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【2025】Creoの大規模アセンブリとは?処理速度に影響を与える要因について【第4回連載】

製造業の設計現場において CADソフトの処理速度は業務効率を大きく左右する要素です。CADソフトは設計の規模が大きくなるほど処理速度が低下し、作業効率の低下を招きます。

そこでおすすめするのがCreoです。大規模アセンブリを効率的に使用でき、高い処理速度を誇っています。しかし Creoの大規模アセンブリの処理速度がなぜ速いのか?疑問を持つ方もいるでしょう。

そこで本記事では Creoの大規模アセンブリについて、処理速度に影響を与える主要な要因と理由について解説します。さらに 効率的な設計を行うための方法についてもご紹介しますので、Creoの導入を検討している方はぜひご参考になさってください。

CADソフトにおける処理速度の重要性

CADソフトにおける処理速度の重要性

Creoの大規模アセンブリにおける処理速度を解説する前に、設計業務において処理速度が重要視される理由について解説します。CADソフトにおける処理速度が重要視されるのは以下の理由があるためです。

  • 作業効率の向上
  • レンダリングやシミュレーションの高速化
  • 複数タスクの同時実行
  • 品質向上とミス削減
  • 大規模データへの対応

CADソフトにおいて処理速度というのは、そのソフトのスペックを表す1つの指標です。 例えば、図面の修正や3Dモデルの編集に時間がかかると、プロジェクト全体の進行が遅れ、納期に影響を及ぼすこともあるでしょう。

特に大規模な設計ほど、処理速度の遅さは設計業務において明確になるのです。

Creoの大規模アセンブリとは?

Creoの大規模アセンブリとは、多数の部品やサブアセンブリで構成された複雑な3Dモデルを指します。

明確な定義はありませんが、一般的には3,000~5,000個のオカレンスと、1,000~2,000個のパーツで構成される設計が該当します。これらの大規模アセンブリは、設計や管理に特別な技法やツールが求められるだけでなく、パフォーマンスの最適化が重要な課題です。

特に、部品のオカレンス数やジオメトリの複雑さ、外部データの取り込みなどが処理速度に影響を与え、作業効率を低下させる要因となります。Creoでは、このような大規模アセンブリの設計をスムーズに行うための機能が搭載されており、適切な設定や手法を活用することで、設計作業の負担を軽減することが可能です。

Creoについて「製品の特徴など詳しく聞きたい」という方は以下のリンクからお問い合わせをしてください。

また、Creoの詳細については第1回目の連載記事でも解説していますので、ご参照ください。

【2025】Creoとは?連載で徹底解説!基礎知識から特徴・強みを紹介【第1回連載】

Creoが大規模アセンブリを効率的に使用できる理由

Creoが大規模アセンブリを効率的に使用できる理由

Creoが大規模アセンブリを効率的に使用できる理由は主に以下5つです。それぞれ詳しく解説します。

  1. 優れたメモリー管理
  2. 高速の処理速度
  3. 軽量表示データの活用
  4. Uniteテクノロジーの活用
  5. 設計比較機能

理由①優れたメモリー管理

Creoは、動的なメモリー割り当てと最適化されたメモリー管理機能を備えており、大規模アセンブリの処理時でもシステムリソースを効率的に活用できます。特に必要なデータのみをメモリーにロードする仕組みがあるため、RAMの過剰消費を抑えつつ、高速なパフォーマンスを実現できます。

これにより大量の部品や複雑な設計を含むモデルでも、スムーズな操作と快適な作業環境を維持することが可能です。また Creoのメモリー管理は不要なデータの解放やキャッシュの最適化も行い、長時間の作業でも安定した処理速度を維持できるのが特徴です。

理由②高速の処理速度

Creoは、大規模アセンブリの読み込みや操作時に軽量表示データや簡略表示を活用することで、数千の部品を含むモデルでも高速なレンダリングとスムーズな操作を可能にしています。不要な詳細データを省略しながら設計作業が行えるため、従来の設計環境と比較して最大40倍の速度向上が実現されているのです。

また パラメトリックモデリングにおいても高速な再計算機能が搭載されており、部品数の多いアセンブリでもリアルタイムに近いレスポンスを提供します。これにより、作業の待機時間を最小限に抑え、設計プロセスの効率化を実現できます。

