Fusion 360の活用事例を紹介するこちらのコーナー。第12回目は、Fusion 360を活用して、ユニークな作品の制作や、ワークショップの講師をされているものづくり女子大生のIJUさんにお話を伺いました。
大学の先輩に勧められてFusion 360を使い始めた
IJUさんは、高校1年生のときにオープンキャンパスに行き、そこで車や家電などのデザイン、プロダクトデザインをしている学科に出会い、衝撃を受けたといいます。
「見た瞬間に、これをやりたいとひらめきました。」(IJUさん)
現在、IJUさんは千葉大学工学部でデザインを学んでいますが、3D CADとしてはFusion 360を愛用しています。千葉大では、3D CADなどのツールを教える授業はなく、自分で好きなツールを選ぶところからやってくださいというのが、大学のスタンスだそうです。IJUさんがFusion 360を使い始めるようになったきっかけは、先輩からのアドバイスでした。
「3D CADをこれまで使ったことがなかったので、何を使おうかと悩んでいたときに、ちょうどFusion 360の日本語版がリリースされたタイミングだったんです。2年前くらいですね。それで、英語版のときからFusion 360を使っていた先輩がいて、『日本語版がリリースされたから、ちょっと使ってみたら?インターフェースもわかりやすいよ。』と言われたのがきっかけですね。」(IJUさん)
その後、IJUさんは、Fusion 360ワークショップの講師のアルバイトを依頼されるようになり、Fusion 360の機能をどんどんマスターしていきました。
「最初は学校の課題でチェスのコマを全部作らなくちゃいけなくて、それでかなり使えるようになりました。スリプリの三谷さんの書籍を見ながらいろいろやって覚えました。」(IJUさん)
Fusion 360を使っているIJUさん
Fusion 360学生アンバサダーとしてワークショップを開催
IJUさんは、昨年夏にオートデスクのFusion 360学生アンバサダーに任命され、FabCafe Tokyoや大学内でFusion 360のワークショップを開催しました。FabCafe Tokyoでは、Fusion 360のCAM機能を利用したCNC活用講座を、大学ではFusion 360を基礎から学ぶワークショップを開催し、どちらもすぐ満員になるほどの人気でした。
Fusion 360の豊富な機能の中でも、特にIJUさんが気に入っているのは、履歴機能とレンダリング機能だそうです。
「履歴をちゃんと遡って、修正が反映されるのがすごく便利ですね。それから、レンダリングもよく使います。3Dとして出力することより、レンダリング画像を見せて完成っていうのが、デザイン科の課題では多いので。その履歴もちゃんと残るのがありがたいです。だから、学生さんにはFusion 360をお勧めします。」(IJUさん)
また、Fusion 360でのモデリングは、スケッチを描いて押し出す方法で行うことが多いそうです。
Fusion 360でデザインして作った「無限スイカ割り」
IJUさんは、Fusion 360を活用してものづくりをしてきましたが、その最新作が、いつでもどこでもスイカ割りを楽しめる「無限スイカ割り」です。これは、ヘタがついたスイカの模型を手で上から軽くチョップすると、見事に6つに分かれて割れるというものです。中にキャンディなどのお菓子を入れれば、くす玉みたいに使うことができ、パーティなどを盛り上げてくれます。開くときの音や割れ方も気持ちよく、何度でも割りたくなります。この無限スイカ割りは、Fusion 360でデザインされ、3Dプリンターで出力されたパーツを組み合わせてできています。開くヒンジの機構設計をしたのは初めてだったので、苦労したそうです。
「機械科の友人に聞きながら、この機構を設計したのですが、こういう設計をしたのは初めてだったので、全部で4,5時間くらいはかかりました。Fusion 360には関節の干渉チェック機能がありますので、それを活用しました。」(IJUさん)
IJUさんがFusion 360でデザインして作った「無限スイカ割り」
無限スイカ割りの上部を手で軽くチョップすると、このように綺麗に割れる
完全に割れたところ。中にキャンディなどのお菓子を入れておけば、パーティなどを盛り上げてくれる
無限スイカ割りは、Fusion 360でデザインして作られた
無限スイカ割りの開くヒンジの機構設計もFusion 360で行われた
インタラクティブなデザインやサービスデザインに興味がある
IJUさんは、最近、必ず二者以上いないと成り立たないもの、コミュニケーションが生まれるプロダクトを意識してデザインを行っています。先ほどの「無限スイカ割り」もその一つですが、他にも姉が妹にメイクを教えるペンやみんなで投げつけて作るピザなども作ったそうです。そんなIJUさんに、将来の目標を訊いてみました。
「ただ、モノと存在するだけでなく、インタラクティブなデザインがしたいと思っています。また、サービスデザインにも興味がありまして、そういう仕事がしたいなと思っています。」(IJUさん)
ものづくり女子として3Dプリンターの便利さを広めていきたい
IJUさんは、3DプリンターやCNCを活用して製作を行っています。3DプリンターとCNCではどちらが好きか、訊いてみました。
「それぞれ長所と短所がありますよね。今、まだハードルが低いのが3Dプリンターなので、私は3Dプリンターのほうが使いやすいと思います。まだ3Dプリンターという言葉は知っていても、3Dプリンターで何ができるかを知らない人がすごく多いので、3Dプリンターの便利さをもっと広められたらなと思います。」(IJUさん)
また、ものづくり女子という活動も、もっと広めていきたいと考えているそうです。
「ものづくりは女性が少ない領域でもあるので、3D CADを教える女性がまだやっぱり少ないんですよね。3D CADを使えても、自分からそれを発信しようという女性は少ないと思いますので。その1人になれればいいなと思っています。」(IJUさん)
まずは3D CADがどんなものなのか知りたい!と思った方は、IJUさんのFusion 360解説動画やブログをチェックしてみてはいかがでしょうか。
・Fusion 360 を使用した 3D モデリングの学習教材
紙コップホルダーの解説動画
https://www.autodesk.co.jp/campaigns/design-now#learn-3d-
・ブログ「ものづくり女子大生ツナ缶」
http://fusion360.3dworks.co.jp/tsunakan/
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