製造業や建築業など、各業界でDX化が加速する中、ITの基礎力を示すITパスポートに注目が集まっています。しかし、ネット上では「何問正解で合格?」といった合格基準に関する疑問の声が後を絶ちません。
この記事では、ITパスポートの合格基準について詳しく解説します。600点や700点以上で不合格になるケースについてもお伝えするので、ITパスポート取得を目指している方はぜひ参考にしてください。
ITパスポートとは?

ITパスポート(iパス)は、ITの基礎知識を証明する経済産業大臣認定の国家試験です。2009年にスタートし、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が試験運営を担当しています。
情報処理技術者試験におけるITパスポートの位置づけ
ITパスポートは、「情報処理技術者試験」の中で、最も基礎的な位置づけです。この情報処理技術者試験は、「ITパスポート」など全12種類のIT系国家試験の総称で、以下の様に4段階のレベルにわかれています。
| IPAレベル | 試験名 | 主な対象者 |
| レベル1 | ITパスポート試験 | ITを利活用する全ての社会人・学生 |
| レベル2 | 情報セキュリティマネジメント試験 | 組織のセキュリティ管理者 |
| 基本情報技術者試験 | 基礎知識を持つITエンジニア | |
| レベル3 | 応用情報技術者試験 | 応用知識を持つITエンジニア |
| レベル4 | ITストラテジスト | 試験経営戦略・IT戦略の専門家 |
| システムアーキテクト試験 | システム設計・構築エンジニア | |
| プロジェクトマネージャ試験 | IT開発プロジェクトの統括責任者 | |
| ネットワークスペシャリスト試験 | 高度なネットワーク環境設計・構築者 | |
| データベーススペシャリスト試験 | 大規模データベースの設計・管理者 | |
| エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | IoT・組込みシステムの開発者 | |
| ITサービスマネージャ試験 | ITサービスの品質管理責任者 | |
| システム監査技術者試験 | 情報システムのリスク評価・監査担当者 | |
| 国家資格 | 情報処理安全確保支援士試験 | サイバーセキュリティを推進する人材 |
なお、情報処理安全確保支援士試験が分類されている「国家資格」とは、登録制の名称独占を持つ士業のことです。支援士のみが特別な登録制度を持つため、IPAでは便宜的に「国家資格」として区別されています。
ITパスポート試験の出題数
ITパスポート試験は、以下の3分野で構成され、出題数が最も多いのはテクノロジ系です。分野ごとの出題数と概要は以下の通りです。
| 分野 | 出題数 | 主な内容 |
| テクノロジ系(IT技術) | 約45問 | コンピュータの仕組み、ネットワーク、セキュリティ |
| ストラテジ系(経営) | 約35問 | 企業活動、法務、経営戦略 |
| マネジメント系(IT管理) | 約20問 | システム開発、プロジェクト管理、サービスマネジメント |
上記の範囲を見て、「ITパスポート試験の広い学習範囲を独学でカバーできるか不安…」そう感じる方もいるでしょう。時間をかけてじっくり学ぶのは理想的ですが、多忙なビジネスパーソンにとって、十分な学習時間の確保は容易ではありません。
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ITパスポートのテクノロジ系については、以下の記事で詳しく解説しています。テクノロジ系について知りたい方はもちろん、試験前の事前学習としても役立つ内容です。
学生の方など、実社会での経験が浅い方は、ストラテジ系を苦手とする方が多く見られます。以下の記事は、過去問と克服方法をわかりやすく解説しているので、ストラテジ系対策にぜひご活用ください。
ITパスポートの合格基準と必要な正答数

ITパスポート試験の合格には、以下の基準を満たす必要があります。
- 600点以上/1,000点(総合評価の満点)
- ストラテジ系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点)
- マネジメント系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点)
