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【2025】Creoのシングルデータベース・カーネルとは?特徴も紹介【第3回連載】

「設計変更のたびに手作業の修正が必要になり、時間もコストもかかる」と悩みを根本から解決するのが、Creoが採用する3つの革新的なコンセプトです。それが、

  • フィーチャベースパラメトリック設計
  • シングルデータベースによる一元管理
  • フルアソシアティビティによるリアルタイムな関連更新

これらを支えているのが、PTCが独自開発した自社製カーネルです。一般的なCADが外部カーネルを利用しているのに対し、Creoは自社で制御可能なカーネルを搭載しているため、高度な設計思想をより深く、シームレスに実現可能です。

本記事では、Creoのカーネルが支えるシングルデータベースの強みや効果を詳しく解説します。

Creoの基礎知識について

CreoはPTCが開発した3DCADソフトウェアで、設計の自由度・一貫性・拡張性を兼ね備えたハイエンドCADです。小規模な製品設計から、大規模なアセンブリまで幅広く対応し、設計者のアイデアを迅速かつ正確に形にすることができます。

特にジェネレーティブデザインやリアルタイムシミュレーションなどの先進技術を搭載し、設計のスピードと精度を飛躍的に向上させます。また IoTやARとの連携が可能で、設計データをそのまま製造・保守へ活かせる点も強みです。

Creoはクラウド対応のSaaS版(Creo+)も登場し、これからの設計環境を支える次世代CADとして注目されています。

Creoの価格

Creoの詳細価格は公表されておらず、見積もりをもらい自社ビジネスに必要な機能等を精査した上で購入する必要があります。ここでは、どのようなパッケージがあるのかを紹介します。

ノードロック版 Creo Design Essentials
Creo Design Advanced
フローティング版 Creo Design Essentials
Creo Design Advanced
Creo Design Advanced Professional
Creo Design Engineering
Creo Design Engineering Professional

各パッケージの価格については、問い合わせが必須になるため、下記のリンクからチェックしてみてください。

また、Creoの価格について詳しくお知りになりたい方は以下の記事で解説していますので、ご確認ください。

【2025】Creoの価格はいくら?他製品との比較とコストパフォーマンス

設計思想を支えるCreo独自のカーネルとは

Creoが採用しているカーネルとは

3DCADソフトウェアにおける「カーネル」とは、幾何学演算を処理するエンジンのことを指します。例えば他のCADソフトで「Parasolid」や「ACIS」といったカーネルが使われることが多いです。一方でCreoはPTCが自社で開発した独自カーネルを搭載しています。このカーネルの存在こそが、以下の3つの強力な設計思想の実現を可能にしています。

  • フィーチャベースパラメトリック設計
  • シングルデータベースによるデータの一元管理
  • フルアソシアティビティによる自動更新と整合性保持

つまり、カーネルそのものがCreoの設計思想を支える土台であり、競合製品と比べてソフトウェア全体の統合性と拡張性において大きなアドバンテージを生み出しています。

Creoのカーネルが支えるシングルデータベースとは

Creoのカーネルとなるシングルデータベースとは

シングルデータベースとは、設計・製造プロセス全体を一元管理するデータ構造のことを指します。従来のCADシステムでは、設計データが複数のファイルに分散されており、データの整合性を保つのが難しく、設計変更の際に手作業で修正が必要になるケースが多くありました。

一方、Creoのシングルデータベースでは、「パラメトリック設計」「フィーチャーベース設計」「コンカレント設計」の概念が統合され、設計データの一貫性が確保されます。例えば、トップダウン設計のアプローチを採用することで、主要な設計情報を一元管理し、すべての部品やサブアセンブリにリアルタイムで反映させることが可能です。

つまり設計変更が発生した際も、関連するすべてのデータが自動更新され、ミスや手戻りを最小限に抑えることができます。

さらにスケルトンモデルを活用することで、3Dの構想設計がスムーズに行え、設計の意図がブレずに維持されるのも特徴です。大規模なアセンブリデータでも、全てのパーツを読み込むことなく作業が可能なため、パフォーマンスの向上にも貢献します。

こうしたシングルデータベースの利点により、Creoは設計効率の向上だけでなく、製造工程までの時間短縮も実現できるCADソフトなのです。

Creoのシングルデータベースの強み

Creoのシングルデータベースの強み

Creoのシングルデータベースの強みは、主に以下の5つです。

  1. データの一貫性と変更管理
  2. トップダウン設計の強化
  3. 大規模アセンブリの効率的な管理
  4. コンカレントエンジニアリングの促進
  5. 設計の再利用性向上

強み①データの一貫性と変更管理

Creoは設計データの一貫性を維持しながら効率的な変更管理が可能です。従来のCADシステムでは、部品ごとに別々のファイルが存在し、変更の際にすべての関連データを手作業で更新する必要がありました。

しかしCreoではシングルデータベースによってすべての設計情報が統合されており、ある部品を変更すると関連するすべてのデータに即座に反映されます。そのため、設計ミスの削減や修正作業の工数削減が可能になり、よりスムーズな設計プロセスが実現します。

