業務利用にお勧めな3DCAMを比較してみました。
3DCAM選定の参考にしてみてください!
※価格に関しては、最近の傾向として永年ライセンス方式と年払い(月払い)の複数形態を持っている場合が多く、年払いのみのライセンス形態に移行するCAMも増えつつありますが、特に表記しない場合永年ライセンス価格で表示しています。
CAMとは?
3DCAMの前に、まずCAMについて少し説明します。
CAMとはコンピュータ支援製造 (computer aided manufacturing)の略であり、製造分野において、CAD等で作成されたデータをNC加工などで利用するためのシステムのことをいいます。
歴史的には1956年にさかのぼり、APTと呼ばれるNCプログラム言語が開発されたのが最初で、その後APT言語をもとにしたFAPT、HAPT、MINIAPTなどの派生言語が開発されました。
CAMの利用環境としては、初期の頃はUNIXが利用されることが多かったのですが、Windows系のコンピューターのCPU性能の向上と低価格化の影響のあり、また、CADの環境も同様にWindowsが大勢を占めるに至ったことから多くはWindowsへ移植され今に至っています。
CAMの種類について
CAMは大きく分けると2DCAMと3DCAMに分かれており、2軸のデータを出力するものを2DCAMと言います。
これに対し、2.5D、2.8Dといった平面に断面を付加したり、側面から見た輪郭形状を付加するなどのものや、3DCADなどで作成された自由曲面を含む立体データを用いた3軸以上の加工(同時5軸など)を行うものを3DCAMと言います。
CAMはCAD/CAMタイプとCAM単体のものがあり、CAD/CAMタイプのものは、同一のソフト上で単にモードの切り替えを行うだけでCAMとして利用でき、CAM単体のものは、そのCAM専用のフォーマットにCADデータなどの変換が必要となってきます。
CAMのデータは内部的に「フィーチャ型」「サーフェス型」「ポリゴン型」に分かれており、それぞれ得意な分野や利用しやすい形状があるのに加え、CAMのデータ作成においては、加工機械の工具軸数でも分類が分かれており、「工具軸固定」「工具軸傾斜固定」「工具軸傾斜連続変化」「多軸(複合軸)」など、加工方法や仕上がりに違いが出るような特徴があります。
例えば同時5軸などと呼ばれるものは、3軸同時の移動に加え、工具自体を傾斜させるため、工具の長さを短くでき、より精度を高く、また高速に加工することが可能となっています。
業務利用におすすめなCAM紹介
仕事などの業務利用におすすめなCAMソフトはこちらです!
Fusion 360:オートデスク社
概要
WindowsだけでなくMacでも利用可能な低価格3DCAD/CAMシステムです。
クラウドベースで作られており、 2軸加工、3軸加工、穴加工、旋盤加工、5軸加工(※Ultimate版のみ)までの加工に対応可能です。
Fusion 360 CAMは、HSMWorksやInventorh HSM™で実績のあるカーネルを使用しています。
主な機能
低価格でありながら、3DCADの機能から3DCAMの機能までひと通りを利用できますので、業務で利用する方はもちろんのこと、初心者や、個人利用者にも非常に扱いやすいものとなっています。
2軸、2.5軸、3軸の機能すべてがクラウド上で動作し、データもクラウドストレージ上に保存するようになっています。
さらに、加工材を基に切削領域を自動で認識するため無駄なツールパスを省き、加工時間の短縮を実現します。
また、工具やフォルダの干渉チェックがCAM上で行えるためドライランの時間を短縮できます。
3Dプリンタ用のデータを直接生成できるユーティリティーも利用できるため、手軽に3Dモデルの作成が可能です。
価格
年額56,000円(税別)、月額7,000円(税別)(個人利用なら無料でも利用可)
HSM:Autodesk社
概要
InventorとSolidworksに完全統合されたCAMシステムです。
InventorとSolidworksのインターフェースから直接3Dアセンブリを操作可能で、システムの把握もしやすく、設計変更に連動します。
InventorのAnyCAD機能を使用する事で他のCADデータでも連動させながらCAMデータの作成が可能です。
現在、PDMコレクションのみに含まれるソフトになります。
また、無償のInventor HSM Expressや、HSMXpress for SOLIDWORKSという製品もあります。
主な機能
2.5 軸~5軸フライス加工、旋盤加工、複合旋盤加工用まで対応可能です。
