「Creoって何?」「最近よく耳にするけど、どんな特徴があるの?」と思う方も多いのではないでしょうか。Creoは製造業向けに作られたCADソフトであり、様々なCADソフトがある中でも、「設計の自由度」と「データの一貫性」を両立させた業界標準とも言えるツールです。
そこでまず本記事では、Creoの全容を解明していきます。「なぜCreoが選ばれるのか?」を、初心者でも理解できるように解説します。また、本記事限りだけでなく、今後もCreoの魅力や機能について連載していきます。Creoについて知らない方も、本連載を読めばしっかりCreoの魅力を掴めるはずです。ぜひご覧ください。
Creoとは?
Creoは、PTCが開発した3DCADソフトで、「設計の自由度」「一貫性」「拡張性」の三拍子がそろったソフトです。小規模な製品から鉄道車両やエンジンのような大規模アセンブリまで対応し、設計者のアイデアを効率よく形にできるのが強みです。
特にジェネレーティブデザインやリアルタイムシミュレーションといった先端技術を搭載し、設計スピードと精度を格段にアップさせます。IoTやARとの連携も可能で、設計データをそのまま製造・保守へ活かせるのがポイントです。
クラウド対応のSaaS版も登場し、これからの設計環境を支えるCADソリューションとして注目されているのがCreoです。
Creoの価格
参考までですが、一番安価な「Creo Design Essentials」は、金額的にミッドレンジCADと同等で、機能としてはミッドレンジCADの最上級モジュールと同等の機能があるとされているため、比較するソフトウェアによっては、大きくコストパフォーマンスが上回る場合もあります。CreoはハイエンドCADなため、最安のモジュールであっても個々の機能はミッドレンジを凌駕します。
以下は、どのようなモジュールがあるのかを紹介した表です。
ノードロック版 | Creo Design Essentials |
Creo Design Advanced | |
フローティング版 | Creo Design Essentials |
Creo Design Advanced | |
Creo Design Advanced Professional | |
Creo Design Engineering | |
Creo Design Engineering Professional |
各モジュールの価格については要問い合わせとなるので、下記からぜひお気軽にお問い合わせをしてみてください。
さらに全て同一のライセンスを購入しなくてはいけないわけではありません。例えば複数本購入するとして、基本は「Essentials」を本数分、1本だけ欲しい機能をオプションとして選択して追加ということも可能です。または1本を「Advanced」にして他を「Essentials」ということも可能です。
Creoの主要機能
ここからはCreoの主要機能について解説します。主に以下の3点があります。
- 設計機能
- シミュレーション機能
- 製造支援機能
機能①設計機能
Creoの設計機能では、パラメトリック設計を中心に、直感的かつ高度な3Dモデリングが可能です。
フィーチャーベースのアプローチにより、設計の変更が容易であり、トップダウン設計やコンカレント設計を活用することで、複数のエンジニアが同時に作業可能です。また、シートメタル設計、フリースタイルサーフェシング、アセンブリ管理などの機能が統合されており、複雑なジオメトリも正確に作成できます。
設計変更はリアルタイムで他の関連部品や図面にも自動反映され、効率的な開発が可能です。
機能②シミュレーション機能
Creoのシミュレーション機能は、製品の設計段階で解析を行い、パフォーマンスの最適化を支援します。Ansysとの統合により、リアルタイムでの構造解析、熱解析、流体解析が可能で、設計変更を素早く実施できます。
また、ジェネレーティブデザインにより最適な形状を自動生成し、材料の削減や性能向上も期待できます。キネマティック解析や疲労解析など、製品寿命や動作特性の評価も可能です。試作回数を削減しながら、かつ開発コストも抑える機能を搭載しています。
機能③製造支援機能
Creoの製造支援機能は、他のCADデータと連携し、ツーリングやNC加工を効率化します。モールドベース設計、プログレッシブダイ設計、高速ミリングなど、多様な加工プロセスをサポートし、精度の高い部品製造を実現します。
また、付加製造(AM)機能を活用することで、金属や樹脂の3Dプリントにも対応し、試作品を素早く作成できます。CADモデルの変更が付加製造のデータに自動反映されるため、設計変更にも柔軟に対応可能という強みもあります。もちろん、CAMへの反映も柔軟に対応します。
Creoの特徴や強み
CreoはさまざまなCADソフトの中でもトップクラスの性能を誇るCADソフトです。その強みや特徴について紹介していきます。
- 初心者も使いやすい
- 業界トップレベルの機能
- 高精度設計を短期間で実現
- ARの統合で製品の視覚化
- シミュレーションを簡単にできる
特徴①初心者も使いやすい
Creoは直感的なユーザーインターフェースと簡単な操作性を備えており、初心者でもすぐに設計業務を始められるように設計されています。パラメトリック設計に基づいたフィーチャーベースのモデリング機能により、設計変更が簡単に行え、学習コストを抑えることも可能です。
また、フリースタイルモデリング機能により、初心者でも複雑な形状を直感的に作成できます。標準のEラーニングプラットフォームが提供されており、初心者でも段階的にスキルを向上させられます。これにより、専門的な知識がなくても高品質な3D設計が可能になり、設計業務の効率化が期待できるでしょう。
特徴②業界トップレベルの機能
Creoは、ハイエンドCADソフトウェアとして、業界トップレベルの設計機能が搭載されています。
高度なパラメトリックモデリング、自由曲面設計、ジェネレーティブデザイン、トポロジー最適化など、多様な設計手法を選択できます。先述した通りシミュレーション機能もAnsysと統合されており、リアルタイム解析を通じて設計の最適化が可能です。
