現実世界にデジタル要素を重ね合わせるAR(拡張現実)は、近年、建築・製造・教育・エンタメなど幅広い分野で活用が進んでいます。なかでもUnityは、ARアプリ開発におすすめなプラットフォームです。
本記事では、Unityで開発できるARアプリの種類や使用するツールなどについて解説します。さらに、AR開発におすすめのプラン「Unity Industry」についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
Unityで開発できるARアプリ

Unityは、ARアプリ開発にも対応したプラットフォームです。特に、以下のような特徴を持ったARアプリを開発できます。
- 現実世界でシミュレーションができるアプリ
- 中身を可視化できるアプリ
- 現実世界に仮想の物体を表示させるアプリ
これらのUnityで開発できるARアプリの特徴について詳しく見ていきましょう。
①現実世界でシミュレーションができるアプリ
Unityでは、ARを用いてシミュレーションを行えるアプリ作成ができます。例えば、建築現場を再現して、作業員の配置や重機の情報などをリアルタイムで取得するアプリもUnityなら開発可能です。
また、地震発生時をシミュレーションして耐震性のチェックも行えます。このように、現実では困難または高コストな検証も、ARを活用することで安全かつ低コストに実現できます。
②中身を可視化できるアプリ
AR技術を使うことで、現実では見えない物体の内部構造を視覚的に表示できるアプリを作成できます。例えば、商品パッケージを読み取ると、内部の製品をAR空間上に表示する「商品確認アプリ」がその一例です。
これにより、商品を取り出さなくても中身が確認できるため、ユーザーは安心して購入ができるようになります。
③現実世界に仮想の物体を表示させるアプリ
現実空間に仮想の物体やキャラクターを重ねて表示するARアプリです。位置情報を活用したゲームがその代表例で、プレイヤーの移動に合わせて現実の街や公園にキャラクターやアイテムが出現するギミックを導入できます。
こうした仕組みによって、現実世界そのものがゲームのフィールドとなり、これまでにない没入感や楽しさを味わえます。
UnityでAR開発をするメリット
数あるプラットフォームのなかで、Unityを使ってAR開発することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。UnityでAR開発を行うことのメリットは以下のとおりです。
- さまざまなプラットフォームに展開できる
- ライブラリが豊富に揃っている
- サポートが充実している
これらのメリットについて確認していきましょう。
①さまざまなプラットフォームに展開できる
Unityの大きな特徴としてさまざまなプラットフォームに対応していることが挙げられます。Unityで開発したARアプリは、iOSやAndroidだけでなく、WindowsやmacOSでも展開できるのが特徴です。
同じプロジェクトをベースに複数のプラットフォーム向けに展開できるため、OSごとに開発内容を大きく変更する必要がなく効率的にリリースができます。これにより、より広範囲なユーザーに開発したARアプリを試してもらうことが可能です。
②ライブラリが豊富に揃っている
UnityにはAR開発に役立つライブラリが豊富に揃っています。これは、初心者が参入しやすい理由の一つです。
また、UnityのAsset Storeを利用すれば、AR開発に使える3Dモデルやスクリプト、エフェクトなどのアセットを自由にダウンロードできます。ライブラリやアセットによって一から開発する手間がかからないため、Unityなら制作にかかるコストを下げられます。
③サポートが充実している
Unityの産業向けプランUnity Industryでは、専任のアドバイザーがついたり、専用のトレーニングを行えたりと手厚いサポートがあります。そのため、大規模なプロジェクトでも管理がしやすく、効率的に開発が可能です。
サポート体制が充実していることで、開発効率の向上と品質の確保を両立できます。
UnityのAR開発で使用されるツール
UnityのAR開発では、以下のようなツールが使用されます。
| ツール | 説明 |
| AR Foundation | 複数のARプラットフォームを統合して使えるツール。 |
| ARkit | Appleが提供するiOS向けAR開発ツール。 |
| ARCore | Googleが提供するAndroid・iOS対応のAR開発ツール。 |
これらのツールの特徴についてより詳しく見ていきましょう。
①AR Foundation
AR Foundationは、XR開発系のツールを一元管理できるツールです。AR Foundationを使うことで、Unity内でARプラットフォームを利用できるようになります。
つまり、AR FoundationそのものがAR機能を提供するわけではなく、各プラットフォームのインターフェースとなる役割を担っているというわけです。
②ARkit
ARKitは、Appleが開発したApple製品向けのAR開発ツールです。iPhoneやiPadに搭載されているカメラを使って動作するため、特別な機材は必要ありません。
平面の検出によって仮想オブジェクトを配置したり、実際にあるオブジェクトの動きに合わせてARコンテンツを動かしたりといったことができるようになります。
③ARCore
ARCoreは、Googleが開発したAR開発ツールです。AndroidおよびiOSの両方に対応しています。
ARKitと同様に平面認識やトラッキングなどの機能を利用でき、現実世界にオブジェクトやキャラクターを登場させることができます。基本的にはAndroid向けの開発に広く使われているのが特徴です。
UnityでAR開発に必要なツールをインストールする方法
UnityでAR開発する際に必要な「AR Foundation」「ARkit」「ARCore」のインストール方法について解説します。具体的な手順について見ていきましょう。
①プロジェクトを作成する
まずは、UnityでAR開発を行うためのプロジェクトを作成する必要があります。Unity Hubを起動しましょう。
Unity Hubが立ち上がったら、左側のメニューから「プロジェクト」を開いてください。画面右上の「新しいプロジェクト」から新規プロジェクトを作成できます。

