Fusion360 のCAMでマシニングセンターを動かしてます!

マシニングマスター「かずばん」

こんにちは
今までは、自宅の3Dプリンターでプリントするために、個人的にFusion360を使用していました。
ところが会社でもCAD/CAMが不足してきた事もあり、
8月ぐらいから、実際にFusion360でマシニングセンターを動かす事に取り組んでいます

フライス盤とマシニングセンターの違い

ここにいらっしゃる方は、3Dプリンター関連の人が多いと思うので、
卓上CNCフライス盤のほうが馴染みがあるかもしれませんが
金属加工業界ではNCフライス盤はほとんど見られなくなり、マシニングセンターが主流になっています
実は私、最初に動かしたNC機がNCフライス盤でした。もう37年ぐらい前かな・・・
構造的には、NCフライス盤にATC(Auto Tool Changer)と呼ばれている、工具を自動で交換する装置が付加されているイメージです
工具を機械内に何本も設定でき自動交換できます。
複数の工具が必要な、複雑形状を自動加工できる機械です。

ATC
数本~数百本の工具を自分で交換しながら、無人運転での加工が可能です
また、卓上CNCフライス盤が、木材や樹脂、アルミなど比較的軟らかい素材がターゲットなのに対して
マシニングセンターは、樹脂から難削材、高硬度な金属の加工までカバーできます
さらに、加工精度も高く、高精度な機械では、1μ(0.001mm)の精度で加工できる物や
車がそのまま乗っかるほど大きな機械もあります

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CAMの信頼性は非常に重要

こんなマシニングセンターなので、CNCフライス盤と比較すると値段も高価です
500万円が最低ラインでしょうか?サイズや精度によっては、億以上の機械もあります

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高品質な製品には、ある程度製品が求めるスペックの機械が必要ですが、CAMも非常に重要になります
高性能な機械を導入してもCAMが吐き出すNCデータの質によっては、求める製品が出来ない事もありますし
最悪、誤動作させてしまい、高価な機械を壊してしまう場合もあります
したがって、信頼性の問題もあり、最近までCAMソフトも非常に高価でした
20年ほど前のワークステーションの時代の3D-CAMは、2000万ぐらいしましたね~
現在でも、200万ぐらいが一般的ではないでしょうか?
そんな中で、Fusion360の価格設定は破格ですね・・・
3Dプリンター用としての用途が多いかもしれませんが、
このライセンス料でCAMも標準で使用できるのは驚きです。

さて価格はいいとして、Fusion360のCAMはどんなものなのか?
これで、会社のマシニングセンターが動かせるのか?
動かせたとしても、実際の製品になる加工ができるのか?
という事でここ数ヶ月取り組んでいます

果たしてFusin360のCAMで会社のマシニングセンターを動かせるか?

結論から言うと、3軸機ですが2種類の機械が動いてま~す。
一台は、海外のちょっと特殊な機械で高精度加工が目的の機械ですが、
実際ミクロンオーダーの製品が加工できてます。
もう一台は、1500mm×750mm ぐらいのテーブルを持つ、大きめの中型マシンです

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こちらは精度よりも剛性があり高能率な機械で、穴加工やポケット、ネジ加工などが主です
こちらも、まだまだ、実績は少ないですが、加工できています

多種類の機械を動作させるにはポストプロセッサが必須

Fusion360は1種類のCADなのに、なぜ数種類の機械が動かせるのでしょうか?
これは、ポストプロセッサというソフトが重要な役割を果たしています
ポストプロセッサ:直訳すると「後処理」とでも訳す事ができるでしょうか
Fusion360を含め、他のCAD/CAM もCADで描かれた図形データは内部では図形要素が数値で保存されています
CAMでは、この図形データをもとに加工する際の工具の位置座標(Cutter Location)を計算します
CAMの一番重要な仕事は、このCLデータを間違いなく生成する事と言えます
ただ、このCLデータはCAMにしか理解できないデータ構造なので、CLデータでは工作機械は動きません
そこで、CLデータを各工作機械が理解できる言語、
NC(Numerical control)データに変換するのが、ポストプロセッサの仕事です
ポストプロセッサは、いろいろな工作機械の制御機が理解できるNCデータを作成するソフトだといえます
これが、一種類のCAMで数種類の機械を動かす事ができる仕組みです

NCデータ

NCデータには、機械の動かし方により大きく2種類の指令に分ける事ができます
【加工動作指令】
これは工具の動く道順を事細かに指令します。
「あそこに行け。次はあそこ、次はあっち。」のイメージで座標データが羅列されます
この工具動作のデータ部分は、座標の数値データが主なので、多くのNC工作機械で互換性が高いです

