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ファブ3Dコンテスト2017授賞式~最優秀賞は小学5年生の手に

2017年11月23日、「ファブ3Dコンテスト2017」の2次審査と授賞式が開催されました。
ファブ3Dコンテストは、慶應義塾大学 ファブ地球コンソーシアム主催 産学官民連携で「3Dプリンターの産業と文化」を育てていく一環として行われ、2016年から始まり、今年で2回目の開催となります。
応募総数81件で、8~71歳までと幅広い年齢層の方から応募があったこのコンテスト。
今回は、公開2次審査と授賞式の様子をレポートします。

「ファブ3Dコンテスト」の応募要項と審査基準

最初にファブ地球コンソーシアム代表の田中浩也教授が、ファブ3Dコンテストの趣旨を次のように語りました。

「慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)では、図書館の中に3Dプリンターが16台あって、学生が自由に文房具感覚で使っています。3Dプリンターを使ったものづくりの文化をもっと社会に広めたいという想いで、ファブ3Dコンテストを行っています」

ファブ3Dコンテスト2017は、5つのカテゴリーで作品の募集が行われました(応募期間は2017年8月1日~10月17日)。
10月末に各カテゴリーの審査員数人による1次審査が行われ、1次審査を通過して優秀賞や審査員特別賞を受賞した方にはメールで連絡が行われました。
1次審査通過者の中から、最優秀賞1名を選ぶ2次審査は公開審査となり、各カテゴリーの審査委員長による投票によって最優秀賞が決定します。

ファブ3Dコンテスト

ファブ地球コンソーシアム代表の田中浩也教授(写真最左)が、ファブ3Dコンテストの趣旨を説明

ファブ3Dコンテスト

公開2次審査、授賞式会場は、受賞者やその家族、関係者、報道陣などでいっぱい

ファブ3Dコンテスト審査員

各カテゴリーの審査員たち

ファブ3Dコンテスト 2017最優秀賞作品、カテゴリー1「夏休みの自由研究」部門 優秀賞作品

カテゴリー1「夏休みの自由研究」は小学生を対象とした部門で、テーマは「観察と制作」です。カテゴリー1審査委員長の慶應義塾大学名誉教授 小檜山賢二教授は、応募作品のレベルの高さに驚き、審査は難航したと語りました。

小檜山賢二教授

慶應義塾大学名誉教授 小檜山賢二教授

カテゴリー1の優秀賞に選ばれたのは、福岡県の小学5年生 平野喬久さんの「スイカの維管束 Part2 ~スイカを育ててモデリング~」でした。平野さんは、昨年もカテゴリー1で優秀賞を受賞しており、2年連続の受賞となりました。
この研究は実際にスイカを育て、根、茎、葉を貫いている束状の複合組織である維管束を観察し、3Dデータを作成して、3Dプリンターで出力するというもの。スイカの育成に失敗し、やり直しが必要になるなど、試行錯誤を繰り返しながら、完成度の高い研究に仕上げたことが高く評価されました。
またこの作品は、最も「未来」を感じる作品ということで、ファブ3Dコンテスト 2017最優秀賞も獲得しました。小学5年生とは思えない、しっかりとした研究レポートは、多くの審査員たちが絶賛していました。

平野喬久さん

2016年にも優秀賞を受賞し、「来年は最優秀賞をもらえるように頑張ろう」と心に誓っていたという平野喬久さん。2017年は見事、最優秀賞を受賞しました

ファブ3Dコンテスト 2017 最優秀賞

ファブ3Dコンテスト 2017 最優秀賞、カテゴリー1「夏休みの自由研究」優秀賞を受賞した平野さんに、トロフィーが贈られました

ファブ3Dコンテスト最優秀賞特製トロフィー

ファブ3Dコンテストの最優秀賞に与えられた特製トロフィー

「スイカの維管束 Part2 ~スイカを育ててモデリング~」

ファブ3Dコンテスト 2017 最優秀賞を受賞した平野喬久さん
「スイカの維管束 Part2 ~スイカを育ててモデリング~」の作品詳細はこちら

カテゴリー2「暮らしの自由研究」 優秀賞作品

カテゴリー2「暮らしの自由研究」は家族を対象とした部門で、テーマは「暮らし生活/改善」です。カテゴリー2審査委員長のオリンパス株式会社 佐藤明伸氏は、「今年の応募作品は多岐にわたっていて、ストーリー性を重視して選考した」と語りました。

佐藤明伸氏

オリンパス株式会社 佐藤明伸氏

カテゴリー2の優秀賞に選ばれたのは、岐阜県の公務員 小森領太さんの「重ねて重ねてパスタメジャー」です。家族みんなが作品づくりに参加していることや、片付けたときのオブジェのような美しさが評価されていました。

