こんにちは三谷です。
今日は、Fusion 360でサッカーロボットを開発されている水谷さんをご紹介します。
なんと、AIで動く自立型サッカーロボットという、とてもワクワクするキーワード連発です!
世界唯一のカーブシュートをお見逃しなく!
三谷:まずは自己紹介をお願いします!
水谷さん:RoboCup小型リーグに参加している社会人チーム『OP-AmP』のメカ設計を担当している水谷と言います。
三谷:『OP-AmP』はどんなチームなんですか?
水谷さん:私たちのチームメンバーは皆、豊田高専の出身で、在学中にNHK高専ロボコンやRoboCupに参加していた有志で構成されています。
このような趣味参加のプライベートチームは世界にもほとんどありません。
高専在学時に果たせなかった世界優勝を目指して活動しています。
他のチームにはない独創的な戦略や機構で勝利を目指すことが特徴で、今年の世界大会で公開したカーブシュートは、世界中で我々のロボットにしか打てない必殺のシュートとなっており非常に注目を集めました。
2017年JapanOpen 決勝で披露したカーブシュート
カーブシュートの機構について質問にくる海外チーム
(右の写真ではFusion360でモデルを見せながら機構の説明をしています)
三谷:ロボコンはテレビなどでよく耳にするんですが、RoboCupというのはどんなものですか?
水谷さん:RoboCupは「2050年に人間のサッカーワールドカップ優勝チームに勝てる自律型ロボットチームを作る」ことを目標にしているプロジェクトです。
世界中の研究者が参加して、AIで動くサッカーロボットで競い合うことで、ロボット工学や人工知能など、様々な分野の融合・発展を目指しています。
三谷:ワールドカップ優勝チームに勝つロボットチームですか!?凄いですね!!
水谷さん:私たちが参加している小型リーグでは、直径18cm高さ15cmの円筒型ロボットを6台使ってサッカーを行います。
特徴はスピード感のある試合と高度な連携プレーで、人間がラジコンで戦っても勝つことはまず不可能と言われています。
2015年 世界優勝チームのハイライト動画(チーム名:CMDragons、アメリカ、カーネギーメロン大学)
大会の会場風景(世界大会2017@名古屋)
三谷:試合中はどんなことをしているんですか?
水谷さん:試合中はAIがロボットを動かすので基本的には見ているだけです。(実際は故障の修理など試合中も忙しいですが…)
三谷:では、自立型ロボットはどうやって作っているんですか??
水谷さん:メカに関する設計はすべてFusion360で行っています。
部品点数がとにかく多いので、ユニットごとにアセンブリを組んで設計しています。
部品の管理や変更も整理しやすいですし、ユニットごとの編集であれば低スペックのPCでも快適に設計できます。
メインアセンブリは各ユニットを集めて置いただけ
それぞれのユニットの例
三谷:作成手順を教えてください!
水谷さん:
土台となる底板のユニット作り
↓
それぞれのユニット作り
↓
載せてバランスを見ながら…
という手順で設計を進めていきます。
干渉やクリアランスの確認には、断面解析をよく使います。
小さな筐体の中に激しく動く機構を詰め込むので、しっかり確認するのに必須の工程です。
先に述べたカーブシュートではシュートする機構を斜めに向けて蹴るのですが、この小さなボディの中で機構を動かしてシュート方向を変えられるロボットは世界中でこのロボットだけです。
部品ができたら加工担当のメンバーに伝えて加工してもらいます。
OP-AmPではメンバーが東京から岡山までばらばらに暮らしているので、クラウドでデータ管理できることが役立っています。
例えば、回路担当メンバ-が基板のモデルを描き、私はそれを見て、配線の取り回しや基板の固定方法を考えます。
モデルが完成したら、製作担当メンバーに伝えて、Fusion360のモデルから直接切削用のデータを作ってもらい実際に物が製作されます。
メカの設計は東京
回路基板設計は大阪(形状確認のためFusionでモデル化)
部品の切削加工は愛知(Kitmill BT200で切削)
三谷:なるほど!今後の展望をお聞かせください!!
水谷さん:今年の世界大会は決勝トーナメントの初戦で負けてしまい、ベスト12止まりだったので、引き続き世界優勝を目指して活動していきます。
来年はカナダ、再来年はオーストラリアで開催される予定です。
今年の大会中に新型ロボットの欠点も見えてきたので、さっそく改造に当たっています。
また、RoboCupをもっと多くの人々に知ってもらい、参加を呼びかける活動も行っています。
もしRoboCupに興味がある方がいれば、どんな初歩的な質問でも気軽にメール等で聞いていただければ嬉しいです。
OP-AmP HP http://www.asagami-works.pro/opamp/
Mail:asagamiworks.opamp@gmail.comc
最後になりましたが、OP-AmPではスポンサーにご協賛を頂いており、今年はFusion360にも活動のご支援を頂きました。来年度についても募集を行う予定ですので、こちらも興味を持って頂けましたら是非ご連絡下さい。
OP-AmP 2017 PV