プロジェクト作成画面では、「すべてのテンプレート」から「3D(Built-In Render Pipeline)」を選択しましょう。任意のプロジェクト名と保存場所を設定したら、画面右下の「プロジェクトを作成」ボタンをクリックしてください。

少し待つと新しいプロジェクトが立ち上がります。
②パッケージをインストールする
プロジェクトが新規で作成できたら、AR開発に使用する「AR Foundation」「ARkit」「ARCore」の3つのパッケージをインストールします。まず、画面上部のWindowメニューから「Package Manager」を開きましょう。

Package Managerでは、Unityプロジェクトに拡張機能やライブラリなどを自由に追加できます。続いて、ウィンドウ上部の「Packages」をUnityの公式パッケージを検索できる「Unity Registry」に変更します。

変更できたら、ウィンドウ右上の検索窓に「AR Foundation」と入力して検索をかけてください。AR Foundationが検索できたら、「Install」ボタンをクリックしてインストールを行います。

すると、表示が「Installing」に変わってパッケージのインストールが始まります。インストールができたら、同じ要領でUnity Registryから「ARkit」と「ARCore」の2つのパッケージもインストールしましょう。
AR開発におすすめのUnity Industryの特徴

UnityでAR開発を行うなら、産業向けプランであるUnity Industryがおすすめです。Unity Industryの特徴は以下のとおりです。
- 仮想空間の構築が簡単
- 大規模な物理シミュレーションも可能
- 産業向けに特化している
これらの特徴について詳しく見ていきましょう。
①仮想空間の構築が簡単
Unity Industryは、ARやVR、MRといったXRコンテンツとの相性に優れています。複雑な3DデータをUnityで変換して使用できるようにするUnity Asset Transformer Toolkit(旧Pixyz Plugin)を使用することによって、初心者でも簡単に仮想空間の構築が可能です。
仮想空間を構築することで、現実ではコストのかかることも、Unity上で気軽にシミュレーションできるようになります。
②大規模な物理シミュレーションも可能
ゲームエンジンとして誕生したUnity Industryは、従来のソフトウェアよりもデータ容量が多く処理能力も高いため、大規模な物理シミュレーションにも対応できます。複雑な挙動や衝突のシミュレーションなど、膨大なデータ量を扱う場面でも安定して動作します。
このように、Unity Industryならより高度で複雑な開発もストレスなく行えるのが特徴です。
③産業向けに特化している
Unity Industryは、産業向けに特化している開発ツールです。複数の3Dデータを変換できるUnity Asset Transformer Toolkit(旧Pixyz Plugin)や、AR・MR開発を効率化するパッケージであるUnity Mars、プロジェクトの動作テストをできるUnity Build Serverなど、産業で活用できる機能が豊富に揃っています。
また、以下のリンクでは、Unity Industryについてまとめた資料をダウンロード可能です。Unity Industryで期待できる効果や導入事例などについて確認できるので、AR開発や産業向けのプロジェクトを検討している方はぜひチェックしてみてください。
UnityとARについてのまとめ
今回は、Unity IndustryでAR開発はできるのかについて解説しました。マルチプラットフォームに対応しているUnityを活用すれば、多様なARアプリを効率的に開発できます。
特に産業分野で本格的にAR開発を行う場合は、サポート体制や機能が充実したUnity Industryの導入がおすすめです。Unity Industryなら、複雑な3Dデータの取り扱いや大規模な物理シミュレーションもスムーズに行うことができます。
現実と仮想空間を融合させたコンテンツを開発したいと考えている方は、ぜひUnity Industryの資料請求から始めてみてください。