facebook

プラスチック、金属、木。3Dプリンターで選べるフィラメント素材の広がり

パーソナル3Dプリンターでは、FDM方式と呼ばれる線状の樹脂(フィラメント)を熱で溶かして積層する方式が主流です。
ここでは、FDM方式の3Dプリンターで利用できるフィラメントの素材について解説します。

ABSとPLAが主流だが、弾力性のあるフィラメントや形状記憶フィラメントなども登場

低価格なパーソナル3Dプリンターのほとんどが、FDM(熱溶解積層)方式を採用しています。
FDM方式は、フィラメントと呼ばれる線状の樹脂を熱で溶かして細い糸のようにノズルから射出して積層していく方式です。

FDM方式の3Dプリンターで利用できるフィラメントの素材として、最も広く使われているのが、ABSとPLAです。

ABS

ABSは、工業製品にも使われている石油由来の樹脂で、強度に優れ、後加工もしやすいことが利点です。
ただし、冷えるときの収縮が比較的大きく、形状によっては出力中にプラットフォームから剥がれてしまうことがあります。
そのため、基本的にはヒートベッドを搭載していない3Dプリンターでは利用できません。
また、ABSは溶けるときに不快な臭いが出るので、換気などに注意する必要があります。
ABSは比較的高温に強く、耐熱温度は70〜100℃となります。

PLA

PLAはトウモロコシデンプンなどを原料とする植物由来の樹脂で、ABSに比べると硬く、やや脆いので、後からヤスリなどで加工するには向いていませんが、冷えてもあまり収縮しないため、出力中に剥がれる可能性が低く、ヒートベッド非搭載の3Dプリンターでも利用できます。
ただし、PLAは60℃を超えると柔らかくなってしまうため、高温になる場所には向いていません。
また、溶けるときに嫌な臭いがせず、生分解性で環境に優しいこともPLAの特徴です。


ABS、PLAともにさまざまな色のフィラメントが用意されていますので、好みに応じて利用できます。

また最近は、金属や木材の粉末を樹脂に混ぜたフィラメントも販売されています。
金属粉末入りフィラメントを利用すれば、出力品にブロンズ像のような質感を持たせることができます。
水溶性のPVAフィラメントを利用できる3Dプリンターもあります。
PVAフィラメントをサポート材料として使えば、出力後のサポートの除去が容易になります。
さらに、弾力性を持つフレキシブルフィラメントや温度を上げることで出力時の形状に戻る形状記憶フィラメントも登場しています。
フレキシブルフィラメントを利用すれば、手で握ると形状が変わるような柔らかい出力が可能になります。

金属粉末入りフィラメント

colorFabbの金属粉末入りフィラメント「BronzeFill」。出力品を磨くことで、金属光沢を持った仕上がりとなる

まとめ

このように、用途に応じてさまざまなフィラメントを選択できることが、FDM方式の3Dプリンターの利点です。
ただし、3Dプリンターによっては、フィラメントがリールではなく専用カートリッジになっており、純正品しか利用できない製品もありますので、注意が必要です。

最新情報をチェックしよう!