VBAを学習する際、「Access VBAとExcel VBAの違い」に疑問を持つ方も多いでしょう。
どちらもMicrosoft製品で、基本構文は同じですが、実は役割も操作対象も全く異なります。
例えば建設業の場合、Accessは資材や工程のデータ管理、Excelは原価計算や分析と、用途が明確に分かれています。
本記事では、Access VBAの概要、およびExcel VBAの違いを操作対象・機能・学習難易度など4つの観点から比較しました。記事後半では、Access VBAの基本構文やサンプル、おすすめ学習法も紹介します。
Access VBAとは?

Access VBAとは、データ管理の流れ(処理手順)を自動化するプログラミング言語です。Access VBAを活用することにより、データ入力や検索、画面操作、レポート作成など、日常の業務を幅広く効率化できます。
- Accessとは
- VBAとは
- AccessのVBAでできること
①Accessとは
Access(アクセス)は、Microsoft Officeに含まれるデータベース管理ソフトです。Excelでは扱いにくい大量のデータを、効率的に整理して使えるのが大きな特徴です。
使える機能は「テーブル」「クエリ」「フォーム」「レポート」の4つ。データをためるのがテーブル、入力や閲覧に使うのがフォーム、条件に合わせて抽出するのがクエリ、そして印刷や資料づくりに役立つのがレポートです。
これらを組み合わせれば、会員管理や進捗管理など、自社にぴったりのシステムを外注せずにつくれます。ExcelやWordとも連携できるので、今の業務フローにそのまま取り入れることも可能です。
Accessについては以下の記事で詳しく解説しています。価格やインストールの方法まで詳しく解説しているので、Accessの利用を検討している方もぜひ参考にしてください。
②VBAとは?
VBA(Visual Basic for Applications)は、Microsoft Officeに含まれるプログラミング言語です。定型作業の自動化や便利な機能の追加など、業務効率化に大きく貢献します。ExcelやAccessに最初から備わっているので、特別な準備をしなくてもすぐに使えます。
VBAは、処理の手順を順番に書いていく「手続き型」の言語です。人が普段行っている操作をそのままプログラムに置き換えやすいため、プログラミング初心者の方でも比較的スムーズに理解できます。
マクロとVBAの違い
マクロは、VBAで書かれた自動作業のまとまりのことです。一方、VBAはその作業をどう動かすかを記述するためのプログラミング言語そのものです。マクロは「動くプログラム」、VBAは「その動きを作るための言語」と考えると分かりやすいでしょう。
Accessには独自のマクロ機能もありますが、複雑な処理や自由度の高い操作をしたいときは、VBAを使うのが基本です。VBAについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
③Access VBAでできること
Access VBAは作業を効率化するだけでなく、業務全体の精度やスピードを高めます。ここでは、Access VBAでできること、実務での活用例をまとめてみました。
| できること | 概要/メリット | 実務活用例 |
| データ入力の自動化 |
|
|
| 集計・分析 |
|
|
| フォーム・レポート |
|
|
| Office連携 |
|
|
Access VBAは小さな業務改善に対応できるため、初心者でも成果を実感しやすいのが魅力です。
最短で成果を出すならセミナーがおすすめ
上記のようなデータ入力や集計の仕組みづくりを最短で習得するには、効率的に学べる専門セミナーが最適です。
独学でつまずきやすいポイントをプロの講師が解消し、実務ですぐに役立つノウハウを直接学べます。挫折するリスクを避け、すぐに業務改善に繋げたい方はぜひご検討ください。
Access VBAとExcel VBAの違い

Access VBAとExcel VBAは、操作対象や得意分野、扱えるデータ処理の規模などにおいていくつかの違いがあります。ここでは、以下の4つの項目に沿ってAccess VBAとExcel VBAの違いを比較していきます。
- プログラムが操作する対象
- 得意なデータ処理
- システムとしての規模
- 学習の難易度
①プログラムが操作する対象
Access VBAとExcel VBAの最も大きな違いは、プログラムが操作する対象(オブジェクト)です。ここでは、それぞれの主要オブジェクトをまとめた表で比較してみましょう。
Access VBAの主要オブジェクト
Accessでは、データベースを構成する要素を操作対象とします。
| オブジェクト | 役割 | 操作の例 |
| テーブル | データを収納する箱 | 顧客リストに新しい情報を自動で追加・更新 |
| フォーム | データの入力・表示画面 | ボタンを押したら表示内容を切り替え |
| クエリ | データの抽出・集計 | 条件に合う売上だけを取り出して一覧表示 |
| レポート | 印刷や出力用の帳票 | フォームの内容から月次レポートを自動作成・印刷 |
Excel VBAの主要オブジェクト
Excelでは、表計算を構成する要素を操作します。
| オブジェクト | 対象 | 操作の例 |
| Application | Excelアプリ全体 | Excelを起動・終了、画面設定の変更 |
