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徹底解説!業務用3Dプリンターの選び方(造形方式と精度)

昨今3Dプリンターの進化はすさまじく、様々なメーカーが技術を競い合いながら各社成長を続けています。
プロトタイプを制作する段階で3Dプリンターを用いる企業が増えてきており、今までは試作段階で金型を作っていたのに対し3Dプリンターを導入することでその必要がなくなっため大幅に工数を削減した企業もあります。

最近では、

  • 金属の3Dプリンター
  • フードプリンター
  • 砂型を造形できる3Dプリンター

など、試作以外にも利用できる3Dプリンターが数多く開発されています。

3DCADなどを利用してコンピューター上で作図、デザインできるものであれば、極端な話どんなものでも作れてしまう3Dプリンターの登場により、コストをかけずに多種多様なものを造形することが可能になりました。
資金が潤沢でない会社でも、小型の3Dプリンターさえあれば多くの製品や試作品の作成が可能になります。

どんどん進化を遂げていく3Dプリンターですが、どれだけ高機能なものでも自社のニーズにマッチしなければ宝の持ち腐れになってしまいます。
種類も豊富に存在するので、どれを選べばよいのか迷ってしまうというのも正直なところでしょう。

一般的に業務で3Dプリンターを利用する場合は、1台数百万円〜数千万円する業務用の3Dプリンターの導入を検討される方が多いと思います。
ただ、本格的な試作の前に、精度にはこだわらず、考えているアイデアを3Dプリントして検証したいなどの用途で3Dプリンターを利用する場合は、業務用の3Dプリンターではなく、安い価格帯のパーソナル3Dプリンターで多くの場合は事足りてしまいます。

では、3Dプリンターを導入する際にどのような点を抑えればいいのでしょうか?

3Dプリンターを導入する際に抑えておくべき点は、3Dプリンターの利用目的にあった

  • 造形方式
  • 使える材質
  • 精度
  • 造形サイズ

になります。
それでは、一つ一つ解説していきます。

3Dプリンターの造形方式 × 材質で考える

3Dプリンターの造形方式は大きく分けて、

  1. 熱溶解積層方式(FDM法)
  2. 光造形方式(STL法)
  3. 粉末焼結方式(SLS法)
  4. インクジェット方式
  5. 粉末積層方式

の5つがあり、造形方式によって使える材料が異なります。

造形方式×材質で考える

例えば、熱溶解積層方式ではABSなどのプラスチック樹脂が造形できます。
造形の特性上、積層痕や0.2mm~0.5mm程度の造形誤差が生じます。
そのため、ジュエリーの原型などの小さいものの造形には不向きですが、ドライヤーのグリップ程度の大きさのものであれば、握った感触や大きさを検討するためには十分です。
逆に、インクジェット方式のアクリル樹脂では小さいものでも積層痕がすくなく滑らかな形状も表現できるため、小さいものや表面仕上げに時間がかかるものを出力するのに適しています。

このように、造形方式と材料による違いを理解しておくことで、最適な試作や製品の製造が可能になります。

以下、それぞれの造形方式の特徴となります。

3Dプリンターの造形方式 ①熱溶解積層方式(FDM法)

FDM造形とはFused Deposition Modeling=熱溶解積層方式の造形方法の事で、業務用でも使われている熱に溶ける樹脂を、一層ずつ積み上げていき造形していく造形方法になります。
溶けた樹脂はすぐに冷えて固まるため、危険性が少なく扱いやすいのが特徴です。
試作品や治具、簡易型の 造形などに適しています。
ただ、素材を溶かして積み上げていくため 断層が目立ちやすいとうデメリットがあり、表面の滑らかさが求められる造形物の出力には向いていません

使用可能な主な素材:熱可塑性樹脂(ABS、PLA、ナイロンなど)

3Dプリンターの造形方式 ②光造形方式(STL法)