複雑なアセンブリ管理機能を備え、大規模プロジェクトにも対応できます。高度な機能を活用することで、企業は競争力のある製品を素早く開発でき、設計から製造までの全プロセスを効率化できます。
特徴③高精度設計を短期間で実現
Creoは、トップダウン設計とコンカレントエンジニアリングを活用することで、高精度な設計を短期間で実現します。シングルデータベースを採用しているため、設計変更がすぐに他の関連データに反映され、手戻りの発生を最小限に抑えます。
また、BMXを活用すれば、設計の最適化を自動化し、複雑な要件にも迅速に対応可能です。さらに、設計変更の影響をリアルタイムで評価できるシミュレーション機能を備えており、試作の回数を削減しながら精度の高い製品設計を実現できます。
開発期間の短縮と品質の向上が両立することで、競争力のある製品開発ができるでしょう。
特徴④ARの統合で製品の視覚化
CreoはAR機能を統合しており、設計データを現実空間に投影して視覚化することが可能です。設計者だけでなく、営業・マーケティング担当者や顧客も、製品の完成イメージをリアルな環境で確認できます。
「Creo AR Design Share」を利用すると、クラウドを通じて設計データを共有し、どこからでもどの端末からでもAR環境で製品をチェックできるため、素早く判断できるようになります。また、製造現場でもARを活用することで、組み立て作業の指示やメンテナンス手順の確認が容易になり、作業効率が向上します。
設計と現場の連携が強化され、エラーの削減と生産性向上が実現します。
特徴⑤シミュレーションを簡単にできる
先述した通り、Creoはさまざまなシミュレーション機能を搭載しています。例えば、Creo Simulation Liveは、Ansysの技術を活用し、リアルタイムでの構造解析、熱解析、流体解析を行うことができ、設計の最適化を迅速に推進できます。
また、ジェネレーティブデザイン機能を活用することで、設計者は自動的に最適な形状を提案され、試作回数を削減できます。「難しそうな機能」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、Creoのシミュレーション機能は、複雑な設定は全く必要とせず、直感的な操作で利用できるため、設計者が専門的な解析スキルを持っていなくても活用可能なのです。
設計の品質向上と開発期間の短縮が同時に実現できます。
Creoを効率的に習得する学習方法
Creoの特徴を読んで「効率的に学習できる方法が知りたい」と思う方も多いでしょう。そこで、効率的に習得する学習方法について5つ紹介します。どれもメリット・デメリットがあるため、自分に適した方法を選んでみてください。
- Webサイトで体系的に学習
- YouTubeで視覚的に学習
- ウェビナーを受講する
- 販売店の開催する教育セミナーを受講する
- Creo Design パッケージに含まれるeラーニングを利用する
方法①Webサイトで体系的に学習
Webサイトでは、Creoの基本から応用まで体系的に学べるため、順序立てて知識を身につけられるのがメリットです。公式サイトやブログには、具体的な手順や活用例が掲載されており、必要な情報をいつでも確認できます。一方で、情報量が多いため、どこから学べばいいか迷うことがデメリットになります。
Creoについて基礎知識を学習したいという方は以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参照ください。
方法②YouTubeで視覚的に学習
YouTubeには、Creoの操作方法を実際の画面を見ながら学べる動画が豊富にあり、初心者でも直感的に理解しやすいのがメリットです。特に、実際の設計プロセスを動画で確認できるため、操作の流れを掴みやすくなり、自分でも手を動かしながら操作可能です。
ただし、PTC公式動画以外のものは内容の正確性にばらつきがあり、嘘の情報を覚えてしまうリスクもあるため情報の精査は必要です。
方法③ウェビナーを受講する
ウェビナーでは、専門家から直接指導を受けられ、リアルタイムで質問できます。最新の機能や活用法を効率よく学べるため、実務での応用力も向上します。しかし、開催日時が決まっているため、自分の都合に合わせにくい点がデメリットです。
ですが、PTCジャパン社ではYouTubeにアーカイブを上げているので、後日確認することが可能です。
方法④販売店の開催する教育セミナーを受講する
Creoを効率的に習得する方法の1つには、販売店が提供する教育セミナーを受講することもおすすめ。販売店の教育セミナーは、その販売店で購入すれば無料もしくは低価格でセミナーの受講が可能です。
もちろん、経験豊富な講師が直接指導するため、疑問点をその場で解消でき、独学では得にくい実践的なノウハウも習得可能です。
Creoに関するトラブルや業務を効率化する方法も学べるため、実務ですぐに使用できるでしょう。
方法⑤Creo Design パッケージに含まれるeラーニングを利用する
Creoのサブスクリプション契約には、eラーニングが含まれており、無料で実践的なスキルを学ぶことができます。
eラーニングでは、基本操作から高度な設計手法まで、幅広い内容が網羅されており、自分のペースで学習できるのが特徴です。サポートやバージョンアップも含まれているため、常に最新の機能を学ぶことも可能です。
独学に不安がある方でも、安心して学習ができるでしょう。
Creoについてのまとめ
本記事では、Creoの基礎知識や特徴について解説しました。Creoは業界トップクラスのハイエンドCADソフトです。初心者にも使いやすく設計されており、設計から製造まで全てのプロセス効率化が期待できるでしょう。
また、今後もCreoの活用方法や応用技術について詳しく解説する記事を連載していきますので、「Creoについてもっと知りたい」という方は引き続きご覧ください。さらに深掘りした内容をお届けし、より実践的な知識を提供していきます。
以下のリンクからはCreoの各種ご質問・お問い合わせを受けております。詳しく知りたいという方はぜひご覧ください。