| Workbooks | 開いているファイル | 複数のブックを自動で開閉・保存 |
| Worksheets | ファイル内のシート | 売上シートから在庫シートへデータをコピー |
| Range | セルやセル範囲 | 数値や数式を入力、色や書式を設定、値をコピー |
まとめると、Accessはデータベースを扱う箱や画面を操作し、Excelは表計算のセルやシートを操作する点が違います。どちらも「オブジェクトとその属性を動かす」という考え方は同じですが、対象が違うのが大きなポイントです。
②得意なデータ処理
続いて、Access VBAとExcel VBAの得意分野を具体例とともに比較してみましょう。
Access VBAの得意分野
Access VBAは、データベースを使った業務全体の自動化が得意で、複雑な処理や複数人での利用に適しています。
| 処理内容 | 特徴 | 実務での活用例 |
| データ抽出・集計 | 大量データを条件に沿って瞬時集計 | 売上データを条件別に抽出・最新情報確認 |
| 複数人での利用 | 元データとフォーム・帳票が分かれ、同時アクセス可能 | 全員が同じデータベースを参照しながら、帳票を個別作成 |
| 帳票作成・外部連携 | Excel/Wordと連携・自動帳票作成 | 請求書や週報を自動生成・印刷 |
Excel VBAの得意分野
Excel VBAは、セル上の数値データを使った計算や分析、定型作業の自動化が得意です。個人作業を効率化したい場合に適しています。
| 処理内容 | 特徴 | 実務での活用例 |
| 定型作業の自動化 | マクロ記録で並び替えなどを再現 | 売上データをフォーマットにコピー |
| 計算・分析の自動化 | 複雑な計算式や関数で処理を自動化 | 売上予測を自動算出・レポート作成 |
| セル・シート操作 | 絶対参照・相対参照で範囲指定可能 | 特定のセルに計算式を入力、色付け |
Access VBAは業務全体のデータ処理や多人数での利用に向き、Excel VBAは個人作業の計算や分析の効率化に向いています。目的や規模に応じて使い分けることが重要です。
③システムとしての規模
Access VBAとExcel VBAは、扱えるシステムの規模にも違いがあります。基本的にVBAは大容量データには向きませんが、規模で比較するとAccess VBAの方がより大きなシステム向きです。
詳しくは、以下の表でご確認ください。
| 項目 | Access VBA | Excel VBA |
| システム規模 | 中規模の業務管理システム | 小規模な計算・定型処理 |
| データ容量の制約 | データベースファイル最大2GB | 数万行でパフォーマンス低下のリスク |
| 主な利用者 | 中小企業の部門単位やチーム | 個人または少人数での作業 |
例えば、建設業では、Excel VBAは個人単位での見積もり、各現場の経費集計に使われます。
対してAccess VBAは、資材の在庫管理やチームでの入出庫管理、全現場の進捗管理といった、複数人でデータを共有しながら長期的に運用するシステムで活用されています。
④学習の難易度
Access VBAとExcel VBAは、学習難易度も異なり、一般的にAccess VBAの方が高難易度とされています。
Excel VBAは、マクロの記録機能を利用することで、プログラミング初心者でも実際の操作からコードを生成でき、基本的な文法や考え方を自然に習得できます。
一方、Access VBAを扱うには、データベースの構造や仕組み、そしてデータの抽出・操作に必須のSQLに関する知識が必要です。ただし、VBA全体としては、他の一般的なプログラミング言語よりも容易に習得できます。
VBAエキスパート試験に見る難易度の違い
Access VBAとExcel VBAの難易度の違いは、VBAスキルを証明する「VBAエキスパート」試験の出題範囲からもよく分かります。
| 試験 | 出題内容 | スキルレベル |
| Excel VBAベーシック |
|
Office操作の延長として学べるレベル |
| Access VBAベーシック |
|
SQL/データベース知識も必要なレベル |
どちらも本格的な自動化を目指すと深い知識が求められますが、プログラミング初心者が最初に取り組むなら、Excel VBAの方がおすすめといえるでしょう。
挫折を防ぎ最短習得!Access VBAセミナーで実践スキルを身につけよう
VBAの基本はExcel VBAで十分学べますが、Access VBAを実務レベルで使いこなすには、データベースの仕組みやSQLといった専門知識が欠かせず、独学ではハードルが高くなりがちです。
Access VBAを効率よく習得し、最短で業務改善につなげたい方には、Access VBAを専門的に学べるセミナーがおすすめです。挫折を避け、すぐに成果を実感したい方は、ぜひ検討してみてください。
Access VBAの基本構文
Access VBAは、プログラミングが初めての方でも挑戦しやすく、身近な業務を自動化できる便利な言語です。ここでは、以下の2点からAccess VBAについてお伝えしましょう。
- コードを書く準備
- 基本の文法(構文)
①コードを書く準備
AccessでVBAを始めるには、まず専用の画面を開きます。
方法は簡単で、「Alt + F11」を押す、または、リボンの「開発」タブから「Visual Basic」を選ぶだけです。すると「VBE(Visual Basic Editor)」という編集画面が開きます。