光造形方式は最も歴史が古く、世界で最初に1987年に3Dシステムズ社で実用化されたものがこの方式の3Dプリンターです。
それゆえ製造業などでは、3Dプリンターという言葉よりも「光造形」や「RP」といった言葉の方が浸透している会社もあります。
光造形方式で使用する樹脂は、光硬化性のものになります。
液体状の光硬化性樹脂を、紫外線レーザーで一層ずつ硬化させて積層していき造形します。
高精細かつ表面の滑らかな造形物を作成することが可能です。

使用可能な主な素材:エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂など

3Dプリンターの造形方式 ③粉末焼結方式(SLS法)

粉末焼結方式は、レーザー光線により粉末の材料を焼結させる造形方式です。
粉末焼結方式は光造形法と似たような方式で、ステージ上にある粉末をレーザー光線を照射させて焼結させます。
粉末が硬化したらステージを下げ、この作業をモデルが完成するまで繰り返し行います。
耐久性のある造形物を製作でき、また、金属素材も使用可能なので最終製品や鋳型の製造にも用いられます。

使用可能な主な素材:ナイロン樹脂、セラミック、エストラマー、ポリプロピレン、金属など

3Dプリンターの造形方式 ④インクジェット方式

インクジェット方式というと、家庭やオフィスで普段使用している紙のプリンターを思い出すかもしれません。
紙のインクジェットプリンターの場合には、印刷用氏の上に、液状のインクをヘッドから細かい粒子にして吹き付けて文字を印刷していきます。
3Dプリンターの場合には、インクの代わりに液状の樹脂を吹き付けていきます。
液状の紫外線硬化樹脂を噴射して、それを紫外線などの特定の波長の光で照らすことにより硬化させ積層させる方法です。

この方式は、一般に積層ピッチがFDM方式より薄くより細かい造形をすることが可能で、表面の仕上がりも滑らかに仕上がる特徴があります。
そのため、出力したいパーツに対して細かい造形がある場合などに向いています。
また、高速に造形できることも特徴にひとつです。

使用可能な主な素材:アクリル系、ABSライク、PPライク、ポリプロピレンライク、ラバーライク

3Dプリンターの造形方式 ⑤粉末積層方式

粉末積層方式は石膏やでんぷんなどの安価な粉末を樹脂で接着して固め造形します。
そのため粉末固着式積層法とも呼ばれています。

材料コストが安価であり、また造形のスピードも比較的早いのが特徴ですが、この方式の最も大きな特徴はカラーで出力できるということです。
この方式では、白い石膏の粉などに対して造形と同時に造形物の外側に神の印刷などに使用するインクジェットプリンターのインクを吹きつけて着色していきます。
したがって、3DCGによるキャラクターのテクスチャーなどもCGで定義した通りに出力できるため、出力後の塗装などが必要ありません。
色付きで出力できるという優れた特徴がある一方で、非常に脆いという欠点も抱えています。

使用可能な主な素材:石膏ベースパウダー、プラスチックライクパウダー、デンプンベースパウダー、セラミックベースパウダー

おすすめの3Dプリンター

UP 300

UPシリーズ上位機種となるUP 300は、素材ごとの専用ノズルを持つことで、様々な樹脂に対応可能です。安定した出力により、さらなる高精度へと進化しました。購入はこちら

3Dプリンターの精度=積層ピッチではない

3Dプリンターの精度=積層ピッチではない

一言で精度と言っても、嵌合部品がきちんと組み立てできるかどうかという機械的な精度と、積層痕が目立たなく、表面が滑らかであるという精度では意味合いも変わってきます。

よく精度を表現するために、積層ピッチ(1層で何mmずつ積層するかという値)が使われますが、実は積層ピッチは指標の一つでしかありません
積層ピッチが細かいほど、緩やかな斜面の積層痕は目立たなくなるので、一見精度は良くなっているように感じます。
しかし、各層のXY方向の位置決めがずれていると、いくら積層ピッチが細かくても、各層でズレが生じてしまいます。