理由③軽量表示データの活用

Creoでは 軽量モードでアセンブリデータを読み込むことで、グラフィック負荷や計算負荷を大幅に削減できます。これによりシステムのメモリー使用量を最適化し、ハードウェアの負担を軽減しながらもスムーズな操作を維持できます。

また 必要に応じて詳細データのみを後からロードする仕組みになっており、設計の自由度が高いのも特徴です。特に大規模アセンブリでは全てのデータを一度に処理するのではなく、作業に応じた情報を動的に取得することで、効率的なワークフローを実現できます。これにより複雑な設計でも快適に作業できるのです。

理由④Uniteテクノロジーの活用

CreoのUniteテクノロジーは、他のCADソフトウェアで作成されたデータを直接インポート・編集できる機能です。これにより異なるCAD環境で作成された設計データを変換せずにそのまま利用でき、データ互換性の問題を最小限に抑えられます。

CATIA、SolidWorks、NXなどの主要なCADにも対応しており、マルチCAD環境でのコラボレーションがスムーズに行えます。また、インポートしたモデルをCreoのパラメトリック設計環境で修正・管理できるため、データ変換の手間を省きながら、一貫性のある設計を実現できます。これにより、異なるツール間での設計プロセスを効率化し、時間とコストを削減することが可能です。

理由⑤設計比較機能

Creoの設計比較機能は異なるバージョンの設計を視覚的に比較し、変更点を素早く特定できる機能です。大規模アセンブリの変更管理が容易になり、設計ミスの防止や品質向上につながります。

特にリアルタイムでの比較が可能なため、設計意図を維持しながら、迅速に調整や修正を行うことができます。またチームでのコラボレーション時には、設計の差分を即座に把握できるため、意思決定のスピードも向上します。またCreoの比較機能は詳細なジオメトリ解析や属性の違いも検出できるため、設計の変更履歴を正確に管理することが可能です。

そのため大規模なプロジェクトでも効率的な変更追跡と調整が実現できるでしょう。

Creoの大規模アセンブリの処理速度が高い理由

Creoの大規模アセンブリの処理速度が高い理由

Creoは大規模アセンブリにおいても、処理速度がなぜ高いのか?その理由について解説します。

  1. 効率的にメモリーを使用する
  2. 大規模データ処理を最適化する
  3. 強制終了リスクの低減

理由①効率的にメモリーを使用する

Creo Parametricは、独自の「メモリー掃除機能」を搭載しており、効率的なメモリー管理を実現しています。OSに依存せずにCreo自身が不要なメモリーを自動的に解放します。大規模アセンブリを扱う際、多くのCADソフトではメモリー消費が増大し、パフォーマンスの低下や強制終了のリスクが高まりますが、Creoはこのようなリスクが少ないのが特徴です。

例えば、ユーザーが大規模アセンブリを閉じた後も、他のCADソフトではメモリーが解放されずに残ることがありますが、Creoは自動的に不要なメモリーを解放し、常に最適なメモリー状態を維持します。

そのため連続して複数の大規模アセンブリを開いても、メモリー不足による問題が発生しにくくなり、長時間の作業でも安定したパフォーマンスを維持できます。

理由②大規模データ処理を最適化する

Creoは大規模データの処理を最適化するために、トップダウン設計アプローチと簡略表示機能を効果的に活用しています。トップダウン設計アプローチにより、大規模アセンブリの構造を効率的に管理し、部品間の関係性を明確に把握できます。設計変更の影響を迅速に反映させることが可能となり、大規模プロジェクトの管理が容易になるのです。

また簡略表示機能を使用することで、複雑なアセンブリの表示を簡素化し、必要な情報のみを表示可能です。そのため大規模アセンブリの読み込み時間が大幅に短縮され、編集作業も行えるようになります。

Creoは独自開発のGRANITEカーネルを採用しており、処理性能がさらに最適化されています。GRANITEカーネルは、複雑な形状データを効率的に処理し、大規模アセンブリの操作をスムーズにします。