コードはモジュールという場所に書き、その中でサブプロシージャと呼ばれる処理のまとまりを作っていきます。
②基本の構文(文法)
続いて、Access VBAでよく使う構文をお伝えしましょう。
変数の宣言(Dim)
プログラミングでは、計算の途中で出た数字や、入力された文字を一時的に覚えておく必要があります。それをメモする役割を持つのが変数です。
上記の書き方で変数を作ると、パソコンの中に「箱」が用意されます。そこに計算結果や文字を入れておけば、あとで取り出して再利用できる仕組みです。
メッセージ表示(MsgBox)
Access VBAでは、処理の結果や完了を画面に知らせたいときに「MsgBox」を使います。
上記の記述だけで簡単にメッセージを表示できます。ボタンの種類やアイコンを追加する引数を指定すれば、「OK・キャンセル付き」や「警告マーク付き」といった表示方法も選べます。
入力の受付(InputBox)
Access VBAでは、ユーザーから数字や文字を入力してもらうときに「InputBox」を使います。
この書き方で入力を受け取れます。さらに引数を追加すると、入力画面のタイトルや初期値を指定することも可能です。
条件分岐(If)
Access VBAでは、条件によって処理の流れを切り替えたいときに「If文」を使います。
上記の構文を使えば、フォームの顧客名が空欄のまま登録ボタンが押された場合、エラーメッセージを出して処理をストップさせる、といった動作を実現できます。
さらに、「Else」や「ElseIf」を組み合わせると、複数の条件に応じて処理を分けられます。
繰り返し(For)
Access VBAでは、同じ処理を何回も繰り返したいときに「For文」を使います。
上記の構文では、の例では、1から10までカウントしながら処理を繰り返します。「Step」を使えば「2ずつ増やす」など細かい制御も可能です。
Access VBAのサンプル集
次は、実際に使えるAccess VBAのサンプル集を紹介しましょう。実務でよく使用される処理を厳選しているので、業務の自動化をすぐに実現したい方もぜひ参考にしてください。
- メッセージボックスの表示
- テーブルの全レコード数を取得
- フォームを開く
- 今日の日付をテキストボックスに入力
①メッセージボックスの表示
以下のコードは、画面にメッセージを表示するものです。通常、処理が終わったことをユーザーに知らせたいときに使います。
Sub メッセージ表示()
MsgBox “処理が完了しました”, vbInformation, “確認”
End Sub
②テーブルの全レコード数を取得
次は、テーブルに何件データが入っているか数えて表示するコードです。「テーブル名」の部分を実際のテーブル名に変更して使います。
Sub レコード数確認()
Dim db As DAO.Database
Dim rs As DAO.Recordset
Set db = CurrentDb
Set rs = db.OpenRecordset(“SELECT COUNT(*) FROM テーブル名”)
MsgBox “レコード数: ” & rs.Fields(0).Value
End Sub
③フォームを開く
続いて、別のフォームを開くコードを見てみましょう。一般的には、ボタンを押したら入力画面を表示する、といった用途で活用します。
Sub フォーム表示()
DoCmd.OpenForm “フォーム名”, acNormal
End Sub
④今日の日付をテキストボックスに入力
最後に、今日の日付を自動で入力するコードをお伝えします。例えば、日付の手入力を省きたいときにおすすめです。
Sub 今日の日付入力()
Me.日付フィールド = Date
End Sub
なお、コードは、環境に合わせてテーブル名やフィールド名などを変更してお使いください。
また、実際に業務で使用される際は、必ずテスト環境で動作確認を行ってからご利用いただくことをおすすめします。予期しないデータの削除や上書きを防ぐためです。
Access VBAの学習方法

Access VBAはSQLやデータベースの知識も必要なため、学習方法を選ぶ際は「続けやすさ」と「実務で使える力が身につくか」が大切です。
ここでは、主な学習方法を、それぞれのメリット・デメリットとともにまとめました。
| 勉強方法 | メリット | デメリット |
| 本 |
|
|
| YouTube動画 |
|
|
| セミナー |
|
|
本やYouTubeを利用する場合、やはり多くの方が「モチベーション維持の壁にあたります。独学は自分のペースで進められる反面、疑問解決や実務応用でつまずきやすいのが難点です。
近年は、Accessを学べるセミナーも数多くあり、中には、柔軟な学習スタイルでコスパ良く学べるセミナーも増えてきました。セミナーの選び方次第で、上記のデメリットを解消できるので、効率よく学びたい方は、ぜひセミナーの利用をご検討ください。
Access VBAについてまとめ
Access VBAは、手軽かつコスパ良く企業のDX化に活用できる便利なツールですが、特徴やExcelとの違いを十分理解したうえで導入することをおすすめします。
例えば、大規模システムには向かない、Excelのような直感的な表計算機能は持たない、などの特徴を知っておきましょう。学習難易度も若干高めなので、効率的に使いこなすためにはセミナーなどの学習サービスの併用もご検討ください。