オプションなどは無く、シンプルな構成になっていますが、負荷制御切削機能、シミュレーション機能や、干渉チェックなど必要な機能はそろっています。
また、シミュレーションの分散PC処理などの機能もあり、高速なシミュレーションが可能となっています。
価格
PDMコレクションのみに含まれるソフトになります。
Mastercam:CNC Software社
概要
世界的にも利用数の多いCAMで幅広いモジュール構成で時間効率、作業効率、費用対効果を考えた構成になっていますので、様々な顧客ニーズに応えることができるシステムとなっています。
主な機能
2軸から5軸に対応した各種モジュール、レリーフなどの加工に特化したモジュールなどに加えて3Dモデリング機能もあり、ワイヤーからのサーフェース生成機能なども充実しています。
また、Solidworksに特化したモジュールもあり、Solidworks上で複合加工プログラミングも行えます。
価格
2.5D:120万円~、3D:330万円~
hyperMILL:OPEN MIND Technologies社
概要
同時5軸加工CAMとしては高い評価があり、国内においてはほぼすべての工作機メーカーが5軸加工用としての推奨CAMとされています。
また、2軸から5軸までのインターフェースを統合化してあり、操作性の向上もなされてあります。
主な機能
通常5軸同時加工では5軸を全て動作させることが多いのに対し、なるだけ少ない軸数での加工を行うアプローチがとられています。
また、プログラミング自動化、プロセスの最適化などの為のモジュールや、自動化された干渉チェック、干渉回避機能などもあります。
価格
180万円~
CimatronE:Cimatron社
概要
同時3軸、5軸に対応した、主に金型を得意とするCAD/CAMシステムです。
サーフェース、ソリッドに対応したCADから加工までをトータルでサポートできるシステムとして設計から加工までをスムーズに行うことが可能となっています。
主な機能
高速な粗取り機能に加え、加工方法の最適化による高品質な仕上加工機能や、微細な工具による精密加工にも対応しています。
また、自動NC機能に「秒速」とうたわれるNCプレビュー機能などもあり、加工の結果もすぐ確認可能となっています。
素材除去、削り残し除去、工具干渉チェックを含んだ機械動作のシミュレーションも可能です。
価格
400万円~
CAM-TOOL:C&G Systems社
概要
サーフェースモデリング機能を持ち、ハイエンドに分類されるCAD/CAMシステムです。
穴から、2.5軸、3軸、5軸加工までのカッターパスを出力可能です。
CAMエンジンはサーフェース演算とポリゴン演算を持つハイブリッドCAMとなっています。
主な機能
多彩な加工モードを搭載し、荒加工から仕上げまでを幅広く対応可能です。
また、大きな工具での取り残しに対する加工の最適化が図られていたり、工具の接触面を減らし工具への負荷を減らす機能なども特徴的です。
価格
情報取得不可
FF/cam:株式会社 牧野フライス製作所
概要
工作機械の専門メーカーとして、30年以上の技術、ノウハウの蓄積をもとに自社開発された国産CAMです。
シンプルなインターフェースで操作性にも考慮して作られており、標準的な加工パラメーターをテンプレートとして用意してあるため、テンプレートから簡単に流用が可能です。
主な機能
高速なパス作成機能でCADデータを読み込んでからNCデータを作成するまでの時間を軽減できます。
また、豊富な加工条件データベースを持ち、工具メーカーのデータベースも利用可能となっており、実切削の検証結果の積み重ねが反映されているため、精度の高い加工が可能です。
モジュールの追加で同時4軸・5軸加工や、STLモデル加工、ヘアライン仕上げなどにも対応できるようになっており、必要なモジュールを運用体制に応じて選択できるようになっています。
価格
情報取得不可
TopSolid’CAM(TOPCAM):Missler Software社
概要
もともとTOPCAMという単体製品でしたが、3DCADシステムTopSolidと製品統合されopSolid’CAMという名称になりました。
TopSolid上で動作するので、CADデータをそのままCAMに利用でき、CAD上の形状変更がそのままツールパスに反映されるなど、手戻りやミスがなくなり大幅に作業効率が上がります。
主な機能
穴あけ、切削から5軸加工までの7種類の製品展開となっていますが、基本のインターフェースは同じなので、操作性は同じです。
独自の加工ノウハウをメソッドとして登録でき、ツールパスの自動生成時にも利用できます。
