Fusion 360を使ったものづくり企画。今回は、イラストレーターの山中玲奈さんに再び登場してもらいました。山中さんは、広告や雑誌などで活躍しているほか、CINRA.STOREでは山中さんがデザインしたスマートフォンケースが販売されています。以前もFusion 360を使ったアクセサリー作りに挑戦していただきましたが、今回は、レザーサンダル作りにチャレンジしてもらいます。
今回作るレザーサンダルのデザインはこちら
山中さんがデザインしたサンダル。アッパーにはスカート柄を型抜きしたレザーを採用。インソールにもスカート柄のワンポイントを取り入れている
今回、レザーサンダルを作るにあたって、まず、山中さんにデザインイラストを描いてもらいました。このイラストをもとにレザーサンダルを作ります。
製作したのは都内のシェア工房Makers’ Base
都立大学駅の近くにある会員制のシェア工房「Makers’ Base」
今回も、製作のために訪れた場所は、会員制のシェア工房「Makers’ Base」です。ここは地下1階から5階までのフロアがありますが、地下1階は木工、1階はギャラリーや受付、カフェ、2階はデジタル加工、3階は金工、4階はテキスタイル・縫製、5階は陶芸というように、階によってテーマが異なっています。さまざまなワークショップが行われており、リングやバングル、ピアスといったアクセサリーからスツールやお皿などのインテリアまで、世界に一つしかないオリジナル作品を作ることができます。
今回も講師として、フォトプロップス作りでご協力いただいた甲斐貴大氏をお呼びしました。甲斐氏は、オリジナルの家具などを製作されている方で、Fusion 360やRhinocerosの達人です。
技術サポートをしてくださった甲斐貴大氏
Makers’ Baseの地下1階は、木工がテーマで、木工用の工作機械や工具が多数揃っている
まずはサンダルを3つのパーツにわけて製作開始
サンダルをアッパー(合成皮革)、インソール(コルク板)、ソール(木材)の3つパーツにわけて作っていきます。まずは、山中さんのデザインイラストを元に、それぞれパーツのモデリングを行います。Fusion 360にデザインイラストを取り込み、その輪郭を「スプライン」機能を使ってなぞっていきます。山中さんは、以前にもFusion 360に触れたことがあるので、すいすいと作業を行っていました。
Fusion 360が活躍するソール部分のモデリング
デザインイラストをもとに、横から見たソールの輪郭を「スプライン」機能を使ってなぞっていく
型取りを追えたソールを横に押し出して立体化します。今度は上から見た輪郭を同じようになぞっていき、こちらも上に押し出して立体化します。最初に押し出したものと、次に押し出したものを重ね合わせて、ブール演算の「交差」でその2つが重なった部分のみを残すことで、ソールの形ができあがります。こうしたやり方は、3Dのソリッドモデリングではよく用いられる手法です。
今度は上から見た輪郭をなぞっていき、上に押し出して立体化する
ソールを横から見たものと、上から見たものを重ね合わせる
その2つが重なっている部分を残すことで、ソールの形が完成する
レーザーカッターで木材とレザーを切り出す
ソールのモデリングが完了したら、レーザーカッターを使って、木材を切り出します。ソールを木材の厚さで縦に輪切りにした形のパーツを切り出していきます。
レザーサンダルの材料。木材やコルク板、合成皮革など
レーザーカッターに材料をセットして、PCにデータを読み込ませて、カットを開始します。パーツの数は少し多いですが、20分足らずでカットが終了しました。
レーザーカッターで木材をカットしている様子を見守る山中さん
レーザーカッターでのカットが終わったところ
パーツを貼り合わせて、不要部分を削る
木材のカットが終わったら、パーツを取り外して順番通りに並べ、接着剤で貼り合わせます。次に、ベルトサンダーを使って不要な部分を削っていきます。
パーツを取り外しているところ
取り外したパーツを順番に並べていく
接着剤でパーツを貼り合わせる
ベルトサンダーで不要な部分を削る
ソールにアッパーを取り付ければ完成!
ソール部分が完成したら、別途レーザーカッターで切り出した合成皮革を、タッカーを使ってソールに取り付けていきます。合成皮革はアッパーとなる部分なので、この取り付けが完了すれば、世界に一つしかないオリジナルデザインのレザーサンダルが完成します。
タッカーというホッチキスのような工具を使って、アッパーとなる合成皮革をソールに取り付けていく
最後にレーザーカッターでコルク板から切り出したインソールを入れて、オリジナルデザインのレザーサンダルの完成
山中さんがFusion 360を使ってものづくりをするのは、これが2回目となりますが、今回もとても楽しかったそうです。Fusion 360の操作にも大分慣れてきたので、いろいろチャレンジしてみたいと語っていました。
このように、2Dでイラストを描ける人なら、そのイラストを元にFusion 360で立体化することはそれほど難しくはありません。是非、立体作品作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
今回制作したこちらのレザーサンダルデータを読者の方々に無料でプレゼントいたします。応募方法は、下記のバナーから応募フォームにアクセスし、必要事項をご記入いただき、是非ダウンロードして作ってみてください!
デザイン協力 山中 玲奈さん
CM制作、出版/デザイン、印刷会社勤務を経て、フリーランスとして活動。柔らかなタッチと軽やかな色使いが特徴。広告や雑誌、書籍のイラストなどを手掛けるほか、イラストを使ったオリジナルグッズも多数。
山中玲奈 Official Website
技術協力 甲斐 貴大さん
1993年宮崎県生まれ。2013年東京藝術大学美術学部建築科入学。木材を主材とした作品を制作しながら、在学中の2016年、設計から制作、施工までを一貫して管理する工房としてstudio archē設立。アクセサリーから家具、什器、インスタレーションに至るまで、領域とスケールを横断した制作を行う。