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CADオペレーターってどんな職業?概要から種類、知識まで徹底解説!

CADオペレーターは、様々な分野で必要とされている職種のひとつです。
しかし、具体的にどんな仕事内容なのか、働く職場にはどんな業界があるのか分からない方もいるでしょう。
そこでこの記事では、CADオペレーターについて詳しく説明していきます。
また、CADオペレーターになるためには、どんなスキルが必要なのかも合わせて紹介していきます。

CADオペレーターとは?

CADオペレーターとは

CADオペレーターのCADとは「Computer Aided Design」の略です。
日本語に訳すと「コンピューター支援設計」と呼ばれ、コンピューターを用いて設計することや、コンピューターによる設計を支援する手段(ツール)を指します。
CADオペレーターの仕事は様々なツールを使用して、設計者やデザイナーが考えたり作ったりしたものを、パソコンを使って図面や3Dデータなどで具現化して作成していきます。
このときに使用するソフトウェアを、CADソフトと言います。
また、CADを使う業界は様々あるため、CADオペレーターの仕事は多くの分野で必要とされている職種です。
業界によって使用するCADのソフトも変わり、その業界に特化したツールが組み込まれたソフトなど様々なCADソフトが利用されています。
設計者とCADオペレーターは似ている部分がありますが、設計者とはその名の通り設計が主な仕事で、CADオペレーターはその設計を元に正確な図面として作り上げていくため、それぞれに明確な役割があります。

CADオペレーターの仕事内容

CADオペレーターの仕事内容は、大きく分けると以下の3つになります。

  1. 設計図の作成
  2. 製図データの修正
  3. 製図データの管理や複製

それぞれご紹介していきます。

①設計図の作成をする

まず設計者やデザイナーが作った図面を、SOLIDWORKSAutoCADJw-cadなどといったCADソフトを使って正確な図面に作図していきます。
設計図面の作成には、設計のミスがないように正確な図面作りのできるスキルが要求されます。
CADで作った図面に何かミスがあると、製作した製品にも問題が発生してしまって不良品になる恐れがあるためです。
また、建築の業界や自動車業界など、使う人の命に関わるようなものを製造する職種では、設計ミスは安全性に大きく影響してしまうため、より慎重で確実な図面作成スキルが求められます。

②製図データの修正をする

CADで製図のデータを作成したら、何度も見直しをして細かい修正を行います。
実際にデータ化すると、細かい部分で不具合が見付かる可能性があり、データが完成するまでには何度も修正をしないといけません。
また、製図データが完成しても製品の製造段階で仕様が変わる場合があり、その都度にデータを変更しなければいけなくなります。
さらに、建築や自動車などデザインに関係する業界では、作品のブラッシュアップを行うたびに設計図面の変更がされます。
そうした図面修正をいちいち設計者が行っていては膨大な作業時間が必要になってしまうため、図面作成を専門とするCADオペレーターが活躍することになります。

③製図データの管理や複製を行う

製図データが完成した後も、そのデータを管理する必要があります。
何故なら、データを間違って無くしたり破損したりすると、同じ図面をまた最初から作り直さないといけなくなるからです。
しかもデータは複数の人が閲覧するので、製図データを複製して管理を行います。
データを新たに修正したら、複製した製図データすべてを最新の物に変更する作業も必要になります。
そのため、CADオペレーターの仕事はデータを作成するだけでなく、その管理も大切な仕事内容のひとつになります。

CADオペレーターが活躍する現場はどんな業界?

CADは様々な設計図をデータ化して管理をしやすくするだけでなく、3Dモデルなど立体的に表現できるメリットがあります。
そのため、様々な製造業などでCADオペレーターが活躍しています。

建築業界

建設業界のCADオペレーター

建築業界のCADオペレーターの仕事は、設計者が考えた案をCADを用いて具体的な設計図面にすることです。
ビルやマンション、住宅など、様々な建築物の詳細な図面を描くことになります。
平面的な図面を作成できる2DCADや、立体的に表現することで視覚的にわかりやすい状態で設計できる3DCADだけでなく、建築業界ではBIMと呼ばれる、3DCAD機能を用いた設計業務から、施工管理、維持までのワークフローをこなせるソフトも普及が進んでおり、こうしたソフトのスキルを持ったCADオペレーターが重宝されています。
建築関係の業界でCADオペレーターとして働きたい場合には、CADに関する知識だけでなく建築や施工の分野の知識など、専門的かつ多面的な知識を身につけておく必要があります。