また、ツールパスの作成もドラッグ&ドロップで可能となっており、シンプルな操作性となっています。
価格
200万円~
FeatureCAM:Autodesk社
概要
もともとはDelcam社が開発したものですが、2015年にAutodesk社が買収し、自社製品として販売しています。
2.5軸フライス加工+3軸のStandardと、3軸フライス加工のPremium、5軸フライス加工のUltimateと3つのエディションで構成されており、用途に応じて製品を選択する形となっています。Ultimate版にはPartMakerというCAMが同梱されています。
主な機能
フィーチャー認識機能と自動化ツールによりプログラム時間を軽減できます。
シミュレーション機能は様々な加工機械に対応しており、ツールパスの安全性を向上します。
ツールはクラウド化されたデータベースからダウンロード可能で、常に最新のものを利用可能です。
価格
期間限定ライセンス(3ヵ月、1年、2年、3年)3ヵ月 123,120円~(Standard)
※ 複数年だと割安になります。
OneCNC:OneCNC社
概要
CAMとしてはローエンドの価格帯ですが、様々な有償オプション機能があり、ミドルレンジの機能にも匹敵するようなCAMとして扱えます。
ミル加工、旋盤加工、プロファイル加工、ワイヤー加工の製品を選択するようになっており、それぞれにグレード違いがラインアップされていますので、用途に応じて細かく製品を選択できます。
主な機能
3軸までは標準の機能として提供されています。(4軸、5軸はオプション製品)
上位グレードには3DCAD機能もあるためCAD/CAMとして利用可能です。
高速加工用のHSMツールパスにより、工具への負荷を一定にすることができ、有効刃長を最大限に利用した高効率な切削が可能となっています。
価格
28万円~88万円
3DCAMの価格帯について
上記にあげた3DCAMですが大きく分けて3つの価格帯で分類されています。
それぞれの価格帯の特徴は以下のとおりです。
ハイエンド
価格的には400万円以上とされます。(「CAM-Tool」など)
価格相応の豊富な加工のための機能が多く搭載されており、様々なオプション機能等を追加することで広い分野でさまざまな加工が可能となります。
加工の度合いなど、どこまで突き詰めて加工し、精度を上げるかが選択のポイントとなります。
ミドルレンジ
価格帯は100万円~400万円(「FF/CAM」「MasterCAM」「Topsolid’CAM」など)
価格的に、機能的にも最も普及しているレンジです。
機能も豊富で、使う機能やオプションによっては、ハイエンド並みの能力を持つ製品もありますので、企業でまず導入してみるといった場合には、インターフェースも使いやすく、習得する時間もさほどかからないようですので、このレンジからスタートする場合が多いようです。
ローエンド
価格帯は100万円以下のもの(「FeatureCAM」「OneCNC」「Fusion3 60」など)
価格相応に、できる事が限られている場合が多く、中には個人利用ならば無償で提供されているものもありますので、CAMの基本知識習得などには良いのではないかと思われます。
また、Fusion 360の登場により年間約3万円で、高性能は3DCAMを業務で利用できるようになりました。
オリジナル商品のような、高性能な加工機械などを必要としないものはこのレンジでも十分に使えると思われます。
初めてCNCやCAMを学ぶのにおすすめのセミナーを紹介!
木材から金属までなんでも加工!はじめてのCNC入門セミナー
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3DCAMソフトでCNC加工データの作成方法が学べる!
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CNCの基本操作が学べる!
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はじめてのCNC入門セミナーの特徴
「はじめてのCNC入門セミナー」は、CNCの加工データを作る3DCAMとCNC自体の操作法を基礎の基礎から覚えます。実際に、CNCを操作しモデルを作って削りながら教えてくれるので実務に使えるスキルが身につきます。

こんな加工ができるようになる!
「はじめてのCNC入門セミナー」でCNCの使い方をマスターすると、木材や金属などを使い、こんな加工ができるようになります。(※加工例)

2日間でこれだけの内容を学習できる!