- テクノロジ系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点)
独自の合格基準の仕組み
この合格基準は、総合評価点が600点以上であると同時に、分野別評価点が最低基準である300点を一つでも下回ってはいけないという「AND条件(複数の条件を満たして可とする)」を意味します。
これは、特定の知識に偏らないための仕組みです。以下はあくまで一例ですが、
- 総合評価点:615点→合格基準クリア
- テクノロジ系:800点
- ストラテジ系:800点
- マネジメント系:250点→300点未満(足切り)
このような場合は、総合評価点が600点、または700点を超えても不合格、つまり「足切り」されます。
分野別評価点の合計=総合評価点ではない
ところで、「各分野で300点以上取るなら、合計すると900点以上になるのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。しかし、分野別評価点(300点)は、知識の偏りを防ぐための「最低ライン(足切り基準)」を示すもので、点数の合計を意味するものではありません。例えば、
- テクノロジ系:300点以上
- ストラテジ系:300点以上
- マネジメント系:300点以上
- 総合評価点:580点→不合格
となります。つまり、ITパスポートの合格基準を満たすためには「各分野で30%」を満たしたうえで、「総合評価点で60%」正答しなければいけないのです。
なお、ITパスポート試験は問題ごとの配点比率を公表していません。
そのため、「3分野の合計得点÷3」で算出された平均値が総合評価点ではない、という点も覚えておきましょう。
採点対象は100問中92問
ITパスポート試験は全100問出題されますが、実際に採点の対象となるのは92問です。残りの8問は、今後の試験の評価に利用される問題として使われ、合否には一切影響しません。
採点対象となる92問の分野別内訳は以下の通りです。
- テクノロジ系:42問
- ストラテジ系:32問
- マネジメント系:18問
総合評価点や分野別評価点は、この採点対象となる92問の正答率に基づいて算出されます。
確実な合格に必要な「正答数」
ITパスポートの合格基準(総合点600点と分野別300点)と、採点対象が92問という2つの事実を踏まえると、「確実な合格基準」に達するための具体的な正答数が見えてきます。
ただし、ITパスポート試験は特殊な採点方式を取っているため、あくまで目安と捉えてください。この採点方式に関しては後述します。
分野別評価点での合格に必要な正答数
では、分野別評価点の合格基準「300点以上」を、各分野の採点対象に当てはめ、合格に必要な正答数を計算してみましょう。
| 分野名 | 採点対象の出題数 | 必要な正答率(30%) | 必要正答数 |
| テクノロジ系 | 42問 | 42問×0.30=12.6問 | 13問 |
| ストラテジ系 | 32問 | 32問×0.30=9.6問 | 10問 |
| マネジメント系 | 18問 | 18問0.30=5.4問 | 6問 |
| 合計 | 92問 | ー | 29問 |
総合評価点での合格に必要な正答数
続いて、総合評価点の合格基準である「600点以上」を採点対象の出題数に当てはめて正答数を算出します。
| 項目 | 採点対象の出題数 | 必要な正答率(60%) | 必要正答数 |
| 総合評価 | 92問 | 92問×0.60=55.2問 | 56問 |
テクノロジ:13問、ストラテジ:10問、マネジメント:6問、総合評価点:56問
※単純換算による
ITパスポートの合格基準は変わる?

「ITパスポートの合格基準は変わる?」という疑問の声もよく耳にします。結論からいうと、ITパスポート試験の公式な合格基準は、以下の通り固定されており、変更されません。
- 総合評価点:600点以上
- 分野別評価点:各300点以上
ただし、ITパスポートの採点方式「IRT(項目応答理論)」は同じ正答数でも点数が変動するため、採点基準が毎回違うように感じるのです。
従来の採点方式
まず、従来の試験で使われている主な採点方式を見てみましょう。
| 方式 | 評価方法の例 | 課題点 |
| 素点方式 | 1問10点×100問で合計点を算出 | 評価の不安定さ(難易度依存・運任せ) |
| 偏差値方式 | 受験者集団を基準として評価 | 母集団層によって評価軸が変動 |
なぜ偏差値方式は公平にならないのか?