建築業界では、

  • AutoCAD
  • Vectorworks
  • Jw-cad
  • ArchiCAD

といったCADソフトが多く使われています。
建築業界で使用されている2DCAD・3DCADに関して詳しくは「建築CADの2DCADと3DCADの特徴まとめ」をご覧ください。

土木業界

住宅の基礎や擁壁などの小規模な工事から、ダムや橋などの大きな構造物を扱う土木業者も、工事に取り掛かる前に必要になってくるのがCADオペレーターが作成した図面です。
構造物全体の図面だけでなく、コンクリートの中に入る鉄筋や配管の位置を表したり、測量した高さや距離の数値をもとに図面を作成します。
扱う工事や会社にもよりますが、2D図面の作成が多く、ソフトは

  • Jw-cad
  • AutoCAD

などが用いられています。

インテリア業界

インテリア業界では、インテリアデザイナーなどが設計した内装や家具を、CADを使って図面にしていくのが基本的な仕事です。
働く事務所にもよりますが、インテリアコーディネーターがクライアントと打ち合わせをしながら自分で図面を作成する場合と、インテリアを専門としたCADオペレーターが作成する場合の2種類があります。
インテリア業界の場合も建築業界と同様で、設計者やデザイナーがデザインした家具や内装を、具体的に図面化して製作にまわしたり量産できるように規格化したりするのが、CADオペレーターの主な仕事です。
インテリア業界で使われているCADソフトは、建築業界で使われるCADソフトとほぼ同じですが、特に

  • Vectorworks
  • SketchUp

といったCADソフトが多く使われています。

福祉業界

福祉業界では、障害者や高齢者向けの福祉施設の図面や、バリアフリー住宅の図面を描いたりします。
通常の建設業界でも福祉関係の設計を行っている場合がありますが、介護や福祉になると専門の知識が必要なので、福祉関係専門のCADオペレーターが活躍していることもあります。
福祉業界では、建築業界やインテリア業界で使われるCADソフトと同じものが使われることが多いです。

製品設計の分野

加工部品や機械部品など、製品設計の分野でもCADオペレーターが必要とされています。
製品設計を行う設計士が3DCADを使った3Dモデリングをした後に、実際の細かな実施設計をCADオペレーターが担うケースが多いです。
加工部品は小さなものや細かく複雑な形状をしたものが多いため、設計図面を作成する際には正確なCADスキルが必要になります。
きちんと機械が作動するように、シミュレーションを何度も繰り返すなど地道な仕事を繰り返せる人や、技師との打ち合わせも頻繁にあるのでコミュニケーションをとって協力して仕事ができる人が向いています。
製品設計の分野では、

  • Fusion 360
  • SOLIDWORKS

といったCADソフトが多く使われています。

自動車や航空などの業界

自動車や航空機業界ではCADオペレーターが活躍している

自動車業界や航空業界では、機器や製品の設計を3DCADを用いて行います。
3DCADは2DCADより扱いが難しいものが多い上に製品の性質上、精度も必要になるためCADオペレーターは高いスキルが求められます。
さらに、CADスキルに加えて自動車や航空機・部品に関する専門的な知識も必要になります。
自動車業界や航空業界では、会社独自のCADソフトを使っている場合も多く、

  • ハイエンドCAD

と呼ばれるシミュレーション機能などの付いた高スペックなCADソフトが使われています。

最近ではファッション・ジュエリーなどのアパレル業界や、イラスト・グラフィックなどのアート業界でもCADオペレーターが活躍しています。
こういった業界では、CADの技術だけでなく、最新の流行や新しい発想力も問われます。
この先も様々な業界でCADオペレーターは必要になってくるでしょう。

CADオペレーターに必要なもの

CADオペレーターとはどんな職業でどんな業界があるのか分かったところで、どうしたら「CADオペレーターになることができるのか」。
CADオペレーターになるためには、以下のようなスキルが必要になります。

  • パソコン操作に関するスキルやCADデータの取り扱いスキル
  • 企業が導入しているCADソフトに関する専門的な知識
  • 業界に関する専門的な知識

CADオペレーターとして働くには、まずパソコンの基本操作のスキルが必須になってきます。
基本操作とは画面の見方やマウスの動かし方などですが、一つの目安としてエクセルやワードなどが使えるレベルが問われることも多いようです。
また、CADソフトにはたくさんの種類があり、ソフトによって操作方法は大きく違うこともありますので、自分の働きたい業種・会社でどのCADソフトが使われているのかサーチして、そのCADのソフトの知識やその業界の専門的な知識を身に着ける必要があります。