【補助的な準備機能指令】
もう一つは、加工に関して補助的な作業を機械にさせる指令です
使用する工具を交換して主軸に持ってきたり、回転させたり、冷却水を出したり、
扉をロックしたり、コンベアを動かしたり・・
動作指令と違って、この補助指令は、機械仕様や機械メーカーによって違ってきます
ポストプロセッサを作成する場合、この後者のほうが大変な作業になりそうです。

NCデータ構造

データ構造も大きくわけると、2種類を使い分けています

【加工全体を一つのデータにする】
上記の動作部分の指令と補助的な指令を、ひとかたまりデータとして作成する方法で、
加工全体を一つのデータでカバーします

【メインと複数のサブプログラムで構成する】
もう一つは、動作部分と補助部分を別のデータとして管理する方法です
動作部分をサブプログラムとして保存し、補助部分のデータをメインのプログラムとします
メインプログラムで機械を準備させた後、動作部分データを
メインプログラムからサブプログラムとして呼び出す方法です
メインサブ方式と呼ばれています
この方法だと、互換性が高い動作部分のデータは、多種類の機械で共通使用可能となりますから
補助部分のメインプログラムのみ、各機械に合わせて、編集すればいい事になります
一種類の機械のみであれば、前者のほうが管理的には楽ですが、
数種類ある場合には後者のほうが便利な事が多いです

今回私は、後者のデータ構造でポストプロセッサを作成しました
ただし、補助指令の順番や、どこまでをサブプログラムの範囲にするかなどは、ポスト作成者によって違ってきます

ポストプロセッサ作成

Fusion360はインストール時点でかなりの種類のポストプロセッサが用意されています
「CAM」⇒「ポスト処理」⇒「セットアップ」⇒「インストールしたポストライブラリを使用」に設定すると
かなりの種類のコントローラ名や機械名が出てきますので、これがそのまま使用できればラッキー!です
ネット上にも、ライブラリが公開されていますので、「Autodesk HSM ポストライブラリを開く」にすると
Web上で公開されている、ポストプロセッサをダウンロードできます
HSP_POST
ただ、自分が思ったようなNCデータはなかなか出してくれないですね
特に、NCデータの仕様は加工状況や経験によって、同じ機械でも各社ごとのノウハウが盛り込まれ
機械が正常に動作した後からでも進化していきますから、標準ソフトでは満足できないのが普通だと思います
公開ポストファイルはテキストなので、メモ帳などでも自由に編集が可能です
動かしたい類似機械用のファイルを、編集する事でかなり思うようなNCデータを吐き出す事ができます
ただし、ポストプロセッサの基本言語は、Javascriptなので、言語の知識は若干必要です
さらに、HSM独自のClass名やFunction名も必要になってきます
このへんの情報は、私は下記のサイトを参考にしました。
私は英語は不得意ですが、眺めているとなんとなく分かるようになってきます

Autodesk CAM Post Processor Documentation

Post Processor Training Guide

すでに沢山のサンプルが公開されていますから、何種類かのポストでとりあえずNCデータを出力させ、
出力されたデータを比較していくと結構理解できるようになりました
それにしても、このポストプロセッサ言語はすごく汎用性にとんでいますね~。
NCデータ作成だけでなく、加工指示書や工具リストなど、いろんな情報も出力する事が可能になってます
他のCAMに付属している標準のポストプロセッサでは、ユーザーがここまで自由に作成できるものは少ないと思います

それでも、言語を覚えたり、試行錯誤しながらの作業ではやっぱり時間はかかりますね。
自作が難しいようでしたら、

「biz road」さんに有償サービスもあるようです

Fusion360のCAMはかなり使えます

CAMの出来栄えで、加工品質も変わってきますから、加工屋にしてみれば非常に重要なツールです
Fusion360の価格は非常に魅力的ですが、逆にその事で躊躇してる加工屋さんもいるかもしれません
実は私も最初はそんな印象を持ちましたが、実際にパス出しをしてみると、なかなかいいです。
もちろん、CAD/CAMは汎用ソフトですから、好き嫌いや得意不得意は存在しますが
いいとこ取りでいけたらいいと思っています
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負荷制御機能(Adaptive Clearing)

その中でも、負荷制御はいいですね

現在会社で使っているCAMシステムでは出せないパスです
出せないながら負荷制御にはかなり以前から興味があったパスですが、なかなか負荷制御機能だけの為に新しいCAMの導入まではできませんでした
ところが、Fusion360にはこの機能が標準で使えます
早速、いろいろテスト加工を行いました。いいです!
ある加工で、加工条件は同じに設定したのに、50%程度加工時間が短くなった例もありました
かなり無駄のないパスを吐き出してくれます
この負荷制御だけでも、Fusion360を導入する価値はあると思います

次回はこの負荷制御についての記事を書いてみたいと思います

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