偏差値は「受験者全体の平均」を基準に算出される相対的な評価指標です。例えば、一般的に高いとされる「偏差値60」であっても
- 受験者のレベルが高いテストの偏差値60→高い学力
- 受験者のレベルが低いテストの偏差値60→中程度の学力
のように、母集団が異なると、同じ評価軸では測れなくなります。つまり、「偏差値60」という情報だけでは、誰と比べての結果なのかが不明なため、客観的な学力を比較できないのです。
ITパスポートの合格基準で用いられる「IRT」採点方式
IRTでは、従来の採点方式が抱える課題を解決するため、問題の難易度や受験者の能力といった特性を、統計的・確率論的に分析し、より正確な評価点を算出します。わかりやすくいうと、
- 易しい問題を正答→評価基準が低い
- 難しい問題で正答→評価基準が高い
という風な仕組みです。
その他、偶然による正解(当て推量)の影響を小さく見積もることで、受験者の真の実力だけを評価します。例えば、関連する問題セットの中で一部だけが正解の場合、「まぐれ(運)」だと判断し、その正解の評価を低くする、といった感じです。
ITパスポートの合格基準の点数確認方法

ITパスポート試験は、全国の試験会場でコンピュータを使って受験する「CBT方式」で実施されます。このCBT方式により、試験終了後すぐにWebサイト上で成績を確認できます。
では、合格基準の点数確認手順を見ていきましょう。
①利用者メニューへのログイン
試験が終了したら、ITパスポート試験の受験申込みページにアクセスし、画面下部へスクロールして赤枠で囲まれた「すでに利用者IDをお持ちの方」を選択します。
②試験結果関連メニューの選択
続いて、表示されたログイン後の利用者メニュー画面から「試験結果関連メニュー」を探し、それを選択しましょう。
③試験結果レポートのダウンロード
次は、「試験結果関連メニュー」内にある「試験結果レポートダウンロード」を選択します。これにより、合格基準の到達度がわかる「総合評価点」「分野別評価点」が記載されたPDF形式の「試験結果レポート」がダウンロードされます。
④成績の確認とレポートの保管
最後に、ダウンロードされた試験結果レポートを開き、点数を確認しましょう。ぜひ、ITパスポートの合格基準とも照らし合わせてみてください。なお、このレポートは受験日から1年間ダウンロード可能です。
合格基準点を確認する際の注意事項
試験結果のレポートは、ダウンロードが可能になるまでには、試験終了後2~3時間かかる場合があります。また、ダウンロードしたPDF形式のファイルが正常に開けない場合は、Adobe社から無償提供されているAdobe ReaderなどのPDF閲覧ソフトをインストールしてご利用ください。
ITパスポートの合格基準に到達するコツ
ITパスポートの合格基準を最短で突破するコツは、過去問を軸にした学習スタイルを取り入れることです。
過去問中心・参考書はざっくり理解
ITパスポートは、過去問に触れた量がそのまま合否に直結します。そのため、
- 参考書は「ざっくり理解」でOK
- 本気で覚えるのは、過去問で間違えたところだけ
- ITパスポート公式サイトの過去問題を使いスキマ時間に反復
この3つを意識しながら、学習のサイクルを回していきましょう。これを各分野で当てはめながら進めることで、高難易度なテクノロジ系も自然に定着していきます。
過去問は「分野指定」「絞り込み」を意識
ITパスポートの過去問は、分野を指定することもポイントです。例えば、「今日はテクノロジ系」のように固定すると、記憶が整理されて知識の混同が少なくなります。
さらに、学習時間を効率化するため、解く問題を絞り込んでください。「知らない単語」が出た場合、まずシラバスで重要度を確認したうえで覚えるか否かを判断しましょう。
なじみのある「ストラテジ系・マネジメント系」から開始
ITパスポートといえば、やはりテクノロジ系に意識が行きがちです。しかし、最初にテクノロジ系に手をつけて苦戦する人には案外多いため、最初の1週間は比較的なじみのあるストラテジ系・マネジメント系から進めましょう。
日常感覚で理解しやすいので短期間で得点源になります。ITパスポートの学習で大事なのは、完璧を目指さず6割超えへ一直線という考え方です。効率的に合格を目指すためにも、合格基準でもある6割を意識してください。
より効率的にITパスポートの合格基準を突破するには?
「過去問中心」の学習はとても効率的ですが、日々現場やプロジェクト管理に追われる製造業・建築業に従事する方の場合、過去問学習、つまり独学で合格を目指すのは至難の業でしょう。
例えば、「繁忙期に学習が滞り、結果的に立ち消えになってしまった」ということにもなりかねません。こういった事態を避けるためにも、ITパスポート試験対策セミナーで効率的に学習を進めましょう。
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ITパスポートの合格基準についてまとめ
ITパスポートの合格基準は総合評価点、分野別評価点それぞれに基準があり、この二つを満たしていないと合格できません。さらに「IRT(項目応答理論)」という評価方式をとっているため、単純に「何問正解で合格」といった固定的な軸が見えにくい試験です。
ネット上で合格基準に関する疑問の声が散見されるのは、この独自の試験システムによるものです。しかし、これらを気にせず合格するためにも、全分野で最低ラインクリアを目指し、バランスの取れた学習を進めていきましょう。