AU技術レポート:シミュレーション(構造解析)入門!
第7回:シミュレーション(構造解析)入門!
こんにちは、スリプリの三谷です。
連載企画のAU(Autodesk University 2015)参加レポート、第7回は、「Simulation for Fusion 360」より、解析機能の利用方法についてご紹介します。
第1回「第1回AU(Autodesk University 2015)について」はコチラからご覧いただけます。
皆さんは、Fusion360の解析機能を使用していますか?解析というと難しそうですが、少しハードルを下げていただけるように、概要を解説します。
Fusion360の解析機能のコンセプトは、「デザイナーや設計者に使ってもらえる、強力なシミュレーション」ということです。
元来、シミュレーションというと、1,000万円を超えるソフトを使って、大手企業が専属の解析部署を作り、ハイスペックPCで1日、2日の時間をかけて演算を行い、試作回数を減らしましょう、という使われ方をしていました。
Fusion360のシミュレーションは、デザイナーや設計者が使えるように簡単に、計算時間を早くすることで、設計する際に正しい判断をし、製品の機能を改善し、致命的な大きな不具合を事前に防ぐことを目的としています。そのため、設計→解析→ダメなところを改善→再度解析・・・・というステップを、素早く行うことができます。
それでは、Fusion360の解析について詳しく見てみましょう。
画面左上の作業モードをシミュレーションに変更することで、シミュレーションをするモードに変わります。
スタディというボタンを押すと出てくる4つ、これが現在Fusion360でシミュレーションできることです。
それぞれ、わかりやすくかみ砕いて説明すると、以下のようなことが分かります。
・静的解析
どこかに力を加えたら、どこにどのくらいの力がかかって、力の大きさによっては壊れる、ということが分かります。
・モード周波数
振動があったときに、どのように形が震え、どこにどのくらいの力がかかって、力の大きさによっては壊れる、ということが分かります。
・熱解析
熱源があるときに、その熱がどのように伝わっていくか、ということが分かります。
・熱応力
熱によって発生する歪みと、それに伴ってどこに力がかかるか、ということが分かります。熱解析と静的解析の合わせ技です。
実際にシミュレーションする流れは、意外と簡単です。以下にまとめましたので、ご覧ください。
ステップ1. シミュレーション作業スペースに移行
シミュレーションに特化した作業スペース「シミュレーション」が用意されています。始めに行うことは、シミュレーション作業スペースに移行することです。
ステップ2. スタディを作成
次のステップは「スタディ」を作成することです。実行する解析(今回は静的解析)を選択します。
ステップ3. 材質を適用
それぞれのスタディのなかで、オリジナルの設計データで適用された材質以外を設定することができます。複数の材質による結果をテストすることができます。
ステップ4. 拘束を追加
形状のどこが固定されるのかを定義します。
ステップ5. ロードを追加
形状のどこに力が加わるのかを定義します。
ステップ6. 解析の実行と結果の確認
[解析]ボタンを押すことで解析が実行され、色分けされた結果が表示されます。安全率や応力、変位を確認することで、壊れる可能性がある個所を確認できます。
安全率は
材質の降伏強度 / 現在かかっている応力
という計算式であらわされた結果のため、1以下の数値になると壊れる可能性があります。
いかがでしょうか、やることは、「どこかを固定して」「どこかに力をかけると」「どこが弱いか」がわかる、それだけの操作です。
この機会にぜひチャレンジしてみてください!
また、今後のFusion360のアップデートには、クラウドシミュレーション機能の実装も予定されています。ハイパワーのマシンを使用できるため計算が早く、大規模アセンブリの計算も早くなり、かつ計算中も操作できるメリットがあります。また、バージョン違いも同時計算することで、デザイン検討も早くなります。
今後の機能強化が非常に楽しみです!
いかがだったでしょうか。
今回のような解析の使い方について知りたい!というお客様が多かったため、「スリプリ Fusion360 スーパーアドバンスコース」を新たに立ち上げました。
今回紹介した、「静的解析」についても詳しく学べますので、興味を持たれた方はぜひご参加ください!
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