CNCの基礎を学び何でも加工できるようになることが目標です。実質無料のソフト「Fusion360」のCAMモードの操作をマスターし、CNC用のNCデータ作成方法を学習します。さらに、実際にCNCの機械を操作することで、ドリルやエンドミルなどの工具の扱い方や、切削方法などを習得することができます。
- 学習内容1
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加工の基礎知識(材料、工具、切削条件、加工方法)
工業分野の経験が無い方でも、CNCでの加工法が理解できるよう、工業材料や工具、切削条件、加工方法などの基礎知識をレクチャーします。
- 学習内容2
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Fusion 360 CAMの基本操作(ツールパス作成、シミュレーション、NC変換)
主な2Dと3Dのコマンドを習得します。最初に2Dのコマンドを学ぶことで、3Dの加工法がより理解しやすくなります。CAMの操作は、工具をどのように動かすかという軌跡(ツールパスと呼びます)を設定する操作がメインになります。CAMで作成したツールパスを機械を動かすためのNCデータに変換するまでの流れを学びます。
学習するコマンド
- 2D/面 → 表面を平らにする
- 2D/2D輪郭 → 側面を仕上げる
- 2D/2Dポケット → ポケット部(窪み)を削る
- 2D/ボア → 螺旋運動で穴をあける
- 3D/負荷制御 → 大まかに全体的に削る
- 3D/走査線 → 一定のピッチで横方向に削る
- 3D/等高線 → 一定のピッチで高さ方向に削る
- 学習内容3
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片面加工のやり方
CNCでの切削加工で、基本となる片面の加工法を学びます。
- 学習内容4
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Rolland MDX-40A・KitMillの操作方法(工具の取り付け、原点設定、材料の取り付け)
C個人向けCNC、Rolland MDX-40AとKitMillを使ってCNCの操作方法を学びます。工具の取り付け方や原点設置方法、材料の取り付け方など、一般的なCNCで共通する操作方法を身につけます。
- 学習内容5
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ツールパスの設定(面出し、等高線加工、走査線加工、穴あけ加工など)
- 学習内容6
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両面加工のやり方(サポート付き)
CNCでの両面加工法を学びます。片面加工とは違ったノウハウが必要となり、実際の製品を作る上では必須となる加工法です。
講座料金と直近の開催日程

はじめてのCNC入門セミナー
料金39,800円(税別)
2日間(13:00-17:30)
定員/8名
使用ソフト/Fusion 360
はじめてのCNCセミナーお申し込みはこちら
※ご入力頂いたメールアドレス宛にお申し込みに関するご案内をお送りいたします。
受講した人の感想
CNC入門セミナーを受講された方の声を一部ご紹介します。受講者は日本全国各地から参加されています。CNCやCAMを学習したい方、これからFusion 360の導入をご検討の方はぜひ参考にしてください。
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東京都 男性
実務レベルでCNC加工できるようになりました。FusionのCAM機能については、ネット上での情報もごく僅かで独学で習得することができずにおりましたが、今回の受講で実務レベルでCNC加工できるまでのスキルを身につけることができ、とても有意義なセミナーでした。今まで我流でCNC(KitMill MOC900)加工しておりましたのでいろいろな問題が生じておりましたが、受講後は快適に加工できております。この度は貴重な知識を習得できるセミナーに参加することができとてもラッキーだったと思っております。本当にありがとうございました!
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福岡県 男性
本当にわかりやすいセミナーでした。三谷さんのセミナーはほんと頭に入りやすい!そんなセミナーだからこそ受講する!って思えるので、今後もFusion360のさらなる機能のセミナー期待しています!また福岡にきてください。楽しかったです!
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大阪府 男性
独学よりも早く習得できました。FUSIONのCAMの内容がわかりやすかったです。独学ですると時間が掛かってしまいますが、短時間で理解することができました。これから、実際に取り組んでいきたいと思います。
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福岡県 男性
素晴らしい講師に出会えて感激!昨日と今日、福岡でのFusion360・CNC講座、ありがとうございました。私はボランティアですがPC講師やってまして、三谷さんの講師役としての資質も拝見されていただきました。分かりやすさはもちろんですが、時間配分、間の取り方埋め方等、久しぶりに本物の講師に会えた感じでした。今後、益々ご活躍されるかと思います。2日間ありがとうございました。
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愛知県 男性
充実の2日間でした。参加者の疑問を丁寧に理解しやすく説明し、操作ミスの時もスムーズに対処してくれたので、ワンポイントアドバイスの細かい内容も簡単に理解することができました。
CAMソフトについてまとめ
今回はCAMソフトにフォーカスを当て徹底的に紹介してみましたがいかがでしたか?
CAMやCNCに不安がある場合は必ず一度セミナーを受けられるのをおすすめしますよ!