小森領太さん

カテゴリー2「暮らしの自由研究」の優秀賞に選ばれた小森領太さんに、賞状などが贈られました

「重ねて重ねてパスタメジャー」

「暮らしの自由研究」 優秀賞を受賞した小森領太さん
「重ねて重ねてパスタメジャー」の作品詳細はこちら

カテゴリー3「FAB甲子園」 優秀賞作品

カテゴリー3「FAB甲子園」は中高生を対象とした部門で、テーマは「未来の楽器」です。カテゴリー3審査委員長の慶應義塾大学環境情報学部 専任講師の藤井進也氏は、「3Dファブ技術が効果的に使われているかどうかや、見た目や音の響きが”カッコイイ””カワイイ”かどうかを重視して選考した」と語りました。

藤井進也氏

慶應義塾大学環境情報学部 専任講師の藤井進也氏

カテゴリー3の優秀賞に選ばれたのは、神奈川県の高校2年 大嶋俊之さんの「arm」です。armは、動きを音に変えて演奏する楽器で、その未来的なデザインが評価されました。

大嶋俊之さん

カテゴリー3「FAB甲子園」の優秀賞に選ばれた大嶋俊之さんに、賞状などが贈られました

「arm」

「FAB甲子園」 優秀賞を受賞した大嶋俊之さん
「arm」の作品詳細はこちら

カテゴリー4「エンターテイメント部門」 優秀賞作品

カテゴリー4「エンターテイメント部門」はクリエイターを対象とした部門で、テーマは「『笑』ファブ」です。カテゴリー4審査委員長のデジタル工作室「沖縄ミライファクトリー」管理人の西村大氏は、「カテゴリー4は、応募作品数が31作品と一番多く、しかも訳の分からない作品も多い」と語りました。

西村大氏

デジタル工作室「沖縄ミライファクトリー」管理人の西村大氏

カテゴリー4の優秀賞に選ばれたのは、福岡県の大学院 修士2年河田尚子さんの「キメラニマルフィギュア」です。キメラニマルフィギュアは、頭と身体を自由に付け替えられるフィギュアで、面白さと完成度の高さに賞賛が集まっていました。

河田尚子さん

カテゴリー4「エンターテイメント部門」の優秀賞に選ばれた河田尚子さんに、賞状などが贈られました

「キメラニマルフィギュア」

「エンターテイメント部門」 優秀賞を受賞した河田尚子さん
「キメラニマルフィギュア」の作品詳細はこちら

カテゴリー5「デザインエンジニアリング部門」 優秀賞作品

カテゴリー5「デザインエンジニアリング部門」はものづくりのプロ/セミプロを対象とした部門で、テーマは昨年に引き続き「3Dプリントエッグドロップパッケージ」です。
これは、3Dプリンターで作った自作パッケージに生卵を入れて、高いところから落下させ、卵が割れない高さを競う競技です。
カテゴリー5審査委員長の株式会社 デジネル 代表取締役社長 原雄司氏は、「競技場所で実現可能な最大の高さである17mをクリアした人が3名出るなど、昨年よりもレベルが格段に上がっている」とコメントしました。

原雄司氏

株式会社 デジネル 代表取締役社長 原雄司氏

3Dプリントエッグドロップパッケージルール

生卵をパッケージに入れて、一番高いところから落として割れなかった人が勝ちというシンプルなルール

3Dプリントエッグドロップパッケージルール

実戦会場2の最大高さは17m

カテゴリー5の優秀賞に選ばれたのは、昨年に引き続き、東京都のサービスエンジニア 譜久原尚樹さんの「Reacushion」(リアクッション)です。Reacushionは、17mの高さをクリアした3つのパッケージの中でも、落下速度が最も速かったことが評価されました。

譜久原尚樹さん

カテゴリー5「デザインエンジニアリング部門」の優秀賞に選ばれた譜久原尚樹さんに賞状などが贈られました

「Reacushion」

「デザインエンジニアリング部門」 優秀賞を受賞した譜久原尚樹さん
「Reacushion」(リアクッション)の作品詳細はこちら

記念撮影

最後に、受賞者、審査員たち一緒に記念撮影

ファブ3Dコンテストは、2018年も開催予定です。
受賞者には賞金の他、3Dプリンターなどの副賞が贈呈されるなどの特典もありますので、3Dプリンターでものづくりをしている方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

この記事でご紹介した最優秀賞、優秀賞以外の作品(特別賞受賞作品、Fabble賞受賞作品、ファブ施設賞)は、ファブ3Dコンテスト2017 審査結果に掲載されています。
また、「Fabble」というドキュメンテーションプラットフォーム上で、制作過程が見える化されていますので、作品作りの参考にしてみましょう。

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