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ミニカー製作は手描きの下絵なし!Fusion 360を使うメリット

Fusion 360の活用事例を紹介するこちらのコーナー。第14回目は、Fusion 360と3Dプリンターを駆使してミニカーを製作されている秋葉征人氏に、お話を伺いました。

ミニカー製作 Fusion 360Fusion 360と3Dプリンターを駆使してミニカーを製作している秋葉征人氏

Fusion 360の日本語版が登場し、製作に没頭

秋葉氏は、子どもの頃から大のプラモデル、ミニカー好き。社会人になってプラモデル販売の仕事をしていました。長年、プラモデル販売の仕事をしてきた秋葉氏ですが、人生の節目と考えていた50歳を目前に「自分の好きなことだけをやっていきたい」という想いで、約1年半前にプラモデル店を退職(2016年6月頃)。現在は、フリーのモデラーとして活動しています。

秋葉氏は、子どもの頃から趣味でオリジナルのミニカー製作をしていました。以前は、手でパテを固めて、ヤスリで削ってミニカーを製作していましたが、3D CADと出会ったことで、3D CADと3Dプリンターを使ってミニカーを作るようになりました。最初に使い始めたのは、オートデスクの123D Designだったとのこと。

「123D Designを使い始めたのは4年くらい前ですね。1年か1年半くらい使っていました。その後登場したFusion 360も気になったのですが、当時は英語版しかなかったので断念しました。2015年秋に、Fusion 360が日本語化されたのを知って、飛びついた感じですね。」(秋葉氏)

プラモデル販売の仕事をしている頃から3D CADを独学で習得し、ミニカーのクオリティを上げていったそうです。

Fusion 360は圧倒的に曲面を作りやすい

秋葉氏は、Fusion 360の豊富な機能の中でも、曲面を自由に作れるスカルプト機能が特に気に入っているそうです。

「123D Designでは自由な曲面が出せないということが、Fusion 360に移行した一番の理由です。123Dも曲面を出せなくはないのですが、とても手間がかかって、なかなか思い通りの形にならなかったんです。私が作っている車は、曲面を多用するので、もっと高性能な3D CADを探しており、そこでFusion 360に行き着きました。Fusion 360を使ってみて、圧倒的に曲面が作りやすいと感じましたね。スカルプトモードが他の3D CADとは違う利点だと思います。」(秋葉氏)

Fusion 360を独学で習得した秋葉氏。現在はFusion 360の書籍もたくさん出版されているので、やる気さえあれば3D CADを初めて使う人でも独学で習得できるといいます。

「スカルプトとソリッドとスケッチを使って、ある程度自分が作りたいものが作れるようになるまでに1年くらいかかりました。その1年間はとにかく使い込みました。やはり、『習うより慣れろ』だと思います。とにかく使ってみることが習得のための近道ですね。」(秋葉氏)

手描きの下絵は不要。Fusion 360上で直接モデリング

Fusion 360を使うようになってから、ミニカーの製作フローが変わったと秋葉氏は言います。123D Designを使っていたときは、手で下絵を描いて、その絵にあわせてモデリングすることもあったそうですが、Fusion 360を使っている現在は、下絵を描かずに、直接Fusion 360上でモデリングをしているのだとか。

「ミニカーだったらタイヤを四隅に置き、その上にスカルプトでボディを描いて、少しずつ形を変えていきます。粘土を変形させるみたいに。粘土と違うところは、何度でも直せることですね。そうやって何回も変形させていると、ある程度時間はかかりますが、だんだんと自分が表現したかった『気持ちいい形』になっていくんです。」(秋葉氏)

ミニカー製作 Fusion 360まず、シャーシの四隅にタイヤを置く

ミニカー製作 Fusion 360スカルプトでボディを描いていく

ミニカー製作 Fusion 360モデリングが完成したところ

ミニカー製作 Fusion 360レンダリング機能を使って、完成イメージを確認

デカール作成には製造中止になったMDプリンターを使用

モデリングしたミニカーの3Dデータは、3Dプリントサービスを使って出力。その後、加工してエアブラシで色を塗り、自作のデカールを貼って仕上げています。デカールの作成には、現在は製造中止になってしまった、アルプス電気のMDプリンター※を使っているそう。MDプリンターなら、白や金、銀などの色も表現できるからです。FDM方式の3Dプリンターは、積層段差が目立つため、精密なミニカーを作るには向いていませんが、最近値段が安くなってきた光造形方式の3Dプリンターには興味を持っているとのことです。

※アルプス電気が独自開発した熱転写方式のプリンター。顔料系のドライインクを用いるため、銀や金、白といった特色の印刷が可能なことが特徴。2010年に販売が終了した。

FabLab Setagaya at IIDにある3Dプリンター『Form 2』で出力してもらったんですけれど、きれいでびっくりしました。60万円でここまで美しく仕上げることができるんだったら、欲しいなと思いますね。」(秋葉氏)

ミニカー製作 Fusion 360秋葉氏の作品。手前は塗装前の状態

ミニカー製作 Fusion 360

ミニカー製作 Fusion 360FabLab Setagaya at IIDにある3Dプリンター『Form 2』

今後はリアル志向の作品も作ってみたい

ミニカー製作 Fusion 360

秋葉氏に、作品へのこだわりについてたずねてみました。

「やはり自動車が好きなので、同じ自動車好きの方に、ニヤっとしてもらえるような、細部までこだわった作品にしたいと思っています。デフォルメはしていても、本物のことがわかっていてデザインしているんだなと、言われたいですね。」(秋葉氏)

ミニカー製作 Fusion 360エンジンルームの開閉ギミック。細部へのこだわりと遊び心が感じられる

ミニカー製作 Fusion 360

ミニカー製作 Fusion 360

これまでの秋葉氏のミニカーは、チョロQのように丸く、かわいらしくデフォルメされた作品が中心でしたが、今後はスケールモデルのようなリアル志向の作品も作ってみたいそうです。自動車だけでなく、昔の飛行機や戦車などにも興味を持っているとのこと。
秋葉氏が作るリアル志向の作品、ぜひ見てみたいですね。

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