供しました。
生成AIによるナレッジベースで1,000人超の技術者を支援し、カスタム設定数は20%増加しています。車両シミュレーション速度も最大60%改善という成果を挙げています。。
③NinjaTech AI
NinjaTech AIはAWSの専用AIチップTrainiumとInferentiaを利用し、GPUと比較して80%のコスト削減と60%の省電力化を達成しています。Amazon Bedrock経由で複数の高性能LLMを活用し、研究、コーディング、スケジュール調整など幅広いタスクを自動化しました。
これにより、ユーザーは週1時間以上の業務時間を取り戻し、生産性を大きく向上させています。その他、AIの活用事例についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
AWSの生成AIを使う際の注意
AWSの生成AIを使う際の注意点として、代表的な以下の3つを紹介します。
- コストが増加する
- 使うモデルによって精度・傾向が異なる
- 社内データの整備・前処理の手間がかかる
①コストが増加する
AWSの生成AIサービスは従量課金制が多く、APIの呼び出し回数や生成トークン数に応じて料金が発生します。また、モデルや出力長によって単価が異なるため、使用するモデルの選定や呼び出し回数の最適化が重要です。
監視やアラートを設定し、利用状況を可視化して、予算オーバーを防ぎましょう。初期段階では上限設定やサンプル数の制限を行うと安心です。
②使うモデルによって精度・傾向が異なる
AWS Bedrockでは複数ベンダーの生成AIモデル(Claude、Llama、Mistralなど)を選べますが、モデルごとに得意分野や文章の傾向が異なります。例えば、会話調や説明力に優れるモデルもあれば、短文生成やコード生成に強いモデルも存在します。
このため、単一モデルに依存すると用途によっては精度が低下する可能性があるのです。導入時には複数モデルを比較テストし、業務内容に最も適したモデルを選択しましょう。
③社内データの整備・前処理の手間がかかる
生成AIを業務に活用する場合、社内データとの連携が精度向上の鍵になります。しかし、データが分散していたり、形式が統一されていないと、モデルが正しく理解できず出力精度が低下します。
事前にデータのクリーニングや正規化、不要情報の削除などの前処理は欠かさないようにしましょう。さらに、社内機密情報を扱う場合は、アクセス制御や暗号化などのセキュリティ対策も重要です。
AWSの生成AIを使いこなすためには

AWSの生成AIを最大限に活用するためには、基礎知識だけでなく、実践的なスキルと応用方法を身につけることが重要です。それを身につけるためにおすすめなのが「生成AIセミナー」です。
このセミナーでは、ChatGPTやCopilotなどの実務活用から、プロンプトエンジニアリング、RAGを使った自社専用生成AIの構築まで、短期間で体系的に学べます。生成AIの業務導入を検討している企業や、スキルアップを目指す個人にとって、短期間で確実に即戦力レベルまで引き上げるために有効なカリキュラムとなっているので、ぜひこの機会にご検討ください。
| セミナー名 | 生成AIセミナー |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・eラーニング |
AWSの生成AIについてまとめ
AWSの生成AIは、BedrockやSageMaker、Titanなど多彩なサービスを通じて、開発から運用まで一貫したAI活用を可能にしてくれます。活用事例からも分かるように、生産性向上や新しい顧客体験の創出に直結するため、今後さらに需要が高まる分野といえます。
AWSを活用している方は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。