特にパラメトリック設計との組み合わせにより、変更を効率的に管理でき、設計の自由度も期待できるのです。

強み②トップダウン設計の強化

Creoのシングルデータベースはトップダウン設計をサポートします。トップダウン設計とは 製品全体の仕様や主要構造を最初に決定し、その設計情報を下流の部品やサブアセンブリに自動的に展開する手法です。

トップダウン設計を許可できれば、設計の意図が正確に伝達され、後工程の手戻りが削減されます。また、スケルトンモデルを活用することで、製品の基本構造を維持しながら、個々の部品設計を進めることが可能です。

従来のボトムアップ設計と異なり、全体の設計方針をブレさせることなく、一貫性を持った製品開発ができるため、複雑な設計にも柔軟に対応できます

強み③大規模アセンブリの効率的な管理

大規模アセンブリの管理に優れているのも、Creoのシングルデータベースの強みです。

一般的なCADでは、大規模アセンブリを扱う際にすべてのパーツデータを読み込む必要があり、動作が重くなったり、設計のレスポンスが低下したりする課題がありました。しかし Creoのシングルデータベースでは、必要な部分だけをロードし、作業中のデータ処理を最適化する仕組みが構築されています。

そのため大規模アセンブリを扱う際もスムーズな操作が可能です。さらにシングルデータベースによって、設計データ間の参照関係を明確にし、複雑な製品構造でも一貫性を維持しながら管理できます

強み④コンカレントエンジニアリングの促進

複数の設計者が同時に作業を進める「コンカレントエンジニアリング」も可能にします。従来の設計フローでは、ある部品が完成するまで次の工程に進めないプロセスが主流でした。

しかしシングルデータベースでは、すべての設計データがリアルタイムで統合されているため、各設計者が別々の部品を設計しながらも、全体の整合性を確保することが可能です。開発スピードが向上し、製品の市場投入までの期間を短縮できます。

特に 複雑な製品やグローバルな開発環境において、チーム全体の生産性向上が期待できるでしょう。

強み⑤設計の再利用性向上

多くのCADソフトでは 類似した設計を再利用する際に、データをコピーして個別に編集する必要があります。しかし Creoではシングルデータベースの恩恵により、パラメトリック設計やファミリーテーブル機能を活用することで、設計のバリエーションを効率的に作成可能です。

また、過去のプロジェクトデータを活用しながら、新しい製品設計に適用できるため、設計の手間を削減し、開発コストの最適化にもつながります。過去の設計データを有効活用できるため、設計業務を効率化できるのです。​

Creoについてさらに詳しくお知りになりたいという方は、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

【2025】Creoはなぜ世界的に評価されているか?PTCのエンジニアが語るCreoが競合の中から選ばれる理由

Creoのシングルデータベースがもたらす効果

Creoのシングルデータベースがもたらす効果

Creoのシングルデータベースによって設計現場にさまざまな恩恵がもたらされます。

  1. あらゆるコストの削減
  2. 市場投入までの期間短縮
  3. 品質の向上

効果①あらゆるコストの削減

Creoのシングルデータベース実現により、構想設計から製造までのプロセスをスムーズに実施できます。また詳細設計や解析の段階で不具合が見つかった場合、前工程に戻って再設計する必要がある「シーケンシャル・プロセス」ではなく、設計変更が即座に反映され、後工程での大幅な手戻りを削減できる「コンカレント・プロセス」であるため、製品開発期間の短縮が実現できるのです。

つまり、製品設計にかかるコストだけでなく、時間的コストなどあらゆるコストを削減できます。

効果②市場投入までの期間短縮

従来の設計プロセスでは、製図データを基に製造工程を進めるため、設計と製造の間でデータの変換や手作業による修正が必要になることが多く、時間のロスが発生していました。

しかしCreoのシングルデータベースを活用すると、設計から製造までのデータを統一された形式で管理できるため、無駄な変換作業が不要になります。結果、製造プロセスのスムーズ化により、リードタイムを短縮し、より早く市場に製品を投入できるようになります。

効果③品質の向上

Creoのシングルデータベースを採用すると、設計変更が発生した際に、すべての関連データに即座に反映されます。

例えば、ある部品の寸法を変更した場合、それに関連するアセンブリや製図も自動で更新されるため、手作業での修正が不要になります。修正を1つずつ行うと、どこか1つでミスが起きると品質は低下しますが、Creoでその心配はありません。

設計変更の影響を素早く把握でき、品質の維持と向上が実現できるのです。

Creoのシングルデータベースとは?カーネルは?についてのまとめ

Creoは「フィーチャベースパラメトリック設計」「シングルデータベース管理」「フルアソシアティビティ」という3つの柱によって、製品開発のスピードと精度を両立する環境を提供しています。そして、それらを深く支えているのが、PTC独自の統合カーネル技術です。

設計から製造、保守、さらにはIoT連携までを見据えた「統合型プロダクトデザイン」が現実のものとなります。

また Creoについて「詳しく知りたい」という方は以下のリンクから他の連載記事を確認できますので、あわせてチェックしてみてください。

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