facebook

Fusion 360の達人!コンテストに連続入賞の大学院生・河田尚子氏

3D CADソフト『Fusion 360』(フュージョン・スリーシックスティ)の活用事例を紹介するこちらのコーナー。第18回は、Fusion 360でオリジナル作品を製作し、「ファブ3Dコンテスト」や「Fusion 360押し出しコンペ」などさまざまなコンクールで賞を受賞し、Fusion 360学生アンバサダーとしても活躍している、九州大学大学院の河田尚子氏にお話を伺いました。

デジタルファブリケーションと出会って気づいたモノ作りの魅力

九州大学大学院芸術工学府に在学中の河田氏は、デジタルツールを活用したデザインについての研究に取り組んでいます。その河田氏が、デジタルファブリケーションに出会ったのは大学3年生のときでした。

「デジタルモデリング演習という授業でスマートフォンのケースを作ったのが最初です。粘土で形を作り、それを3Dスキャンして、3Dプリンターでプリントしたのですが、そのときに、自分のアイディアが2次元のスケッチで終わるのではなく、実際に手に取れる3次元のモノになったことがとても嬉しかった。それ以来、モノ作りにハマりました」(河田氏)

デジタルファブリケーションによるモノ作りに魅せられた河田氏は、2017年に開催された「ファブ3Dコンテスト2017」のカテゴリー4(エンターテイメント部門)に、頭と胴体をいろいろな動物のフィギュア同士で付け替えができる「キメラニマルフィギュア」を出品。審査員からの評価も非常に高く、優秀賞を受賞しました。

「キメラニマルフィギュアは私の自信作。現在の自分の代表作かな、と思っています」(河田氏)

コンテストに連続入賞!Fusion 360の達人大学院生「ファブ3Dコンテスト2017」のカテゴリー4で優秀賞を受賞した「キメラニマルフィギュア」。頭と胴体を動物同士で入れ替えられるようになっている

コンテストに連続入賞!Fusion 360の達人大学院生「キメラニマルフィギュア」の頭と胴体を入れ替えた様子

「Fusion 360押し出しコンペ」でダブル受賞

さらに、河田氏は、2018年1月に開催された「Fusion 360押し出しコンペ」に、透き通る美しさと内部の文様が印象的な作品「羊羹」を出品し、SB C&S賞と.Too賞をダブル受賞しています。このコンペは、Fusion 360の押し出しツールのみを使って作られた作品が対象になるというコンクール。実は河田氏は、羊羹の前にも「押自像」という自分の像を押し出して作った作品を投稿したのですが、ひと目で押し出し機能を使ったことがわかる作品のほうがいいと考え、直方体の羊羹を作ることを思いついたそうです。

コンテストに連続入賞!Fusion 360の達人大学院生Fusion 360の押し出しツールで作成した羊羹

コンテストに連続入賞!Fusion 360の達人大学院生Fusion 360のレンダリング機能でレンダリングして完成

河田氏に、羊羹作りで苦労した点を聞いてみました。

「羊羹を作ることを思いついてから、モデリングは3、4時間ほどで完成しました。大変だったのはレンダリングですね。プレビューで見た画面と実際にレンダリングしたものだと、色味がちょっと違ったりして、背景のぼかし具合などもなかなかうまくいかず、苦労しました。あと実は、羊羹そのものよりもむしろ、下のお皿や竹のようじ、テーブルの木目をいかにきれいに本物っぽく見せるかということに、力を入れたかもしれません(笑)」(河田氏)

Fusion 360学生アンバサダーとしても活躍

河田氏は学生として、大学内でもFusion 360を活用したさまざまな取り組みを進めています。他の研究室の先生から頼まれて、関数から立体データを作成し、3Dプリンターで出力したり、あるいは修験道美術の再現に協力したりと、活動は多方面にわたっています。

そんな河田氏がFusioin 360を使い始めたのは、2016年10月ころ。1年半ほど活用していく中で、Fusion 360の豊富な機能のうち、特に河田氏が気に入っているのは、スカルプトとレンダリング、それからパターンを円形に配置する機能だそうです。

河田氏は今、Fusioin 360を提供するオートデスクから、大勢の人にFusioin 360の良さを伝える「Fusion 360学生アンバサダー」に選ばれ、学内でFusion 360の初心者向け講習会を開催したり、ブログで情報発信をするなど、積極的に活動を行っているほか、九州大学デジタルファブリケーションサークル「3DD入出力室」も立ち上げました。

「2018年4月末、芸術工学部の学生が主催するフリーマーケットがあるので、そこに皆の作品を持ち寄って、サークルとして出店したいと思っています」(河田氏)

ダイナモやカラー3Dプリンターにも興味

今現在も、Fusioin 360を存分に活用している河田氏。今後、どのような取り組みを進めていこうと考えているのか、聞いてみました。

「サークルの仲間も増え、Mayaなど他のソフトを使うメンバーもいます。私もFusion 360とそのようなソフトをあわせて使いながら、もっと幅広い雰囲気の作品を作っていきたいと思っています。また、パラメータで物理的にモデルを作れるようになると、より近未来的なデザインのモノを作れると思います。だから、今Dynamo Studioを勉強しています。気になる技術としては、最近発表された、FDM方式の3Dプリンターですが、中でも、表面にインクジェットで色を付けられるものが気になっています。今のFusion 360は、色つきの3Dデータを出力できないので、レンダリングの色やデカールなどが、そのまま表面の色として扱えるようになってくれると嬉しいですね」(河田氏)

そして河田氏は、これからは「人に教える」方面の研究に取り組もうと思っているそうです。

「今までFusion 360アンバサダーや授業のアシスタントをしていて、教える側も、教わる側も苦労があることがわかってきました。どうやってデジタルモデリングを教えたら、わかりやすく教えることができるか、わからない人にわかってもらえるようになるのかということについて研究しようと思っています」(河田氏)

コンテストに連続入賞!Fusion 360の達人大学院生研究室で作業をしている河田氏

最新情報をチェックしよう!