こんにちは、スリプリの三谷です。
Autodesk University 2016 レポート第3回目は「高い品質の切削加工をする方法」というクラスのレポートです。
Fusion360のCAM機能を使って加工をする際に、仕上がりよくものを削るのに重要なポイントがいくつかあります。
表面の仕上がりを決定する大きいポイントをご紹介します。
① トレランス
CAMで設定する最初のポイントがトレランスです。
CNC工作機械は細かい直線動作によって形を削り上げます。
その直線要素をCAMで計算するのですが、その計算精度を決めるのがトレランスです。
細かくすればするほど元の形に近づきますが、データ量は大きくなり、古い機械だと計算が追い付かなくなったりもします。
トレランスを細かくするとデータが大きくなるため、機械側でスムーズに動くようにする必要も出てきます。
機械側にはFanucのAI輪郭制御や、マキノのGI制御といった、非常に細かくて膨大なデータをでスムーズに早く動かす設定があります。
② 切削量とスキャロップ高さ
切削量の幅が細かいほどきれいに仕上がりますが、時間がかかります。面の傾きによってスキャロップ高さは変わります。CAMによってはスキャロップ高さを設定すると自動的に切削量を変えてくれるものあります。
③ 切削方法
切削方法によっても仕上がり方が変わってきます。平行に加工する走査線や、高さごとに加工する等高線などの加工方法です。
平行に加工する走査線の加工では、加工の方向を90度変えるだけでも加工結果は変わってきます。
例えばスキャロップという加工方法では、外側からオフセットして同心円状に加工するため、オフセットの結果の部分で筋目が付きます。
これも表面仕上げの精度にかかわるところです。
また、急斜面が得意な加工方法と、緩斜面が得意な加工方法があるため、表面の角度によって加工方法を変えることがよくあります。
下の絵は、急な部分は等高線加工、緩やかな緩斜面は走査線加工を行っています。
④ 切削工具
切削工具によっても結果が変わります。細い工具は切削中に工具が振動することにより仕上がりが悪くなることがあります。大きな工具から削り始めて小さな工具で隅を加工していくのが一般的です。
右の写真は送り速度(工具の移動速度)が早いため、表面の仕上がりが悪くなっています。早く動かすほど振動が発生しやすくなります。
今回のセッションで出てきたポイントは、加工を行う上で非常に重要なポイントです。
切削加工をする際にはこれらの設定によってどのような加工結果になるのかをいくつかテストしてみることも必要でしょう。
切削加工は奥が深いですね!
この後も、最新情報をお伝えしていきますのでお楽しみに!!