こうしたCADに関する総合的なスキルの指標となるのが、CADの資格です。
どの職業に就くときも、資格は優遇されることが多い一つの武器になります。

CADの資格

CADに関する資格はどのようなものがあるのでしょうか?
いくつかご紹介します。

1:CAD利用技術者試験

CADの資格として代表的なものに、知名度が高く就職や転職でアピールしやすい「CAD利用技術者試験」があります。
こちらの試験は一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催しています。
扱うCADの種類によって、2次元か3次元に試験が分かれていて、それぞれに1級から2級までの試験が用意されています。
2次元・3次元どちらも、1級、準1級を受験する場合には2級の有資格者が受験条件となっていて、初めて受ける場合には2級、もしくは3ヶ月程度の就学者を受験対象者として想定した「2次元CAD利用技術者試験基礎」の受験をオススメします。
特に建築業界や機械製造で仕事をする上で、持っていると転職に有利になる資格です。

CAD利用技術者試験について詳しく知りたい方は、「CAD利用技術者試験とは?」の記事をご覧ください。
また、3次元CAD利用技術者試験2級を受けたいと思っている方はこちらのセミナーがおすすめです。

2:建築CAD検定試験

1993年に日本で初めて誕生した建築CADの資格試験です。
試験は准1級から4級まで。
(1級については、試験方法や採点方法の環境が整っていないため実施の予定はないとのこと)
建築系に特化している資格で、建築系の設計をしたい人におすすめです。

こちらの試験についてホームページはこちらをクリック。

3:Vectorworks操作技能認定試験

CADソフトの国内総販売源であるエーアンドエー株式会社が主催しています。
こちらは「ベーシック認定試験」と、その合格者のみ受けることができる「マスター認定試験」に分かれています。
いずれも試験会場などは用意されていない在宅型の試験になります。
この認定試験はインテリア業界で使用する会社も多いため、インテリアのCAD設計に関わりたい人に向いています。

こちらの試験についてホームページはこちらをクリック。

他にも、オートデスク認定の「AutoCAD プロフェッショナル認定資格」や厚生労働省認定の「CADトレース技能審査」など。
CADオペレーターは業界によって使用するソフトが違い、求められるスキルにも幅があります。
自分がどんな業界でCADオペレーターになりたいのかを決めて、その業界に必要なCADの知識や資格を習得するのが良いでしょう。

3DCADの資格や試験について詳しく知りたい方は、「3DCADの資格取得方法!使える仕事や資格階級まで徹底解説」の記事をご覧ください。

CADの経験

前述では資格を取得することで、就職・転職の近道に繋がることをご紹介しましたが、実際にCADオペレーターに関する求人の一例を見てみると、「CAD経験者優遇」「経験者歓迎!」との記載も多く、資格よりも「経験」を重視する会社も少なくないです。
では、CADはどのように経験を積むことができるのでしょう。

1:学校で学ぶ

建築・土木・機械・電気など工業に特化した学校では、製図の授業で基本的なCADの使い方を学ぶことができます
図面を書く際はつくる構造物や製品をイメージすることも大切です。
全く関わったことのない業種のCADオペレーターを目指す場合はこちらの方法を検討してみてください。

2:セミナーに参加する

社会人になってからでも、各社から開講されているセミナーに参加することで技術の習得が可能です。
初心者向けからスキルアップを目的とした教室まで、自分のレベルにあった講座を受けることができます。
通える範囲で開催している教室や自宅でできるオンライン講座など探してみましょう。

3:転職先で経験を積みながら働く

求人の中には「PCの基本的スキルができれば初心者でも構いません」という会社もあります。
この場合はCADオペレーターになりたい!という熱意が伝われば、収入と同時にスキルも身に着けることができます。
ただし、就職してから「思っていた職業と違う!」なんてことにならぬよう、慎重に考えましょう。

他にも自宅で参考書などを使ってスキルを習得する人もいます。
自分に合った無理のない方法でCADの経験を積みましょう。

CADオペレーターについてまとめ

CADオペレーターは専門的な知識が必要で、技術がまったくない場合は転職は難しいかもしれません。
しかし、資格取得の勉強やソフトの扱い方をマスターすることで、就職や転職は可能です。
また未経験なら資格取得だけでなく、実際にソフトを使って作品を作ればアピールの材料にもなり、採用側の興味を引くこともできます。
CADスキルを学習できる様々なセミナーが開催されていますので、セミナーを利用してCADオペレーターになるための学習をしてみることをおすすめします。

参考動画

動画:アイベステクノ CADの社員さん、1日密着してみたーYouTube

CADオペレーターとして働く女性社員さんの1日に密着したインタビュー動画です。
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