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Autodesk University 2016 レポート メタル3Dプリンティング

こんにちは、スリプリの三谷です。

Autodesk University 2016 レポート第12回目の今回は、メタル3Dプリンティングについてのクラスです。

最近、金属3Dプリントの技術が上がってきていますが、切削加工などの従来の加工に比べるとまだまだ精度は出ず、コストや時間がかかるのが現状です。

しかし、従来の加工ではできなかった形ができるのが3Dプリントの特徴です。Autodeskさんが提唱する「Generative Design」は、F1や航空機のように、部品をなるべく軽く、なるべく強い形を半自動的に求めることができる一方、非常に有機的な形が形成されます。この形は従来の加工方法では不可能で、3Dプリントをはじめとするアディティブマニュファクチャリングでないとできません。これらが組み合わさって初めて次世代のものづくりと言えるでしょう。

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Generative Designの一つである、トポロジー最適化は、ある部品に対して①部品を止める箇所、②固定される箇所、③荷重がかかる箇所を指示することで、自動的に形を形成してくれます。

こちらは、ある自動車部品です。この形状は重さが2.3kgあります。

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そしてこちらが、トポロジー最適化をした結果です。部品を止める箇所は変わりませんが、荷重計算をされて有機的な形になっています。この形状を従来の製法で作ろうとすると、非常に難しい加工技術が必要になり、特に奥まった箇所は加工ができません。
メタル3Dプリントで、重さは1.7kgになりました。

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実はこの形状は、Fusion360に先日実装されたトポロジー最適化のさらに先を行く最適化ができる、Dreamcatcherプロジェクトというテクノロジーが使われています。

そしてこちらは、その最適化形状に対してラティス最適化を行っているものです。ラティスというのはこのような網目状の構造のことを言い、力を受け止める構造となっています。先ほどの形状より少し太めの形状になりますが、より軽くなり1.45kgになりました。

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このように、まだコストが高い技術ではありますが、Generative Designとメタル3Dプリントを組合わせることで、より少ない材料でより強度の高い、今までにないモノづくりができるようになるのです。

Fusion360とは離れた話題になりますが、実はAutodesk社は先日、3Dプリントに有効なAutodesk Netfabbという製品をリリースしました。3Dプリントをよくする方にはおなじみのソフトだったのですが、3Dデータのエラー修正、3Dプリントシミュレーション、最適なサポート材の作成、設計の最適化ができます。

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https://www.netfabb.com/

その中で特徴的なのは、3Dモデルの配置によって、3Dプリントの失敗がないか、だとか、メタル3Dプリントで起こりがちな熱による変形やずれをあらかじめシミュレーションする機能です。これにより、何度もプリントして試行錯誤する時間を短縮することができます。
Generative Designとメタル3Dプリントは切っても切り離せませんので、Netfabbをリリース(買収したのですが^^;)したAutodeskさんの力の入れようがわかりますね!

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同じようにGenerative Designとメタル3Dプリンターを組合わせることで効率化できる可能性がある分野が、樹脂金型です。
樹脂金型は、型を閉じ、熱く溶かした樹脂を流し込み、冷却穴に水を流して冷やし、型をあけ、成型品を取り出す工程があります。実はその中でも、冷却の時間が一番長いのです。

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そこで、従来の加工では不可能でしたが、より冷却しやすいように、スパイラル形状の冷却穴を作成したらどうだろう、ということが考えられます。Moldflowという樹脂流動解析ソフトウェアも組み合わせながら計算した冷却回路がこちらです。

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さらに、その冷却穴を取り囲むような金型本体は、強度さえ出ていればいいのでラティス化してしまいます。これが、強度もあって軽く、今までよりも早く樹脂が成型できる入れ子ということになります。

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もちろん、現状では金属を削って金型を作るほうが、時間もコストも少なくて済みますが、将来的な量産用金型の形としては非常に面白い試みで、10年後にはコストが下がり、今までより早いモノづくりができるようになっている可能性も十分にあります。

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いかがだったでしょうか。
Generative Designという考え方とメタル3Dプリントによる次世代のものづくり。3Dプリンターブームは日本では去った感じもありますが、実はまだまだ活用の幅は広がっているのですね!

この後も、最新情報をお伝えしていきますのでお楽しみに!!

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