積層ピッチが細かくなるほど造形時間はかかりますので、造形したいものが何なのかによって最適な設定をすることが必要になります。

3Dプリンターが造形できるサイズは大きければいいものではない

3Dプリンターが造形できるサイズは大きければいいものではない

造形サイズも何を造形するかによって最適な選択は変わってきます。
造形サイズが大きくなるほど、材料によっては熱応力による歪み、反りなどが発生します。
場合によっては、大きいものでも分割して造形したほうが良かったり、造形サイズが足りない場合でも、斜めに配置することで造形できたりします。

また、材質によっては大きいものを造形する際に、材料費が高額になる場合もあります。
例えば繰り返しの試作をスピーディーに行う目的で導入されても、1個造形するのに材料費が数万円レベルでかかれば、気軽に造形できなくなってしまいます。
一方、材料費が数万円かかっても、1品もののクオリティの高い試作品を作ることが目的であれば、それは正しい3Dプリンター選びができていることになります。

業務用3Dプリンターを選ぶ際、その他にチェックしておくべき点

業務用3Dプリンターを選ぶ際、その他にチェックしておくべき点

購入後のメンテナンスやサポート体制なども、導入前にしっかり調べておくことが重要です。
最近は、100万円までの価格で導入できるデスクトップFDMプリンターを購入される企業も増えてきていますが、メーカーによってサポート体制が全くない場合もあります。
その際にはトラブルシューティングをユーザーですることになり、実際の設計業務とは関係のない作業に時間を取られてしまう場合もあります。
安価なものでもきちんとサポートが受けられる機種を選定することも場合によっては必要かもしれません。

それでも3Dプリンター選びに迷ったら

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全く3Dプリンターを使ったことが無い方は、まずは50万円以下の評判良い機種を買って、使い倒すことをおすすめします。
そして、3Dプリンターがどういうものか分かったら、自社のニーズに合った500万円以上の業務用プリンターを選定できるようになります。

結局、500万円の3Dプリンターを購入し、あまり使っていないというケースをよく見ます。
それはなぜでしょう?
どうやら以下の理由が多いようです。

  • 使いたいと思っていた要件と合わなかった。
  • 材料代が高く、試行錯誤することに躊躇してしまう。
  • 3Dデータを扱える人が忙しく、使用できていない。

これらのリスクを回避するためには、お手頃な3Dプリンターを買って仕組みを理解するのが一番早いかもしれません!

業務用に初めて導入するならこの3Dプリンターがおすすめ:Raise3D E2

Raise3d e2

Raise3D E2の主な仕様
メーカー Raise3D
価格(税込) 547,800円
最大造形サイズ 330×240×240 mm
積層ピッチ 0.02〜0.65mm
対応できる材料 PLA/ ABS/ HIPS/ PC/ TPU/ TPE/ PA/ PETG/ ASA/ PP/ PVA/ など

Raise3D E2(デュアルヘッド)は、シリーズの新しいモデルでありながら手頃な価格で導入できる業務用3Dプリンターです。
通常100万円以上するRaise3Dシリーズの中で、半分の50万円台で購入することができます。
材料のフィラメントはRaise3Dシリーズで出ている純正品がそのまま使用できます。(※ただし、カーボン等の硬い材料が含まれたフィラメントは、エクストルーダーの構造上使用することができないので注意しましょう。)
Raise3Dシリーズを導入したいけれど予算をなるべく抑えたい、初めてだからまずは3Dプリンターの仕組みに慣れたい、という方のニーズに応えられる機種です。
より造形の安定性を求めるのであれば、上位機種の「Raise3D Pro3」を検討してみると良いでしょう。

【3Dプリンターを買うならFabmart(ファブマート)がおすすめ!】
ー キャド研と同じ運営の専門店だから安心してお買い物していただけます。

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