理由③強制終了リスクの低減

Creoのメモリー管理とデータ処理最適化機能により、大規模アセンブリを扱う際の強制終了リスクが低減されています。特にCreoは仮想メモリーへの依存を最小限に抑えるよう設計されているのです。多くのCADソフトウェアでは、大規模アセンブリを扱う際にメモリー不足が発生すると、仮想メモリーに頼らざるを得なくなりますが、パフォーマンスの著しい低下や最悪の場合は強制終了につながります。

しかし、Creoは効率的なメモリー管理により、物理メモリー内で作業を完結させる確率が高くなります。また万が一メモリー不足が発生しそうな場合でも、Creoの「メモリー掃除機能」が作動し、不要なメモリーを解放することで、強制終了を避けられるのです。

これにより長時間の作業や複雑な操作を行っても、データ損失や作業中断のリスクが大幅に低減され、設計者は作業に集中できます。

以下の記事でCreoの使い方を詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

【2025】Creoの使い方を徹底解説!基本操作から高度な使い方まで

Creoの大規模アセンブリの処理速度を向上させるには

Creoの大規模アセンブリの処理速度を向上させるには

Creoは処理速度が高いソフトですが、より速度を向上させるには以下3つの方法を行いましょう。

  • ソフトウェア設定
  • ハードウェア最適化
  • 設計手法の改善

ソフトウェア設定

Creoは大規模アセンブリの処理に優れたCADソフトですが、適切な設定を行うことでさらにパフォーマンスを向上できます。主に以下3つの設定を行いましょう。

  • 簡略表示機能の活用:不要な情報を省き、表示を簡素化することで、アセンブリの読み込み時間を短縮し、編集作業をスムーズに行えます。
  • メモリー掃除機能の利用:Creoが自動で不要なメモリーを解放し、長時間の作業でもメモリー不足によるトラブルを防ぎます。
  • トップダウン設計アプローチの採用:部品間の関係を明確に管理でき、設計変更の影響を迅速に反映し、大規模プロジェクトの管理を効率化できます。

これらの設定を適用することで、大規模アセンブリの処理速度を向上させ、設計環境を実現できます。

PCのスペックを向上させる

処理速度はPCのスペックにも左右されます。そのため、Creoが推奨するスペックを下回る場合は、処理速度が遅くなるということです。以下の表が推奨されるスペックです。

CPU
  • OpenGL をサポートした 3D 対応グラフィックカード
  • CPU Intel Pentium(4、M、D)
  • Intel Xeon
  • Intel Celeron
  • Intel Core
  • AMD AthlonAMD Opteron
メモリ(RAM) 16GB以上
※大規模アセンブリを扱う場合、24GB以上のRAMが推奨。特に、パーツの数が7,000個程度の場合は、64GBのRAMが理想的
グラフィックカード(GPU)
  • NVIDIA RTX
  • INTEL(Dell・Lenovo)
  • AMD Radeon Pro(Dell・HP・Lenovo)などの専用GPUが推奨
ディスプレイ解像度 1280 x 1024(フルHD)以上が推奨
OS Windows 10から最新バージョンの64bitに対応

大規模アセンブリにおいて処理速度が遅い場合は上記のPCスペックを見直してみましょう。

設計手法の活用

大規模アセンブリの処理速度を向上させるには、Creoに搭載されている設計手法の活用が必要です。主に以下3つの手法を改善しましょう。

  • トップダウン設計アプローチを採用
  • 簡略表示機能を活用
  • コンカレント設計機能を利用する

Creoのコンカレント機能とは、設計プロセスを並行して進めることが可能な仕組みです。コンカレント設計機能を利用すれば、リアルタイムでの共同作業が可能となり、作業の中断を最小限に抑えられます。

Creoの大規模アセンブリについてのまとめ

第4回目の連載では、Creoの大規模アセンブリにおける処理速度について解説しました。Creoは大規模アセンブリを扱う設計業務において高い処理速度と優れた操作性を持つソフトです。

設計プロセスの効率化と品質向上を目指すなら、Creoの大規模アセンブリ機能を最大限に活用することが重要です。本記事を参考にCreoの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

Creoの大規模アセンブリとは?処理速度に影響を与える要因について
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