AU技術レポート:モノづくりの新しいフロー ~3Dスキャンを併用したモックアップ 後編
第6回:モノづくりの新しいフロー ~
3Dスキャンを併用したモックアップ 後編
こんにちは、スリプリの三谷です。
連載企画のAU(Autodesk University 2015)参加レポート、第6回は、「Fusion 360 Strategies for Bridging Between Digital and Physical Models」より、3Dスキャンを併用したモックアップ(試作品)の活用方法についてご紹介します。
Mementoを使用した試作品作成、みなさんもチャレンジしてみてください!
第1回「第1回AU(Autodesk University 2015)について」はコチラからご覧いただけます。
1.メッシュデータをFusion360で利用し、再モデリング
MementoでエクスポートしたデータをFusion360にインポートします。インポートには2つの方法があり、objファイルをデータパネルでアップロードするか、新規デザインで「スカルプト作業スペース」に移行し、[挿入] – [メッシュの挿入]コマンドを利用する方法があります。
メッシュデータをそのまま変換して利用してもよいですが、スキャンしたデータは表面が荒れている場合もあり、求めるきれいな曲面を得られないことが多々あります。
そのため、今回はクワッドボールを利用して形にあう形状を作成します。
このような個所は、Altキー(MacはOptionキー)を押しながら拡大・縮小の操作をすることで、
段を付けた形状が作成できます。
エッジ同士の距離が近いほど急な曲率になりますので、エッジの距離を調整しながら作業をしてください。
このような本体と持ち手のように分かれている箇所は、別のボディとして作成し、後で合体するとうまくいきます。
今回は持ち手の上部を削除し・・・
ブリッジする際には、それぞれの面の数を一致させるようにしてください。
2.試作⇒テスト⇒設計変更
ここからは、試作とテストの繰り返しです。
作成したデータをもとに3Dプリントしたり、モック形状を変形したりして最終製品に近づけていきます。最近では安価な家庭用3Dプリンターも普及してきているため、握りのチェックをしながら、3Dプリントしたものに粘土を盛っていくだけで、手にフィットする試作品を作る方も多くいらっしゃいます。高価な業務用3Dプリンターでなくても、大枠の形状チェックは安価な3Dプリンターでも十分に開発スピードを速めることができるのですす。
実物を修正したら、Mementoを使用して再度スキャンデータを作成します。
ここからは、スキャンデータを利用したモデリングを紹介します。
3.スキャンデータにフィットさせたモデリング
Mementoで作成したメッシュデータをインポートします。
[移動]コマンドを使用してモデルデータと重なる位置に移動してください。
この後、[修正] – [プル]という機能を使用してメッシュデータに形状を合わせていきます。
形状を合わせる際には、メッシュデータとなるべく近い位置にあるほうが成功率が上がりますので、[フォームを編集]コマンドでメッシュの近くに面を移動します。
[ブリッジ]コマンドで上側の形状とつなぎます。
取っ手と本体のつなぎ目は、筋を立てます。
スカルプト作業スペースで形状を編集する際には、全体が滑らかな形になりますが、[修正] – [折り目]コマンドを使用することで、エッジを立てた形状にすることができます。
これらの一連の作業を繰り返すことで、今までのアナログな試作品作成とデジタルの試作品作成を混合した新しいモックアップによる製品開発が可能になるのです。
いかがだったでしょうか。
今回のようなものづくりについて知りたい!というお客様が多かったため、「スリプリ Fusion360 スーパーアドバンスコース」を新たに立ち上げました。
今回紹介した、「メッシュデータにフィットさせたモデリング」についても詳しく学べますので、興味を持たれた方はぜひご参加ください!
第7回は、AU技術レポート:シミュレーション(構造解析)入門!をお送りします。
お楽しみに!
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