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AU技術レポート:モノづくりの新しいフロー ~3Dスキャンを併用したモックアップ 前編

第5回:モノづくりの新しいフロー ~
3Dスキャンを併用したモックアップ 前編

連載企画のAU(Autodesk University 2015)参加レポート、第5回は、「Fusion 360 Strategies for Bridging Between Digital and Physical Models」より、3Dスキャンを併用したモックアップ(試作品)の活用方法についてご紹介します。
これから新しい製品を作りたいと思っているかた、もしくは、趣味で何かを作られようとしている方必見の内容です!

第1回「第1回AU(Autodesk University 2015)について」はコチラからご覧いただけます。

今までの製品開発過程

今回の内容は、3DスキャンとFusion360を併用することで、製品の開発初期段階でのコンセプトデザインのスピードを変える試みについてのお話です。
今までのフローでは、何か新しい製品を開発する場合、どんなデザインにするかをイラストで表現し、それを実際に作成し、試作品(モックアップ)で確認することが多くありました。

2.これからの試作品づくり

最近では3Dソフトが活用され、きれいなレンダリングを見ながら検証ができるようになったため、試作の回数はこれまでよりも減らすことができるようになっています。しかし、実際のサイズ感や、手に取った触感まではわかりませんので、まだまだ試作の持つ意味は重要です。

この試作品を作るのは今まで非常に手間がかかっていましたが、その手間を大幅に減らすツールが最近注目を浴びている3Dプリンターです。
3Dプリンターを使えば素早く3Dモデルをカタチにでき、そのカタチをチェックして、修正箇所をもう一度3Dモデルに適用していく、このようなフローで今までにはない素早い製品開発ができるのです。

3.これからの試作品づくりを実践

それでは実際の作業フローを見てみましょう。

最初にやることは、モックアップを作ることです。ここでは塩ビのチューブや粘土を使ってモックとなる形状を手作業で作成します。

モックが完成したら、今回使うのはMementoというソフトです。

このソフトでできることは、写真から3Dモデルを作ることです。と言っても1枚の写真から3D形状はできませんので、できるだけ多く、いろいろな角度から、天気のいい日に写真を撮ることが必要です。
今回の形状であれば100枚以上が理想です。

写真を撮り終わったらMementoに取り込みます。
[Create] – [Photos]で複数の写真を取り込み、3D化をスタートします。

Mementoに取り込まれた写真は自動的にクラウドにアップロードされ、クラウド上でメッシュ化されます。
通常1時間程度待っていれば自動的に3D化できます。

これが3D化されたモデルです。

周りの机も3D化されてしまっていますので、不要な部分を削除します。Mementoでは、このようなメッシュデータを切り取るなどの修正ができます。
また、穴を自動的にふさぐこともできます。

完成したら、OBJファイルでエクスポートします。
通常、スキャンしたデータは三角形のパッチで作成されていますが、MementoにはOBJ(Quads)というオプションがあり、四角形のパッチで出力できます。Fusion360にメッシュデータを取り込んで編集する場合、メッシュ数の制限があります。四角形のパッチだとFusion360の中でTスプライン(スカルプモード)で編集ができるようになります。

ただし、スキャンで取り込んだデータは、精度の問題できれいになっていない場合が多くあります。フィギュアなどを作成する場合にはTスプラインで編集することも必要になるかもしれませんが、今回のような工業製品を作成する場合には、スキャンデータをそのまま利用することは、試作品や最終製品のクオリティに影響する可能性もあります。
そのため、場合によっては、スキャンデータを参考にしながら新しくきれいな曲面を作成するほうが最終製品を作成するのに必要かもしれません。今回は工業製品を作成するため、スキャンしたデータを参考に形状を作成する方法で行います。

初めてのMementoはいかがだったでしょうか?
コマンド数は多くないので、いろいろなモデルを写真化して楽しんでみてください。

第6回は、AU技術レポート:モノづくりの新しいフロー ~3Dスキャンを併用したモックアップ 後編をお送りします。
お楽しみに!

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